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114話 中央北交易都市バ・ルクーダ

「ここなら人も多いし、もしかしたらドワーフの情報もあるかも知れない」

「あら、分かってるじゃない!物がある所には金が、金がある所には人が居るものよ」

「なんと言いますか人間らしいですね」

「アルテミスさん。そうですね、人間らしいです」

「森で生きれば煩わしい事の殆どが無くなりますよ。アルネアさんもどうです?」

「弱い人間は森では生きられませんから」

「そうですね。忘れていました。アルネアさんは……なんというか不思議な感じがします。森に好かれそうな……」

「ふふん!獣人は戦いさえあれば、何処でも生きられますわ!」

「私はさっさと結婚してダラダラ過ごしたいわ」

「うわぁ……」


 うわぁ……。

 あっアリアと被った。


 まあ、アリアは『男なんて人生のオマケよ!』みたいな感じだもんな。アルネアお嬢様は、男は楽をさせてくれる為の存在でしかなさそう。


 この2人はこんな感じなのを良く知ってるけど、他の三人はどうなんだろう?折角の異世界なんだから、エルフの結婚観とか獣人の結婚観とか、なんて言うの?生態調査?してみたいよな。


 獣人は予想着く。『私を倒せる男と結婚する』的な感じだろう。いや、でもルンフォードはもっと乙女チックなイメージ有るな。


 アルテミスはどうにも分からん。神話じゃ神ですら子供を産むわけだから、エルフ達も子供を産んだりするんだろうが、不老不死に近い存在が繁殖する意味は生物として分からん。増える必要性を感じ無い。神とは違って、エルフは殺せば死ぬだろうから、繁殖は必要か……。

 それでも、数十年下手したら数百年に一人産むか産まないかぐらいじゃないのかな。


「宿はどうする?」

「それよりご飯食べましょうよ」

「宿で食べれるでしょ?」

「嫌よ。味気ないもの」

「でも、この街の美味しい店なんて知らないし」

「私は肉が入ってないものを」

「私はお肉が食べたいですわ!」


 纏まりがねぇ。


 アルテミスはエルフだし仕方が無いにしても、アリアはワガママ放題だな。いつもの事だけど。


「あ、そうだ。このメダル使いましょうよ!有るもんは使うべきよ!」

「そう言えばそんなものあったわね。ついでに良い男ならメダル王家の命で私と結婚させようかしら?」


 そこまで!?見境ねぇな!


「嘘でしょ!?」

「ちょっと、本気にしないでよアリア」


 なんだ冗談かよ。冗談だと思われないアルネアお嬢様に問題があると思うよ。うん。


「メダルを使うのは賛成だね。ドワーフの情報は無いと思うけど、貴族の話を聞くなら貴族に限るよ」

「私とアルテミスさんは別行動しますね」

「どうして?」

「いえ、人間の貴族は獣人はお嫌いでしょう?」

「ん〜人によるわね。獣人やエルフも人間は嫌いでしょう?」

「まあ、人間は弱いですから……」

「人間の特に貴族は……嫌いですね。ハイエルフ様の命令でなければ、着いては来なかったでしょう」


 種族間の軋轢が普通に表面化したな。色んな種族の複合パーティで平和に仲良く魔王を倒しましょうなんて、土台無理な話。


「王命で来た勇者のパーティを、無碍に扱ったりはしないと思うけど、どうかな?勇者の仲間だと顔と名前が知れれば、大きな都市でのトラブルは大分避けられると思うから、同行して欲しいんだけど、ダメかな?どうしても嫌なら、宿で待ってて欲しい」

「エルフ一人で街に居ると知れるより良いかもしれません」

「私は構いませんが、あまり変な方だとうっかり手が出てしまうかもしれませんわ!」

「……だ、大丈夫だよ。貴族でも、悪い人なんてひと握りさ。じゃないと国政が立ち行かないからね。国として成立している以上、そんなに悪い貴族ばかりじゃないよ」


 貴族って割と悪どいイメージ有るけど、良く考えたらそれもそうだな。多くの貴族が横領とかしてたら、国力が落ちてとっくに隣国に攻め込まれてるか。


 それはいいとして、姿が一応変わったから従魔の登録を変えないといけないんじゃないだろうか?

 というかAランクとかいう、どう考えても人類に害しか及ぼさないであろう生物を登録できるのか?


 俺が職員なら登録させないけど。だって、キュプロクス級のバケモンだぞ。街に入れるだけでも狂気の沙汰だよ。なんなら街の近くで発見した時点で街を放棄するまである。


 そういえば、魔王の軍勢なんてAランクBランクの化け物がゴロゴロ居るだろうに、一挙に滅ぼさないのはなんでだろう?

 知能も高いし、滅ぼせないってことは無いと思うけど……あ、知能が高いからか。


 人間の街。

 モンスターの視点で見れば餌場だ。何もしなくて勝手に増える最高の餌場。しかも滅茶苦茶弱くて、逃げ足も他の動物より遅い。皆殺しにするメリットが一切無い。そりゃ滅ぼさない訳だ。


 俺だって滅ぼさない。家畜を皆殺しにするバカが居るはずが無い。


「じゃあ、街中の噂やドワーフについては、前の話通りヴァイスに任せようか」


 任せろアレク。


「よろしくね」

「無理しちゃダメよ」

「あなたの事だから、どうせ余計なことするのでしょう?」

「ヴァイスは強いんですから、万が一の時は戦って逃げれば良いんですわ!」


 んな事したら街中から追われそう。


 アルネアお嬢様達と別れて、すぐに道端の花に擬態する。花束の案は使わなかったな。予定は未定ってな。ちょっと違うか。


 ……。

 ……。

 ……………………。


 見てる人が居ないと、自分が隠れられてるのかどうか良くわかんねーな。


 まずは酒場かな〜RPGだと酒場だよな。

 あんまり濃い霧だと誰かに怪しまれそうなので、薄靄(うすもや)を辺りに発生させてひっそりと移動する。


 《上位感知Lv.8》は既に街の外のかなり広い範囲まで感知できている。これを建物ひとつに絞ると、何でも見えるし何でも聞こえる。なんなら、心臓の音や関節の軋む音だけで、正確に人数が把握出来る。

 建物の構造の把握も簡単だ。入り組んでる地下道とかがあっても問題無く移動できるな。


 格闘家の漫画でこんなのあったな。


 王家のメダルを持った他の貴族が来たんだ。数日は歓待を受けるだろう。その間に、怪しそうなところは全部回ってしまおう。


 街をウロチョロする事一日。


 所謂盗賊ギルドみたいなもんを発見した。


 久しぶりに人の喧騒を聴いてたら楽しくなってきちゃって、あちこち噂話やくだらない日常会話を聞いて回ってたら、随分と時間が掛かった。


 ……これが人間らしさ。


 盗み聞きしてるだけだから、人間らしいかと言われれば何も言えないけど、人間じゃなくなってから随分と時間が経った俺が感じる事のできる数少ない人間らしさは、人間の会話を聴く事。

 アルテミスとは話せるけど、何時でも自由に話せる訳じゃない。それが余計に人間じゃない事を認識させてくれる。


 別に寂しい訳でも、悲しい訳でも無い。懐かしいんだと思う。懐かしさという感情が、唯一人間を感じさせてくれる感情だ。


 盗賊ギルドの位置はすぐに分かったけど、分かってても入り組んでて移動するに面倒だと感じる。これ分からずに彷徨ってたら、街の地下で遭難するぞ。


 ただでさえ暗い地下で、隠密に特化した俺を見つけ出すのは困難だろう。色は白いけど、暗ければ見づらい事に変わりは無い。暗い所で白だけハッキリ分かるなら、蛍光塗料とか開発されて無いしな。


 闇より這いずる白の化物が、地下を音も無くのたうっていると、暗闇の奥から光が射した。


 扉が開く。


 あの扉だ。

 感知によると、あの扉の奥はただのこじんまりした空間だが、その壁の更に奥、盗賊ギルドがある。


 感知が無ければ、浮浪者が屋根を求めて地下に潜ったとした思えない、何も無いこじんまりとした空間だ。


 ゲームなら、剣でつついてここだけ音が違うぞ!ってバクダン仕掛ける場面だな。


 俺は隙間から細い触手を通して隠し扉を開けさせてもらうがな。


 本当は、こんな所潜らなくても地上から確認できるんだが、盗賊ギルドを見つけたら入りたいじゃん?ロマンじゃん?


 エルフ達と一緒に利用した時もそうだけど、盗賊ギルドって聞いてワクワクしない厨二病とかおらんでしょ。

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 名前:ヴァイス 性別:不明


 種族:デンスフォッグ(不明)


 Lv1/10


 HP1021/1021

 MP1001/1001


 状態:通常


 常時発動:《共通言語理解》《影無し》《音無し》《隠匿》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.8》《魔王の導き》


 任意発動:《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《水汲みLv.10》《吸血・吸精》《猛毒Lv.8》《噴霧Lv.10》《全情報強制開示》《感知乱反射LV.3》《濃霧拡大Lv.4》《痺れの香Lv.2》《眠りの香Lv.2》《毒霧Lv.2》


 獲得耐性:《上位斬・打・刺突耐性Lv.1》《上位魔法耐性Lv.1》《邪法耐性Lv.10》《心耐性Lv.1》《ソフィアの加護》


 魔法:《土魔法Lv.10》《水魔法Lv.10》《氷魔法Lv.8》《魔導Lv.1》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 読書家 急成長 奪われしもの 魔王の誓約 エルフの盟友 斧の精霊(?) 罠師 魔導師 鑑定師 魔性植物 光を集めしもの 最上位モンスター

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― 新着の感想 ―
[一言] 念話を使えたら楽なのにね。
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