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106話 エルフの里前〜一悶着〜

 あ、貴方は!


 南のエルフの代表!通称長老(俺調べ、調査範囲俺のみ)


 会いたかったぜ長老!


「その魔力……そうですか。その節は……」


 流石長老!魔力で分かるのか!アルネアお嬢様達は、エルフが急に俺に話しかけてきたので、滅茶苦茶ビックリしている。


「貴方は……エルフよね?」


 アルネアお嬢様が、何とか言葉を絞り出す。


「これはこれは、人間の勇者様とお仲間の方達。お噂はかねがね」


 かねがねって、ビジネスマンかよ……。

 いや、待て噂とか特に……あ、火山か。エルフの方まで届いてるのか。


「バランシア王国から、使者として参りました。バランシア王より勇者の任を拝命しております、アレクと申します」

「おぉ、これはご丁寧に。勇者アレク様、私は皆にウル老と呼ばれております」

「では、ウル老と呼ばせていただきます。ウル老、バランシア王国の正式な使者としてお願いがございます。神王樹の里に入れるよう、お取次ぎ願えないでしょうか?これが使者の証なるかと」

「ほぅ、これは確かに昔見た旗に似ていますな……丁重に預からせていただきます。軍の上の者であれば一目で分かるでしょう。しかし、問題が……」


 問題は言われずとも分かる。皆まで言うなと言いたいところだ。


 問題はたった一つ。モンスターが多い。


 とにかく多い。


 俺の予想通りなら、エルフの里、特に神王樹が陥ることは()()に無い。

 だが、入れなければどうにもならん。ハイエルフ、特にソフィア様には山ほど聞きたい事がある。聞き出せなければ、神王樹の中を手当り次第探ってみるしかない。


「いつもなら私も『正面突破よ!』って言うところだけれど、エルフの森で私の魔法を連発したら、エルフと戦争になりそうだし、どうしようかしら?」

「あはは……良かったよアリアに多少考える頭があって。単なる魔法狂じゃなかったんだね」

「アレク?燃やすわよ?」

「ご、ごめんなさい」

「モンスターが多過ぎて、鼻も耳も上手く効きませんわ。皆さんいつも以上に気を付けてくださいまし」

「モノリ。私をしっかりと守りなさい」


 任せろ。少なくとも、絶対に俺より先にアルネアお嬢様が倒れる事は無い。

 まあ、アルネアお嬢様が主人ってのも大きいけど、回復役を真っ先にやられるとか洒落にならん。


 ……アルネアお嬢様の魔力は殆どが俺の従属に割かれてるから、精霊の召喚時間は短いんだけどな。


 そんな事は今はどうでもいい。どうすんだよ、このモンスターの大軍。



 ……いや、開く。この場合は空くか?


 道が自ずと、そう、人々が神に跪くように。


 その為に必要なアクションは、持てる魔力を全力で放出する!


 ハァ!!!


 全力でなるべく魔力を上空に放つ。


 気付いたか?


 …………しかし、何も起こらなかった。


 ……。

 ……。

 ……。


 あんなに格好付けたのに!?!?



 良かったよ。俺人間じゃなくて。これもし俺が人間でさっきのセリフを口に出してたら、居た堪れなくて全力で逃げ出してたわ。


 あっれぇ〜おかしいな。俺の予想通りなら、モンスターが急に退いたり、正面だけ大きな隙間ができるはずだったんだけど……。


 もしかして、俺の予想間違ってた?迷探偵だったの……か?


 真実はいつもどこかに。


 予想が全部違うって事は無いはず、無いはずだが、一部間違ってたのかもな。


 名探偵には程遠いな。ハワイで親父に習えばよかった。いや、何をだよ……。あー推理とか?それもう探偵じゃねーな。


「レルレゲント。あなた、何してるの?」


 俺が魔力を放出したのを、アリアだけは気付いたようだ。


 いいいや、なんでもないでそ?


 人間だったら不審すぎて通報されてたな。


 さて、魔法のある世界で、魔法に頼りたい程劇的に困難な状況ってどうしたらいいの?


 突破の方法が一切思い浮かばない。


「このモンスターの大軍を切り抜けるには……やっぱりアレしかないかな」

「アレって何よ」

「囮」


 そう、アレクがアリアに言い切るか言い切らないかの直前で、アリアが烈火の如く怒った。


「ふざけないで!」


 どうどう、落ち着けアリア。


「どうしたのアリア!?」

「アリアさん!?」

「落ち着いて?現実的な方法だと思うわ。あんな量のモンスター、一々相手にしてられないもの」


 アレクと俺でも驚いたんだから、他の面々はもっと驚くわな。いや、マジでどうした?


「囮を使うぐらいなら、私が森ごとモンスターを焼き尽くしてあげるわ!」

「いやいや、さっき自分で戦争になりそうって言ってたじゃないか!?」

「そんなの私の知ったこっちゃないわ!」

「私は困るのでやめてもらえるかしら?」

「私も困りますなぁ。ここで、勇者様のパーティの一人に、魔法を撃つ訳にもいきますまい」


 王国の貴族で嫁ぎ先?婿?を探してるお嬢様にとっては、死活問題だもんな。長老も物騒な事言ってるな。


「では、囮作戦以外に考えてみましょうか?」

「アリアが嫌がってるし、そうしたいところだけど、森で日が暮れたら僕ら人間は下手すれば全滅だよ」

「……そうですわね」


 時間は有限なんだなぁ……。


「まあ、囮にするって言ったら……」


 アルネアお嬢様が俺をチラッと見る。


 まあ、そうだわな。俺もそのつもりだったし、従魔の元々の使い道ってそんなんだろ?正しいと言ったら変だが、正しい従魔の使い方だと思う。


「私は絶っったいに反対だから!許さないわ!」


 許さないと言われても、全滅するよりはマシだし、他に方法が思い浮かばないのも事実だ。


「いいわ。私が囮をする」


 アリア!?


 なんで、そんなに。


 思い出した。もしかして、アイスゴーレムの時の……。


 まだ気にしてたんだな。


 俺は自分の意思で残った訳だし何とも思ってないんだが、残された方が傷付くとも聞くし、俺だって俺の身代わりにアルネアお嬢様が殿に残ったら、自分を責めるだろうしな。


 あれが心の傷になってるのか。


 アリア ダイジィウブ オレ ツヨイ


「ッグ……!そいうことじゃ!」


 オトリ スル


「ッ!貴方の意思なのね。なら、仕方ないわ。生きて戻りなさい」


 触手で肩をポフポフしてやる。


「じゃあ、レルレゲント頼めるかな?」

「行きなさいモノリ!」

「気を付けてねウィウィ」


 さてと、アリアの不安と過去の傷を払拭する為にも、獅子奮迅の働きをしますかね。俺がいかに強いか、目の前で見れば、アイスゴーレムの時も充分な勝算があって残ったのだと、アリアに印象付ける事ができるだろう。


 囮?全て倒してしまっても構わんのだろう?

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 名前:モノリ 性別:不明


 種族:ラークスフォッグ(霧の湖)


 Lv66/70


 HP337/739

 MP3/644


 状態:魔力残量低下


 常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.6》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.4》《噴霧Lv.8》《情報開示Lv.9》《指し示す光》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.9》《打撃耐性Lv.9》《刺突耐性Lv.10》《火耐性Lv.5》《風耐性Lv.5》《水耐性Lv.10》《土耐性Lv.8》《雷耐性Lv.5》《氷耐性Lv.10》《邪法耐性Lv.9》《不快耐性Lv.5》


 魔法:《土魔法Lv.6》《水魔法Lv.8》《氷魔法Lv.6》《魔導の心得Lv.6》《魔力の奔流Lv.6》


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?) 罠師 害鳥駆除 鳥類の天敵 虐殺者 怨敵を討つ者 復讐者 亜龍の天敵 天敵殺し


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