103話 バランシア王国〜王都イミル〜
「皆みなさぁ〜まぁ!お世話になりましぃ〜た!まぁた、どーこかで!」
火山から戻りクエストの報告をした俺達は、クラウンと別れ、その足で直ぐに王都を目指した。
俺は化物だが、パーティの皆は普通に人類の枠を超え無いので、俺が皆を触手で運んでいる。
弦炎とかいう、マジモンの化物の相手をした後だ。回復したとはいえ、ルンフォードは一度重傷を負ったし、アレクとアリアは魔法の使いすぎでヘトヘトだ。いや、アリアはまだ元気だな。こいつも化物だな。
俺も魔法を使えるようになったので何となくわかるが、苦手属性の魔法の制御を、相手から奪うとか尋常じゃない。
得意属性とはいえ、水の上位に位置する氷魔法の構築はどうしても、水魔法と比べ遅れる。得意属性ですら、制御が困難な上位の魔法を使うのは難しい。なら、苦手属性なら……?しかも、双子とはいえ、他人がついさっきまで構築してた魔法だ。
……やっぱり、アリアが本当は魔王でした!って、言われたら一瞬信じそうになるぐらいには化物だな。まあ、魔王の力の片鱗を知る俺からすれば、魔王並ってのは、かなり盛ってるがな。
それでも、化け物にはかわりない。なんで、あの戦いの後で元気なの?元気なのお前だけよ?
アルネアお嬢様の運ばれる様は、堂に入っている。植物系モンスターに運ばれるプロと言っても過言では無い。あんな恐ろしい弦炎の相手をした後に、目を瞑って触手の上で完全にリラックスしている。変な所は繊細なのに、こういう所は肝が据わってるというか、心臓に毛が生えてるというか、図太いな。
流石に貴族でありながら、政略結婚なんぞしてたまるかと、家を飛び出しただけはある。この異世界というか、貴族という制度が成立してる世界で、高位の貴族ならまだしも、力のない男爵家。
この悪条件なら、アルネアお嬢様が男でも女でも結婚相手は一切選べずに、結婚させられる事は確実なのに、自分で選ぶと言って憚らないその姿勢は見習うべきものがあるな。
領民は可哀想だけど……。
お嬢様の自力婚活が成功しなければ、力のない貴族がやらかしたわけだから、爵位を失う可能性すらある。しかも、政略結婚を拒んだわけだから、失敗した時の後ろ盾が無い。
こんな確率の低い博打のチップとして掛けられる領民からしたら、たまったもんじゃないだろうな。現代日本とは結婚観が違い過ぎるだろうし、異世界ならではの、とんでもルールがあるかも知れない。
今回の弦炎との戦い。アリアに目が行きがちだったが、ルンフォードの思い切りの良さは凄かったな。あの馬鹿みたいな高威力の『インフェルノ』の着弾地に即時飛び込むなんて、どんなクソ度胸だよ。
連発できる手じゃないが、遮蔽物の無い地形で、奇襲が掛けられるのはデカイな。
「あの、雪のところから、どれだけで王都に着きますの?」
「さぁ?」
「結構かかるかしら?レルレゲントのおかげで、殆ど休みなく進めてるから、予定よりかなり早く着くと思うわよ!」
「王都に着いたら、承認の義か。緊張するな……」
「なっさけないわねぇ〜!勇者の模様を見せて、王様に認めてもらうだけでしょ!」
「まあ、そう言われるとそうなんだけど、相変わらず謁見は苦手だよ」
「アレクさん謁見した事あるのね!」
「アルネアさん……アハハ、これでも一応高位貴族の長子だからね」
「……?ねぇ、それって、私達も勇者一行みたいな感じで謁見するのかしら?」
「えっ?そうだね。そのように紹介するつもりではあるけど」
「お城!と、言う事は王子様ね。見初められたら、一発大逆転じゃない?」
「私も自信が有ると言って憚らないタイプだけど、アルネアはまた凄い自信ね……」
「アルネアは、パーティの回復役を担ってますから、小さい頃に聞いた冒険譚などでは、聖女様のような立ち位置ですわね!」
「聖女……!如何にも、王子と結婚できそう!」
「私が言うのもアレだけど、仮にも自国の王子なんだから、様ぐらいつけた方がいいと思うわよ?」
聖女……?
いや、聖女なんて何処にも居ないが?金に目の眩んだ、私利私欲に塗れたご主人様しか俺には見えないんだが?何処、聖女?
まあ、王都に着くまでは、雑談を聞いてるか……。
いや!折角強敵を撃破したんだから、久しぶりにステータスを確認しよう!
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名前:モノリ 性別:不明
種族:ラークスフォッグ(霧の湖)
Lv66/70
HP337/739
MP3/644
状態:魔力残量低下
常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.6》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.4》《噴霧Lv.8》《情報開示Lv.9》《指し示す光》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.9》《打撃耐性Lv.9》《刺突耐性Lv.10》《火耐性Lv.5》《風耐性Lv.5》《水耐性Lv.10》《土耐性Lv.8》《雷耐性Lv.5》《氷耐性Lv.10》《邪法耐性Lv.9》《不快耐性Lv.5》
魔法:《土魔法Lv.6》《水魔法Lv.8》《氷魔法Lv.6》《魔導の心得Lv.6》《魔力の奔流Lv.6》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?) 罠師 害鳥駆除 鳥類の天敵 虐殺者 怨敵を討つ者 復讐者 亜龍の天敵 天敵殺し
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うお!?めっちゃレベル上がってる!
考えられそうな原因は、新しく一個だけ増えたこれだな。
称号:《天敵殺し》
これはおそらく、弦炎を倒す前の、炎系統のモンスターを倒した事で獲得したと思われる。
苦手な系統のモンスターを倒すと、多くの経験値が入るのか。理にかなってる……か?
相性の良い相手に無双するより、苦戦して勝った方が経験になるって事だろう。知らんけど。
今回、炎系統のモンスター割と倒したし、称号での上昇量がどれ程か分からないけど、こんなに上がるもんなのか。そりゃそうか、苦手な系統のモンスターと戦うってことは、格下相手でも死ぬ確率が高いって事だしな。あれ?って、事はもしかして弦炎ってランク的には下だったりする?
……えっ、やだ何それ怖い。
弦炎マジで強かったんだな。戦いの後、お嬢様に回復してもらって、半分も回復してないとか嘘だろ。俺Bランクだぞ?めちゃくちゃ強い分類だぞ?最高ランクがSだと仮定しても、上からSABと三番目のランク帯だぞ。
魔王の加護狡くね?無くても強かったけどさ、それが格下の可能性があるとか、元の世界に戻りた過ぎる……。
意外に長い道のりだった事に、少し驚きつつ、王都。
「すごい人ですわ!」
「商業都市よりも、すごい人ね」
「私も最初は、祭事でも有るのかと思ったわ」
「はぁ……面倒だな」
アレクの気が滅入るとか、どれだけ面倒なんだろう。一国の王に会うんだから、手続きとかすごい面倒くさいんだろうな。
そういえば、俺ってモンスターだけど、城に入れるかな?絶対入れないよな。勇者パーティだし、物分りのいい王様なら入れるか。何せ、テイマーの学園があるぐらいだもんな。
万が一もあるし、モンスターは入れないかもしれんが、その場合は一般人に姿が見えない待機場所ぐらいは用意して欲しいな。兵舎とかでもいいから。
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名前:モノリ 性別:不明
種族:ラークスフォッグ(霧の湖)
Lv66/70
HP337/739
MP3/644
状態:魔力残量低下
常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.6》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.4》《噴霧Lv.8》《情報開示Lv.9》《指し示す光》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.9》《打撃耐性Lv.9》《刺突耐性Lv.10》《火耐性Lv.5》《風耐性Lv.5》《水耐性Lv.10》《土耐性Lv.8》《雷耐性Lv.5》《氷耐性Lv.10》《邪法耐性Lv.9》《不快耐性Lv.5》
魔法:《土魔法Lv.6》《水魔法Lv.8》《氷魔法Lv.6》《魔導の心得Lv.6》《魔力の奔流Lv.6》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?) 罠師 害鳥駆除 鳥類の天敵 虐殺者 怨敵を討つ者 復讐者 亜龍の天敵 天敵殺し
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