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11話 シスター、翻弄される

あー! アクセス数がすごいことにぃぃ!(ビクンビクン)

んで、今回からシスター奮闘編はじまりです!

 アスティア・リーリフェル――彼女は【リーリフェル教会】の若きシスターである。両親不在の教会を、彼女一人で任せられている現状だ。とはいえ、15歳の少女一人に任せることは両親が許しても周りの大人達が許さなかった。他の教会に所属するシスター達が日替わりで手伝いに来てくれるのだ。


「いつもありがとうございます」


「いやいや別にかまわんよ? あたしだって好きで手伝っているし」


 アスティアと一緒に教会の庭掃除をするもう一人のシスター。規則違反である修道服の改造を全く気にせず行い、スカートにはきわどいスリット(切れ目)がいれられている。見方によってはチャイナドレスにも見えるが、黒い生地に、胸元に描かれる十字のマークが聖職者だと教えてくれる。ただ、そのマークすらも彼女の豊満な胸により形は歪んでいる。頭に被っているベールからは彼女の性格を現したように、燃えるような赤髪が肩の辺りまでストレートで伸びる。


 名前を――セルフィ・ファイアットという。


「しっかし、貴女の両親も可愛い一人娘を置いて旅行とは、暢気なものねぇ」


 セルフィは竹箒の取っ手部分の先端に両手を置いて、さらに顎を乗せ体を支える。視線の先で、同じ竹箒でせっせと掃き掃除をするアスティアを見ながら呟いた。


「お父さんとお母さんは安心しているのですよ」


「何がよ」


「ミヤトがいるから大丈夫、二人ならこう言いますね。きっと」


 とある青年の名前を聞いてセルフィは頬を吊り上げて、ニヤリと笑った。


「それでぇ? 愛しのミヤトくんとは進展があったのかなぁ?」


「…………」


 年下の宮兎を「くん」付けで呼ぶセルフィはニヤニヤしながらアスティアの反応を伺う。彼女の手が止まり、手に握る竹箒へ込められる力が強くなったように思う。セルフィは内心、まだだったか、とちょっと驚いていたりもした。


「ミ、ミヤトは鈍感なので仕方がないのです」


「ふーん。でもまあ、年の差5歳ってかなり大きいと思うんだけど」


「それは私がまた子供だからです。私が20歳になれば彼は25歳です。ほら、違和感はありませんよ」


(何故、胸を張って威張るのか)


 またしてもセルフィは興味なさそうに「へぇ」と答えて、空を見上げる。セルフィからすれば、アスティアのことは赤ん坊の頃から知っている。オムツを変えてあげたこともあれば、一緒にお風呂に入ったこともある。セルフィにとってミヤト以上にアスティアを妹、もしくは娘のような感覚で見てきた。その少女が恋をしている。なんとも不思議な気分であろう。


 セルフィはまだ24歳だ。娘というのはちょっとばかし若いような気がするが、それでも気分は母親である。


(こうなったら可愛いアスティアに、あたしが一肌脱いであげようじゃないか!)


「よし、アスティア! お姉ちゃんが恋のいろはを教えてあげよう!」


「…………セルフィって彼氏いたことありましたっけ?」


「ないよー」


 それもそのはず。見た目の通り彼女は決まりごとや縛られることが大嫌いである。シスターをやっているのもやはり家の都合でしかなく、彼女自身は昼から冒険者と共に酒に溺れて快楽に身を任せたいと日ごろから考えている怠け者。


 つまり、駄目人間なのだ。


 昔は真面目であーだこうだ言われているが、セルフィにとって子供の頃から「縛られること」がストレスになり、16歳のころから修道服の改造や業務のさぼりなどから不良シスターと言われる始末だ。ただ、飲酒に関しては教会側が厳しく取り締まり、成人するまで口にすることはなかったという。


「いやいや。そもそもシスターは処女じゃないと駄目じゃん。アスティアのお母さんだって、あんたを生むためにお父さんに神父になってもらって、教会をやりくりしていたんだから」


「そ、それもそうなのですが……」


 なんとも初心で、こういう話題にアスティアは弱い。もちろんセルフィは知っていたので話したのだ。しかし、真実であり、やましい話ではない。神のシステムである【昇華の儀】を行えるのは純潔が守られたシスターと、神の啓示を受けた神父だけである。


「でもほら、ミヤトくんって商売はじめて上手くいってるんでしょ? 経済的には問題ないし早いところ既成事実作っちゃったほうが良いって」


「だ、だだだだだだから何をい、いいいい言っているのですか!?」


「何って、キスだよキス」


「き、キスっ…………!?」


 アスティアの顔が更に真っ赤になった。セルフィは竹箒を持ったまま彼女に近づいて目線を合わせる。


「チューだよ、チュー。あれれ? アスティアちゃんはなんのことだと思ったのかなぁ?」


「あ、い、いえ! き、きききキスのことですよね!? わ、分かっていましたよ! 分かっていましたよ! 本当に分かっていましたよ!」


 ものすごく必死だ。セルフィは今すぐ地面にのた打ち回って笑いたい。だが、それをしてしまえば完全に嫌われてしまう。それだけはなんとしても我慢しなくてはならない。なのでセルフィも必死に我慢して、アスティアの頭を撫でる。


「分かってるって。アスティアは理解しているもんねぇ? お姉ちゃん分かってるよー。だから大丈夫だよー」


「ううぅ…………」


(何これ、可愛い)


 涙目プラス上目遣いのダブルパンチで思わずセルフィの『何か』が持っていかれそうになった。ここでもさらに我慢して、にっこりと笑いかける。


「ミヤトくんの心を射止めるためにはちょっと女としての魅力がまだ足りないってことよ」


「…………胸の話ですか?」


「え? あ、ああ。それはうん、男によってはそっちが好きな――ああ! 嘘! 嘘だから竹箒の掃く痛そうな方で顔をワシャワシャしないでっ!! 痛い! 本当に痛いから! ごめん! ごめんなさい! 本当に冗談です! 冗談、冗談だからー!」


 アスティアの攻撃が収まると、セルフィは顔に傷がないか確認して、ほっと一息つく。


「心配しなくても本気じゃないので怪我はしていません」


「そ、そういう優しいところお姉ちゃん好きだなー……」


「私がいつなんどきでも、優しいと思ったら大間違いですよ?」


「…………反省してます」


 近頃似たような恐怖を植えつけられた三体の魔物がいるが、セルフィが知っているわけもなく、彼らとシンパシーできることはないだろう。しゅん、と落ち込んでセルフィは顔を下げた。


 顔を俯いて先ほどの元気がワザとのように感じられない。腕を組んで怒る仕草を見せるアスティアも、ちょっと反応が思っていたのと違い、戸惑ってしまった。こちら側が怒っているはずなのに何故、気まずい気持ちになるのだろうか。奇妙な空気に弱いアスティアはセルフィの肩を優しく叩いた。


「セルフィが私に気遣ってくれたことは分かっています。ちょっとやりすぎなところもありますが、心では感謝しています」


「ほんと?」


「はい。本当です」


「なら、私の作戦にのってくれる?」


「…………」


「だめ?」


「………………分かりました。私も自分で試しましたが、鈍感な彼を振り向かせることはできませんでしたからね。セルフィさんのお力をちょっとばかり借りることにします」


(ちょろいぜ)


 なんともまあ、ここまでセルフィの思惑通りである。最近暇だった日々にアスティアの恋愛相談はちょっとばかしの退屈しのぎになるだろう。上手くいけば可愛い妹分の恋も実って万々歳。あたしって天才! とまで考えるセルフィの心の声を聞けばアスティアは再び怒りを爆発させるに違いない。


「それじゃあ今日から作戦決行ね」


「え? まだお仕事残っていますけど……」


「やること決まったら即決行! じゃないと恋の神様は振り向いてくれないのよ!」


 この場にセルフィと同じ教会で働くシスター達がいれば、「お前にだけは言われたくない」「お前が成功した試しがあるのか」「お前の言葉は嘘でできあがっている」他にも色々言われることだろう。セルフィ本人が本気の恋をしたことがないために、彼女の考える恋愛プランはどれもこれも行き当たりばったりで、成功する兆しは見えない。


 だが、今回のセルフィはちょっとばかし違う。相談者が溺愛しているアスティアなのだ。成功させてあげたいと思う気持ちは今まで以上に強いものだ。


 アスティアがはじめての相談者ではないのだが、アスティアがはじめての成功者になる可能性がある。


(ま、あたしが運命の人を見つけるまでの予行練習でもあるんだけどね)


 セルフィにだって恋愛願望はある。むしろ結婚願望だってある。ただ、彼女の性格にあう男性はほとんどいない。誰しもが1日デートのうち、半日で帰ってしまう。友達としては楽しいが、恋人にするのはちょっと……毎度聞かされる別れの言葉。


「なら、私が成功したらセルフィの相談にものってあげますよ」


「え?」


「だって私知ってますよ? セルフィがたまーに隠れてカップルを恨めしそうにみて――」


「あー! そうだ! ミヤトくんのお店はお昼にはたくさんお客さん来ちゃうから早いほうがいいかもね! ほら、行こう行こう!」


「あ、ちょっと!」


 竹箒を取り上げられて、手を引っ張られるアスティアはそのままセルフィに連れられるがままにリーリフェル教会の庭を出て行く。掃除道具も適当に片付けられて、そのままの足で二人は宮兎がいるであろう『ウサギ屋』へ走り出すのであった。





 スタイダストには数々の噂話や伝承が存在する。【赤い影】の正体については数多くの憶測が飛び交い、未だに真実を伝えられていない。真実を知るためにはやはり彼を何かしら拘束し、ヘルムを奪い取るしかないとされている。これも一つの噂話に過ぎないのだが。


 数ある話の中で真実と立証されていない話は山ほどある。


 中でも有名なのが【運命の樹木】だろう。


 スタイダストの中央広場に堂々とそびえ立つ一本の木がある。この木の下で偶然出会えた男女は【運命の出会い】を果たしたことになり、永遠の愛を誓うことになると。


 その運命の樹木と呼ばれる【フェアリー・ツリー】は、スタイダストの待ち合わせスポットとしても有名であり、多くの人々が出会う場所で間違いない。ただ、その噂を検証しようにも【偶然の出会い】という条件があまりにも曖昧で、どの程度の【偶然】が許されるのか分からない。


 昔、ギルドに検証依頼がきたものの、結果は微妙となり、それ以降も冒険者達はこの手の依頼に頭を悩ませていた。


 春の日差しに輝く【フェアリー・ツリー】。


 この木は何を見て、誰と誰を引き合わせているのだろうか?

どうも作者です。


今日は先にお知らせです。

なななななななな、なんと! 目標にしていた総合日間入りを果たすことができました!いえーい!


お昼ごろ確認した時は299位と滑り込みでしたが、19時ごろに173位まで上がっていました!


日間効果なのか、アクセス数も一日でPV10420アクセスありました!

すごいいいいいいいいい(ビクンビクン)と大興奮であります。

これも当初から見てくださった読者様、今日始めて見てくださった読者様みなさんのおかげです。


本当にありがとうございます! ありがとうございます!! ありがとうございます!!


次はジャンル別の日間100位を目指したいですね!

でも、一気に伸びると一気に下がった時の反動が大きいのでじわじわ行きたいですねえ(我侭)


いや、ほんとうびっくり過ぎて感謝の言葉でいっぱいです。


さてさて、多くの方に見ていただくことになり、やはり矛盾や誤字脱字が目立つので早急に編集したいのですが、なにぶん忙しい身で、こうやって一話一話を二時間で書き上げてそのまま投稿している現状です。あー、時間が欲しい。


てなわけで気をつけていますが、やはり目立って悪いところがたくさんあると思います。既に気がついた矛盾や誤字脱字は編集していますが、まだまだ隠れている可能性があります。


お気づき次第にお知らせをお願いします。

お手そうですが申し訳ありません。


感想や、評価、質問などはいつでも受け付けておりますので気軽に送ってください。また、ブックマークやランキングタグもぽちっとどうぞ!


では、明日も頑張って書きますよ!

勢いに乗れるように頑張りますよ!(^N^)b


※追記 プロローグ3の内容を一部変更しています。ザ・クリエイティブ―転生蘇生リザレクション―を魔法と書いていますが「スキル」と書き直しております。またオーガの皮10枚でつくったダガーを【ククリナイフ】へ変更。

スマホでも見やすいようにザ・クリエイティブ―転生蘇生リザレクション―の検索覧を一部変更しております。ご了承ください。

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