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藤巴の野心家  作者: 北星
1章 播州動乱
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2話 流石っす、おやっさん

 「おやっさん。この城頂戴」

 「あ?んー……いいぞ」

 「いやいやいやいや……待て待て待て待て!貴様らそれでいいのかっ?!」


 と言う訳で、姫路城と黒田職隆おやっさんの旗下300名も手に入れました。


 いや、確かに官兵衛が取り乱すほどの超展開だけど……本当にこれでいいのかなぁ?身近な人間には真っ正直に話したいと思ったので、二人には本当に真っ向から言葉を伝えたけど、城獲りってこんな楽じゃ無いと思う。

 ちなみに、ガチで小細工はしていない。


 「……官兵衛落ち付け。でも、こっちから言い出しておいてなんですが、マジでいいんすか?」

 「逆に訊こう。わしが断った場合、お前たちはどうする?」

 「小寺の御着城をぶん獲ってくる」

 「そして藤巴紋と石餅紋(共に黒田家の家紋)を掲げて黒田職隆の謀反と流言を飛ばす。どちらにしても俺がいるから親父は巻き込める」


 おう、おやっさんを巻き込む事を忘れていたが、官兵衛の補足で完璧やな。

 しかし、えげつないな。官兵衛。なし崩しに親父を巻き込むか……。


 「……だと思ったわ。二人でぶんどってくる所はともかくだ、お前らは言い出したらやりかねない」

 「流石っす、おやっさん」

 

 伊達に6年も親父やってないわ。その間、官兵衛と俺と色々とやらかしている前例が……まあ、元服前にこっそり軍に紛れて大将首獲ってきたぐらいだけど。あれは3年前だったか?官兵衛のおっかさんが死んだ頃だ。それから二人しばらく謹慎喰らって、その間、官兵衛は軍法書に傾倒し始めたんだっけか。


 俺?俺はとりあえず、この城の中で行われた力試しの相撲(という名のバーリトゥード)で横綱とってたわ。決まり手はバー二ングハンマーとタイガードライバー´91。

 既に二つとも禁じ手扱いにされてしまったが、背中に土つけるだけじゃ無くて、意識刈り取らねぇと終わらねぇんだもん。


 ちなみにだが、俺は生前を含めてもそれほどガタイが良いという訳でも無い。背は年相応……より低めだろうか。現代人と比べると戦国時代の人間はそれほど背が高いという訳でもなく、それを差し引いても150あるかないかぐらいだ。ましてや、筋肉の鎧を纏っている訳でもない。自分でも言うのもなんだが、割とショタっぽい。


 なのになぜ、フル武装した人間を軽く空の彼方まで飛ばせるか、理由は良く分からない。

 ただ、一つだけこの感覚に似ている物を知っている。

 前世で俺はとあるVRMMOをやっていた。それは戦国時代を背景に、いわゆるかつて一世を風靡した無双ゲーの操作キャラみたいな戦国ライフを送るゲームだ。

 当初はNPCを相手にリアル一騎当千を行う爽快感が売りだったが、それ故に人気も出て、最終的にはPCが操作する一般兵の一人ひとりが武将級の強さを誇る、ある意味リアルに即した―――とんでもないゲームバランスに進化したバカゲーだった。

 その中で俺はPCによる精鋭集団、「相模ノシシ」という獅子なのかイノシシなのかわからない連中を率いていたのだが……まあ、それは今となってはどうでもいいか。

 とにかく、今の俺の身体能力は、あの無双ゲーの皮を被った超大戦ゲームのそれと似ていると言われたら似ているかもしれない。


 死んだら終わりって所は違うけど、まあ、大抵の事じゃ死なない自信はある。


 「まあ、そういう事だ。いずれ若いお前らは飛びだすだろうと思っていた。官兵衛だけならばともかく、お前がいるからな、隆鳳」

 「俺のせいですか」

 「ああ。実際そうなんだろ?」


 全ては俺のせいらしいです。まあ、確かにそうなんだけど。


 ちなみに名前ですが、元服の際におやっさんから一文字いただきまして、黒田隆鳳ときたかと名乗っております。

 ですが、この時代、本名を避ける風習があるのでほとんど「りゅうほう」とまんま音読みしています。今張良と呼ばれる官兵衛に対抗して、今劉邦……あれ、すげースケールが小さくなったな。ぶっちゃけ、俺も項羽の方が好きだし。


 「それに、わしもいずれは―――とは思っていたからな。正直、バカ殿とバカ息子らを天秤に掛けたらどちらを選ぶかなど訳ないわい」

 「……流石っす、おやっさん」


 官兵衛の親父は伊達じゃねぇ。黒だ。

 ただ、この人は策謀家ってわけでも無く、農民や職人を保護したりと内政に重きを置いている人の印象が強い。内政は……まあ、二人とも「なにそれ?」ってタイプだからかなり心強い。史実じゃ官兵衛は万能だったと思うんだが、いまは才能先行で、圧倒的に経験値が足りないらしい。

そこは、海千山千のおやっさん。一人いるだけで厚みが違う。


……最近おやっさん、メタボ気味じゃないっすかねぇ、実際。


 「で、だ。反旗を掲げるという事はともかく、一ついいか?」

 「何ですか?」

 「何でしょう?」

 「いや、今更なんだが……官兵衛、お前なぜここにいる?」


 少し言い辛そうなおやっさんの言に、本当に今更ながらに「そういえば」、と俺も思い出したように視線を向ると、官兵衛は少し気まずそうに頭を掻いた。


 「単なる休暇だったんだが……なんでだろうな?」


ホントすまんと思っている……。



 

 

主人公はオリキャラです。

正式な名前の読み方は「ときたか」ですが、作中ではほぼ全てを「りゅうほう」と呼んでいると思っていただけたらと思います。


官兵衛に親友がいたら、というコンセプトの下、戦国の愛され系小悪魔(アークデーモン)目指して頑張ります。

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