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幕間:夢見の褄の前日譚

最初に感じたのは渇きと空腹だった。頭は石のように重い。首を動かすことすら億劫だ。


動けなくなってからどれくらい経ったんだ。最後に腹に何か入れたのは何日前だろうか。少なくとも3日以上は経っているような気がする。


それでも首から下が警報を鳴らし続けるので、僕は仕方なく起きることにした。


頭に圧迫された右腕の神経が感覚をわずか取り戻す。薄暗い部屋の中をよたよたと歩き、冷蔵庫を開けた。


――まぁ、何もないのだけど。


それもそうだ。両親は別れ話の裁判で忙しくバイトもしていない。それに学費だけは支払って貰っているし、これ以上欲張りが言える立場じゃない。


せめて水だけでもと思いシンクの方に向かう。喉が渇き、息を吸うだけで喉仏のどぼとけの裏のあたりがガサガサ痛む。喉を潤す唾液も出ない。


これは本当に危ないかもしれない。


その時、僕の視界は急激にその高度を下げた。一枚の大きな板が視界の端から迫り、頬づたいに重い衝撃が走った。どうやら倒れて床に激突したらしい。しかし幸いにも思ったより痛みは感じなかった。単に身体のセンサーすら壊れてしまっているだけかもしれないが。


我ながら、まさかこの令和の時代にこんな事になるとは。


なんとも滑稽な末路だ。しかしこれ以上生きるのも嫌だ。それに少なくとも首を絞めたり何かに激突して死ぬよりかはずっといい。


視界が霞む。身体もそういう準備に入ったらしい。しかしノイズまみれの視界に映ったのは、ふわふわの毛でおおわれた小さな2本の脚だった。


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