第〇〇九話 パーティ
星斗は鉄の盾を構えながらミミックに近づいていく。すると宝箱の蓋が開き、その中から直径一メートルくらいの火の玉が飛んできた。
「魔法障壁!」
それに対し星斗は、球状の魔法障壁を周囲に展開する。その後、迫ってきた火の玉が魔法障壁にぶつかって爆発したが、彼はそのダメージを魔法障壁で完全に防いだ。
「今のが火系下級魔法のファイアーボムだな。俺のユニークスキルコピーは、敵からひとつしかコピーできないから、火の魔法はまた今度だ。よし! リビングアーマー! 一緒に戦うぞ!」
星斗は扉の近くで待機しているリビングアーマーにそう命令し、星斗達が走ってミミックに接近していく。一方、ミミックは魔法を使った直後の硬直で行動できず、星斗達は安全にミミックに接近できた。
「魔法は普通、連続では発動できない。特殊なスキルを持ってれば使えるみたいだけど、ミミックは持ってないはず」
この世界の魔法は「連続魔法」などのスキルを持ってないと、発動した後、硬直時間が発生して連続では魔法は発動できなかった。
「ガアアアアアア」
ミミックが、接近してきた星斗を噛みつこうと、宝箱の蓋を開けた状態で飛び掛かる。その蓋と宝箱のふちには複数の牙があって、それはまるで獰猛な獣の口のようだった。
「はっ!」
それを星斗は右方向によけて、さらにミミックの後ろ側に移動する。すると星斗がミミックの後ろに立ち、リビングアーマーがミミックの正面に立つ格好になった。
「オーラブレード!」
ミミックの後ろから星斗が魔力の斬撃を放ち、それがミミックの蓋部分に命中する。
「グガアアアッ!」
その斬撃を受けたミミックが、怒りながら星斗の方を向く。すると今度はリビングアーマーが、魔力をまとわせた剣を振るってオーラブレードを放った。
「ガガガガッ!」
二方向からの攻撃にミミックは対応できず、星斗達は一方的に攻撃していく。ちなみにファイアーボムは、敵が接近していると自爆するおそれがあるので、ミミックは今は使うことができなかった。
「オーラブレード!」
星斗が再び魔力の斬撃を放ち、それが蓋部分を破壊して、ミミックは動かなくなりその場で消滅した。そしてその場にまた宝箱が出現する。
「これは本物だよな」
星斗はロングソードで宝箱を軽く叩いてみるが、何も反応がなかった。
「よし、開けてみよう」
星斗が宝箱を開けると、中に宝石で装飾された首飾りが入っていた。
「首飾りか。どんな効果があるか、装備して確かめてみる……いや。アイテムボックスを使ってみよう。収納!」
星斗は手をかざして首飾りを収納する意思を示す。すると宝箱の中にあった首飾りが消えて、星斗の前にアイテムボックスウィンドウが表示された。
魔力の首飾り×1
「おお! 聞いてたとおり、収納した物の名前がわかる! これは魔力が上がる首飾りだな。それじゃあ、魔力の首飾りを……」
星斗は今度は右手のひらを上にして、アイテムボックスから魔力の首飾りを取り出そうと考える。すると彼の右手の上に魔力の首飾りが現れた。
「これは便利だ。手に入ってよかった。よし、ここにはもう用はない。転移の石碑の部屋に戻ろう」
星斗とリビングアーマーは、六階にある転移の石碑がある部屋まで戻ってくる。
「リビングアーマーを召喚して三時間くらい経ってる。召喚は一度召喚すれば、ずっと一緒にいてくれるのかもしれない。これはありがたい。じゃあ、今日はここまでだ。お疲れ、リビングアーマー」
「コク、コク」
リビングアーマーが、足元に現れた魔法陣で帰還していく。
「さて。天ヶ崎ダンジョンはクリアしたけど、一番欲しかった生活スキルが出なかった。しばらくは周回だな。ついでにレベル上げとお金稼ぎにもなるし」
星斗が転移の石碑に右手で触れる。すると目の前にウィンドウが表示され、三階と一階のどちらかに転移するか選択肢が出てきて、彼は一階を選択し、一階の入口にある転移の石碑に移動してダンジョンを出る。
その後、星斗は周囲にある施設で戦利品を売却し、家に帰った。
そして次の日から、平日の午後は天ヶ崎ダンジョンを周回し、土日は漫画やアニメやゲームなどで過ごし、また次の週の平日の午後に天ヶ崎ダンジョンを周回する。そして周回を初めて九日目、星斗は四階にある宝箱から、ついに目的の生活スキルを入手した。
「やった! 気温調節、来たーーー!」
気温調節
スキル使用者の周囲一メートル以内の気温を、
プラス10度から、マイナス10度まで
自由に調節できる。
消費MP 一時間ごとに20
「これが欲しかった。これで夏の猛暑も、冬の寒さも怖くない」
さらに星斗はここままでの戦利品を売って稼いだ金を使い、覚醒者ショップで、これまでの装備よりスタイリッシュなデザインの騎士の剣、騎士の鎧、騎士の盾を買って、今まで学校から借りていたロングソード、鉄の盾、鉄の鎧を返却した。
本条星斗
レベル 15
HP 192 MP 143
力 48 防御 38
魔力 45 速さ 40
ユニークスキル(8/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(C) 氷魔法(C) 召喚(C)
アイテムボックス(B)
スキル
オーラブレード 魔法障壁 アイスバレット
クリエイトウォーター モンスター召喚
クリーン 気温調節
装備
騎士の剣 攻+25
騎士の盾 防+12
騎士の鎧 防+18
守りの指輪 防+5
力の指輪 攻+5
魔力の首飾り 魔+8
星斗は天ヶ崎ダンジョンを周回して、「点火」や「冷却」などの生活スキルも入手していたが、それらは習得せず、新しい装備を買うために売却していた。
「かなり強くなったなー。しばらくダンジョンの探索はいいや。体を休めよう」
それから三日後、第七覚醒者学校の一年一組の教室で、平日の午前中の授業が始まり、担任の先生が話している。
「次に解禁されるのは、地下八階まである地下迷宮型の岩井ダンジョンだ。岩井ダンジョンは、一度に複数のモンスターと戦う必要がある。つまり君達もパーティを組んで攻略してもらう。そして岩井ダンジョンに入れるのは、天ヶ崎ダンジョンをクリアした者と、レベル10以上の回復魔法や回復スキルが使える者だ。その条件でパーティはこちらで決めてある。ではパーティを発表する。第一パーティは……」
担任の先生が、生徒達の名前を呼んでパーティを発表していく。そして、
「第四パーティは、本条星斗、宇佐美智也、朝比奈アンリ、佐藤美亜だ」
次回 岩井ダンジョン戦 に続く




