第〇〇八話 罠
「おお! リビングアーマー! 俺の言葉がわかるか?」
「コク、コク」
星斗の言葉に、召喚されたリビングアーマーがうなずく。
「会話はできないけど、俺の言葉は理解できてるのか。それなら、後は一度召喚したら、どれだけ一緒に戦ってくれるかだな。一定時間なのか、ダンジョンを出るまでなのか。まあ、戦ってれば、わかるか。じゃあ、これから俺と一緒に戦ってくれ」
「コク、コク」
星斗とリビングアーマーは、天ヶ崎ダンジョンの三階の通路を進んでいく。すると通路の先にシルバーウルフが一体現れた。
「ウオオオオオオン!」
「リビングアーマー! 来るぞ!」
「コクッ」
星斗は鉄の盾、リビングアーマーが剣を構える。するとシルバーウルフが猛スピードで突撃してきて、星斗の首を狙って噛みつこうと飛び跳ねるが、彼は鉄の盾でその攻撃を防ぐ。その直後、盾に顔をぶつけてひるんだシルバーウルフに、リビングアーマーが剣で斬撃を放つ。
「ギギャア!」
その斬撃がシルバーウルフの体を斬り、続けて星斗もロングソードで斬撃を放つ。
「ガッ……」
頭部にその星斗の斬撃を受けたシルバーウルフは、その場で倒れて消滅した。
「おお! 今まで一人で戦ってきたから、二人で戦うこの安心感! これはいい! リビングアーマー! これからも頼むぞ」
「コク、コク」
その後も星斗とリビングアーマーは、三階の通路をモンスターを倒しながら進んでいき、約一時間後、目的の転移の石碑がある小部屋に到着した。
「ふぅ、やっと着いた。これで塔から出られる。あっ、そうだ。このままリビングアーマーと転移すると、入口にいる人達が驚くだろうから、戻しておこう。リビングアーマー、よくやってくれた。次も頼むぞ」
「コク、コク」
星斗は召喚を解除する意思を示すと、リビングアーマーの足元に魔法陣が出現し、リビングアーマーはその場から消え去った。
「リビングアーマーを召喚して一時間くらいか。明日は最初から召喚して、どれくらい一緒に戦ってくれるか検証しよう」
星斗は転移の石碑の前に移動して右手で触れる。すると彼の体が光り出し、その光が消えると、星斗は入口の転移の石碑の前に立っていた。
「これが瞬間移動か。体にも何も負担はないし、一瞬で戻って来れた」
天ヶ崎ダンジョンを出た星斗は、周囲にある覚醒者ショップで戦利品を換金し、覚醒者協会の魔石買取所で魔石を売って、その日は家に帰った。そして次の日の午後、星斗は転移の石碑で天ヶ崎ダンジョンの三階へ瞬間移動して攻略を再開する。
「リビングアーマー! 召喚!」
星斗は再びリビングアーマーと共に、天ヶ崎ダンジョンの三階を地図を見ながら進んでいく。そして彼らが四階へ上がると、Eランクモンスターのコボルトや、狂ったように通路を飛び交う鳥型のDランクモンスター、デビルバードなどが出現したが、星斗とリビングアーマーは連携しながら戦って、順調に探索を続けていく。
「おっ、宝箱発見!」
星斗は四階の小部屋で宝箱を発見し、クリーンのスキルブックを手に入れた。
「クリーン……体や物を綺麗にする生活スキルだ。これはありがたい」
星斗はスキルブックを開いてクリーンを習得した。
クリーン
スキル使用者や身に着けている物、
さらに手に触れているものを
清潔な状態にする。
消費MP 20
「これで剣とか鎧とかの装備品の手入れも簡単になるし、戦って服が汚れてもすぐに綺麗にできる」
星斗は新たなスキル習得に喜びながら、さらに探索を進める。その後、五階へ上がる階段を見つけ、五階の探索を始める。そこでは頭に二本の角がある巨大なねずみ、二本角ねずみや、魔力で動く木製の人形のDランクモンスター、木人などが出現したが、星斗はリビングアーマーの力を借りて順調に進み、その道中にレベルが12に上がっていた。
「もうすぐセーフエリアだ。少し休んでいこう」
セーフエリアとは、ダンジョン内にあるモンスターが入って来れない場所で、その中心には女神像があり、その周辺で休むとHPとMPが徐々に回復していくという効果があった。
「ここだ」
星斗とリビングアーマーが五階にあるセーフエリアの部屋に入ると、そこには剣と鎧を装備した女性の覚醒者が、女神像の近くに座っていた。
「なっ! 何でセーフエリアにモンスターが!」
その女性は立ち上がり、腰の剣を抜いて構える。
「ち、ちょっと待って! こいつは俺が召喚したモンスターだよ!」
星斗は慌ててその女性に説明する。
「えっ? あっ、召喚したモンスターだったのね。ごめんなさい。あっ、あなたは確か、本条君だっけ?」
「ああ、朝比奈さんだったのか」
その女性は星斗のクラスメイトで、天才(S)を持つ朝比奈アンリだった。
「へー、本条君は召喚のスキルを持ってるのね。珍しい」
「いやいや、Sランクの天才を持ってるほうが珍しいだろ」
「まあ、そうよね。ああ、私はMP回復したから、もう行くわ」
「俺はしばらく休んでいくよ」
「じゃあ、お先に」
アンリはスマホで地図を見ながらセーフエリアから出ていく。その後、星斗とリビングアーマーは、女神像の近くで休憩してHPとMPを回復させた後、五階の探索を再開する。その後、彼らは六階に上がって転移の石碑がある小部屋まで到着した。
「転移の石碑で一回、外に出れるけど、今日はボス戦をしてクリアしてしまおう。ここのボスは待望のユニークスキルを持ってるから、後回しにはできない。早くスキルが欲しい」
星斗は六階の地図を見て、リビングアーマーと共に最短距離でボス部屋の扉の前までやってきた。
「ボス部屋に入ったら、リビングアーマーは扉の近くで待機しててくれ」
「コク、コク」
星斗達はボス部屋に入り、リビングアーマーは言われた通り、扉の近くで待機する。そして星斗が部屋の中央にある魔法陣を見ると、そこには宝箱が置いてあった。
「情報通りだ」
星斗は鉄の盾を構えたまま、魔法陣の上の宝箱に近づいていく。すると、
ミミック
ユニークスキル
アイテムボックス(B) 火魔法(C)
どれをコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
「来た! アイテムボックスをコピーだ!」
ユニークスキル(8/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(C) 氷魔法(C) 召喚(C)
アイテムボックス(B)
アイテムボックス(B)
異空間に100キロまでの物を、
収納と取り出しができる。
その異空間は時間が止まっている。
「やった! 待望のアイテムボックス! ありがとう、ミミック!」
ミミックというのは、宝箱に擬態して近づいてきた者に襲い掛かるCランクモンスターだが、星斗は授業でこの天ヶ崎ダンジョンのボスがミミックだということを知っていた。
「そうか。宝箱の正体がミミックだと知らなくても、俺ならコピーウィンドウで気づけるのか。これは便利だな。よし。後は奴を倒すだけだ」
次回 パーティ に続く




