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覚醒者学校の唯一無二の生徒  作者: 霧野夜星


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第六十九話 挑戦

 星斗の周囲に発生した絶対零度の冷気が集まって鳥のような姿になり、それがマグマドラゴンに向かって高速で飛んでいく。


「グワッ!」


 それに対しマグマドラゴンは直撃を回避しようと右方向へローリングして移動するが、冷気の鳥はその動きを追尾してマグマドラゴンに命中した。


「ギャギャアアアアアア!」

「自動追尾機能がついてるのはありがたい。さすが最上級魔法。さて次は……」


 星斗は目をつぶって精神を集中し、電撃の剣に超低温の強大な冷気をまとわせて、眼を開いてその剣を振り上げる。


「氷神飛翔斬!」


 星斗が振り上げた剣を豪快に振り下ろすと、剣にまとっていた冷気がやいばとなって高速で飛んでいき、マグマドラゴンに直撃する。


「グガアアアアアアアアアアア!」


 冷気のやいばがマグマドラゴンの赤いうろこを切り裂き、さらにその傷の周辺が凍り付く。


「あとは地道にHPを削っていくぞ!」


 その後、星斗とゴールドナイトが前衛になって氷結斬と竜麟斬りでダメージを与えていき、ハイダークエルフがシャドウチェーンで動きを止めつつダメージを与え、仙狐が前衛達のHPを回復しながら地道に戦っていく。


「ガアアアアアアアアアア!」


 その星斗達の巧みな連携により、マグマドラゴンはその場に倒れて消滅し、宝箱が出現した。


「やっと倒れたか」

「しぶとい奴でした」

「竜麟とHP激化を持ってるから、倒すのに時間がかかるのはどうしようもないですね」

「クオーーーーン!」

「よし、宝箱を開けよう! ランクアップの宝珠は……」


 星斗が宝箱を空けると、中に魔石(特大)が入っていた。


「なかったか。もしでたら俺のBランクのユニークスキルを、Aにランクを上げられるのに。まあ、特大魔石は百万くらいで売れるから、ハズレではないんだけど」


 星斗は以前、マグマドラゴンからドロップしたAランクアップの宝珠で、ユニークスキルコピーのランクを上げたので、今回も宝珠の入手を狙っていた。


「マグマドラゴン狩りを続けて、ランクアップの宝珠を狙いたいんだけど、マグマドラゴンの出現率は低いし、宝珠のドロップ率も低いから現実的じゃないか。最初の時は運がよかったんだな。はぁ……疲れたし、今日は帰るか」


 星斗はマップを見て、最短距離で一番近くにある転移の石碑がある場所に行ってダンジョンから脱出し、戦利品を売却してその日の活動を終えた。

 それから数日後の夜。星斗は自室でテレビをつけながらタブレットで漫画を読んでいる。


「次のニュースです。先日、日本トップの覚醒者達がSランクモンスター、フォルネウスを倒し、日本にある四つのモンスター支配地域のうちのひとつを取り戻しましたが、その中心にあった海堂ダンジョンを、ライトウィングギルドのエースパーティが攻略に成功しました」

「おお! 海堂ダンジョンをクリアしたのか!」


 星斗は漫画を見るのを止めてテレビのニュースを見る。


「現在、海堂ダンジョンは、一般の覚醒者には開放されていませんが、日本政府が、ライトウィングギルドに中のモンスターの討伐を依頼していました。これは再びダンジョンの中のモンスターが外に出てくるのを防ぐためです。さらにダンジョンの中の情報を集めることも依頼内容に含まれていて、判明した情報は、覚醒者協会のホームページで閲覧できます」

「それはありがたいな。見てみよう」


 星斗は机の上のノートパソコンで覚醒者協会のホームページを開き、海堂ダンジョンの情報を見る。


「海堂ダンジョンは地下二十階までで、ボスはフォルネウスなのか。ということはダンジョンのボスが外に出てきていたんだな」


 星斗はブラウザをスクロールさせながら、公開されている情報を見ていく。


「中のモンスターは、モンスター支配地域にいた奴だけじゃなく、見たことないのもいるな。それにフェンリルの情報がない。中にはいなかったのか。なら何でフェンリルがあの場所にいたんだろう」


 星斗はそんなことを考えながら、再びテレビのニュースを見る。


「すでに海堂ダンジョンの周囲の施設の建設が進んでおり、さらに海堂ダンジョンまでの交通の整備も進んでいます。日本政府は、来月にも覚醒者に入場許可を出す予定です」

「俺でも入れるようになるのか。でもダンジョンのボスは、最初に倒した時しか報酬がもらえないし、一度ユニークスキルをコピーしたら、同じボスからはコピーできないから、再戦するうまみがないな」


 海堂ダンジョンのニュースが終わり、番組は次の話題が始まる。


「そういえば、ライトウィングギルドのエースパーティが攻略したって言ってた。あの三人だけでフォルネウスを倒したんだ。やはりあの三人は次元が違う。いや、浅井さんのパーティも凄かった。あの人達は、特別な何かを持ってるに違いない。いや、俺だって普通は三つしか持てないユニークスキルを、十持てる力がある。この力を使いこなして、あの人達と並び立てるくらい強くなる!」


 星斗は改めてそう決意するが、今、何かできることはないので、再び漫画を読み始めた。

 それから数日後、星斗はライジンギルドのエースパーティと共に、天満ダンジョンにやってきていた。彼は明日香やアンリ達と共に、天満ダンジョンの中に入る。


「へー、本条君。Aランクになったんだ」

「はい。戦士系の試験を受けて合格しました」


 島は、星斗が入り口でAランクの覚醒者カードを出したことに気づく。


「なっ、また追い越された!」


 ライバルである星斗がAランクになったことを知ったアンリが悔しがっている。


「アンリちゃんもすぐになれるよ。そのためにもここで強くなりましょ」

「うん」

「さあ、探索を始めるわよ」


 星斗、アンリ、明日香、島、鈴木、成田の六人が、天満ダンジョンの探索を始める。そして天満ダンジョンの探索を何日か続けて、星斗はレベルが48になり、疾風の剣、超魔力の指輪(二個目)などを手に入れた。


 疾風の剣     攻+73 風属性武器

 超魔力の指輪   魔+15%


 さらに星斗は覚醒者ショップで、銀色の美しい鎧、精霊の鎧を購入した。


 精霊の鎧     防+65 魔法耐性20%


 これで星斗は炎の剣、電撃の剣、疾風の剣の三本を手に入れ、敵によって持ち替えながら戦えるようになった。そして夏休み終盤になり、彼は今日もアンリ達と共に天満ダンジョンにやってきた。


「とうとうこの時が来たわね」

「そうね」


 武装した島と明日香が、天満ダンジョンの入り口前でそう話している。星斗達は、今日、最下層にいるボス、ブラックドラゴンと戦う予定だった。


「本条君とアンリちゃんが、見違えるほど強くなったし、必ず勝てるわ」

「私だって前とは違うから。それに対策もばっちりだし」


 明日香はいつも使っている剣ではなく、柄が緑色で赤い宝石が埋め込まれている豪華な剣「竜滅剣」を持ってきていた。



 次回 ブラックドラゴン戦 に続く

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