第五十二話 闇の上位妖精
「今のうちに接近するぞ!」
「はっ!」
感電している風の精霊ジンに向かって、星斗とゴールドナイトが走り出す。星斗は次のカマイタチ召喚をさせないように、風の精霊ジンに接近して攻撃し続けるつもりだった。そして風の精霊ジンまで十五メートル以内に近づいた時、
風の精霊ジン
ユニークスキル
風魔法(A) 召喚(A) MP再生(B)
どれを誰にコピーしますか?
というウィンドウが星斗の目の前に表示され、
「MP再生を俺の火魔法にコピーだ!」
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
全能力激化(S) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルク流魔法剣術(A) 女神ノルンの加護(A)
回復魔法(B) MP再生(B)
MP再生(B)
戦闘中や移動中、
失ったMPを徐々に小回復する。
「風の障壁!」
一方、風の精霊ジンは、目の前の地面から上方へ風のやいばを吹き上げさせて風の壁を作り出す。これは設置型の風のスキルで、敵の足止めなどに使うためのものだった。
「氷結斬!」
それを見た星斗は、風の障壁に接近して氷の斬撃を放つ。すると風の障壁が切り裂かれ、その先に風の精霊ジンの姿が見えた。
「何っ!」
「うおりぁあああ!」
星斗は一瞬で風の精霊ジン接近して炎の剣を振るう。一方、風の精霊ジンは、その場から急いで離れてその斬撃を回避する。
「ハイオーラブレード!」
次に星斗に続いて接近してきたゴールドナイトが、風の精霊ジンに強大な魔力の斬撃を放つ。
「ぐあああっ!」
その斬撃が風の精霊ジンの実態のない体を切り裂いてダメージを与える。
「うりゃあ!」
そこへ星斗がさらに風の精霊ジンに接近して斬撃を放ち、ゴールドナイトも風の精霊ジンの後方に回って、星斗と連携して攻撃していく。
「ぐっ、おのれ……」
風の精霊ジンは、星斗達の連続攻撃によってカマイタチを召喚する隙がなく、さらに発動に時間がかかる上級魔法も使えないので、接近戦用の風のスキルを発動する。
「風の太刀!」
風の精霊ジンは、右手に風属性の魔力で作られた実体のない剣を作り出し、それを星斗を狙って振り下ろす。
「うりゃあ!」
「ハイオーラブレード!」
星斗が膨大な魔力をまとわせた剣を振い、それが風の太刀と激突した瞬間、風の太刀が吹き飛んで消滅し、彼はそのまま炎の剣で風の精霊ジンの体を斬る。
「ぐああああっ!」
風の精霊ジンはその一撃によって大ダメージを受けて、実体のない体が揺らぎだしてその存在が不安定になる。
「ゴールドナイト! いったん離れろ!」
「はっ!」
星斗達が、急いで風の精霊ジンから離れる。その直後、
「サンダーストーム!」
ダークエルフが雷系上級魔法を放ち、嵐のような雷が風の精霊ジンに直撃した。
「ガガガガガガガ!」
風の精霊ジンは、全身が感電して大ダメージを受けて、それが致命傷となってそのまま消滅した。そしてその場に宝箱が出現する。
「よし、Aランクモンスターでも余裕を持って倒せた。俺達も強くなったもんだ」
そう言いながら星斗は宝箱に近づいて蓋を開ける。すると中に大きな魔石と腕輪が入っていた。
「この腕輪は……」
星斗は宝箱から魔石と腕輪を取り出して、その腕輪を簡易鑑定のスキルで調べる。
「大魔導士の腕輪か。たぶん魔力が上がる装飾品だな。ダークエルフ。装備してみてくれ」
「はい。あっ、召喚者殿。私の戦闘熟練度もたまったようです」
「おお、まじか! よくやった!」
「ダークエルフの戦闘熟練度が最大値になりました。ダークエルフは最終上位種族に変化できます。変化させますか?」
と星斗の目の前にウィンドウが表示され、
「もちろんさせる!」
星斗がそう意志を示すと、ダークエルフの体が光り出し、その光が消えるとほぼ同じ姿のダークエルフが立っていた。
「んっ? 見た目は変わってないけど……何か違う気がする」
星斗は彼女のステータスボードを表示する。
ダークハイエルフ
レベル 42
HP 351 MP 425
力 52 防御 65
魔力 106 速さ 82
ユニークスキル(3/3)
闇魔法(A) 雷魔法(A) 魔力激化(S)
スキル
ダークボルト ダークスマッシャー
シャドウチェーン サンダーボルト
サンダーウェーブ サンダーストーム
魔法障壁 詠唱短縮
装備
妖精の杖 攻+28 魔法強化15%
妖精のマント 防+25
大魔力の指輪 魔+10
魔力の首飾り 魔+8
麻痺無効の指輪 麻痺無効
「おお! ダークハイエルフか! 闇魔法がBからA、魔力激化がAからSに上がって、スキルも増えてる!」
魔力激化(S)
魔力が四倍になる。
シャドウチェーン
影の中から闇の鎖を出現させて
敵を拘束してダメージを与える
闇系上級魔法。
消費MP 40
詠唱短縮
魔法を発動するまでの
時間が短縮される。
「凄く強くなってる! 闇魔法のランクが上がるのは予想してたけど、まさか魔力激化がSランクになるとは」
通常のダークエルフの上位種族変化では、闇魔法のランクが上がり、魔力激化のユニークスキルが追加されるのだが、星斗のダークエルフは元から魔力激化(A)を持っていたので、それがSにランクアップした理由だった。
「召喚者殿。これからも変わらぬ忠誠を誓います」
「おお、よろしく頼むぞ。よし、それじゃあ、この腕輪を装備してみてくれ」
星斗はダークハイエルフに大魔導士の腕輪を渡し、ステータスボードでその能力を確認する。
大魔導士の腕輪 魔力+15% サイズ自動調整機能付き
「やはり魔力が上がるんだな。それにサイズ自動調整がついてる。そうだ。ダークハイエルフ。その腕輪を妖狐の前足に付けてみてくれ」
「了解しました。なるほど。自動調整機能があれば、妖狐にも装備できますね」
そう言ってダークハイエルフは、妖狐の前足に大魔導士の腕輪を装備させる。すると大魔導士の腕輪が、妖狐の足のサイズにピッタリの大きさになる。
「クオーーーン!」
初めての装備品に妖狐は喜び、星斗の周囲を走り回る。
「動きの邪魔にならないか?」
「クオーーーーーーーン!」
妖狐は走り回りながら喜びの鳴き声を上げる。
「大丈夫そうだな。よし。地上へ帰ろう」
次回 再び天満ダンジョンへ に続く




