第五十〇話 検証
星斗達が真宮寺ダンジョンの下層を進んで行くと、鋼鉄製で巨大な人型のBモンスター、アイアンゴーレムが一体出現した。
「アイアンゴーレムか。ようやく本気が試せる相手が現れた。これでフェンリルの全能力値激化の強さを確かめられる。みんなは待機しててくれ」
「はっ」
「了解です」
「キュオーーーン」
シルバーナイト、ダークエルフ、妖狐はその場に待機し、星斗が炎の剣と精霊の盾を構えながらひとりで前に出る。大規模作戦が終わってから今日まで星斗は、クラスメイト達と何度かダンジョンに潜ったが、そこでは人前なので全力では戦わなかった。
「はっ!」
星斗は全力で走って一瞬でアイアンゴーレムに接近し、全力で炎の剣を振るう。
「うりゃあ!」
「ガガガガガガ……」
そのひと振りでアイアンゴーレムの鋼鉄の体は真っ二つに切り裂かれ、そのまま倒れて消滅した。
「鋼鉄の体が抵抗なく斬れた。それにスキルも使わずにBランクを瞬殺できた」
星斗は今の戦いで全能力激化(S)の強さを実感する。
「今でもこれだけ強いのに、もっとレベルを上げたらどれだけ強くなれるんだ……これはやる気が出てきた! みんな、行くぞ!」
それ以降も星斗は全力で戦いながら真宮寺ダンジョンの下層を進んでいく。すると体に不気味な模様を持つ巨大な蜘蛛、ナイトメアスパイダーや、斧を持った筋肉質の体のオーガなどのBランクモンスターが出現したが、それらも星斗達の敵ではなかった。
「魔石は順調に手に入ってるけど、欲しいユニークスキルがないな。せっかく枠が二つ空いてるのに……。ん? ちょっと待てよ。もしかしてユニークスキルの熟練度を上げるために、いらないのでもコピーしたほうがいいんじゃないか」
ユニークスキルのランクは、ユニークスキルを使えば使うほど熟練度が上がって、その熟練度が一定数たまるとランクが上がるので、星斗はそのことに気づいた。
「よし。これからは、いらないのもコピーしていこう。枠が余ってる今しかできないことだ」
その後、星斗達の前に二体のアイアンゴーレムが出現する。
「アイアンゴーレムのユニークスキルは何だっけ……」
アイアンゴーレムに接近して星斗がそう考えると、彼の前にウィンドが表示される。
アイアンゴーレム
ユニークスキル
力激化(B) 防御激化(B)
どれを誰にコピーしますか?
「激化系は駄目だ。俺は全能力激化があるから、上書きしてしまうのはまずい」
星斗がそう考えるとウィンドウが消える。
「はっ!」
その後、星斗は二体のアイアンゴーレムを瞬殺し、ドロップした魔石(大)を回収して、さらに下層を進んでいく。すると、
「おっ、あれはビックスライムだ!」
星斗は洞窟の奥に巨大な緑色のスライムがいるのを発見して接近する。
ビックスライム
ユニークスキル
物理耐性(B) 回復魔法(B)
どれを誰にコピーしますか?
というウィンドウが星斗の目の前に表示され、
「物理耐性は、竜麟(物理と魔法耐性上昇)があるから駄目だ。回復魔法を俺にコピーだ」
星斗はユニークスキルの九つ目に回復魔法を習得する。
回復魔法(B)
回復魔法が使えるようになる。
最大MPと魔力が増加し、
回復魔法の回復量が増える。
ヒール
失ったHPを小回復する。
消費MP 20
エクストラヒール
失ったHPを中回復する。
消費MP 35
キュア
毒状態と麻痺状態を治療する。
消費MP 15
「スキルに回復魔法が増えてるな。妖狐も同じのを持ってるけど、回復魔法はいくらあっても困らない。そういえば、ユニークスキルの回復魔法をほかので上書きしたら、ヒールとかは使えなくなるんだろうか。そのへんも試してみよう」
通常はユニークスキルが消えるということはないので、その場合、通常スキルも消えるのか残ってるかは、まだ判明してなかった。
ちなみに回復魔法(B)の魔力と最大MPが増える効果は、星斗はすでに全能力激化(S)を持っていて、そちらの効果の方が高いので、回復魔法(B)の効果は適用されなかった。
「次はあいつだ」
星斗達の前に斧を持った二体のオーガと、筋肉質の体だが魔法使いのように杖を持ち、黒いローブを身に着けたオーガが現れた。
「あいつはオーガメイジだな。なら火魔法を持ってるはず」
オーガメイジは、オーガ族で魔法が得意なBランクモンスターだった。星斗達は二体のオーガとオーガメイジに近づく。すると
オーガメイジ
ユニークスキル
火魔法(B)
誰にコピーしますか? とウィンドウに表示され、
「俺に火魔法をコピーだ!」
星斗がそう意志を示すと、ユニークスキルの最後の枠に火魔法が追加された。
火魔法(B)
火魔法を習得する。
最大MPと魔力が強化される。
ファイアーボム
小爆発する火を放つ
火系下級魔法。
消費MP 20
フレイムピラー
巨大な火の柱をを作り出す
火系中級魔法。
消費MP 30
「これで枠が埋まった。次でスキルが残るか消えるかわかるな」
星斗達はさらに洞窟の下層を進んでいく。するとナイトメアスパイダーが二体現れた。
「蜘蛛か。奴は毒のユニークスキルを持ってたはず」
星斗がナイトメアスパイダーに近づくと、
ナイトメアスパイダー
ユニークスキル
毒攻撃(B)
誰にコピーしますか? とウィンドウに表示され、
「俺の火魔法に毒攻撃を上書きする」
と意志を示す。
毒攻撃(B)
毒系スキルを習得する。
自分の毒では、自分は毒状態にならない。
毒の牙
噛んだ時、相手を毒状態にする。
消費MP 15
ポイズンミスト
毒の霧を発生させる。
消費MP 25
「ああ、二つの火魔法が消えて毒のスキルが二つ増えてる。やはりユニークスキルがないと使えなくなるのか」
次回 黄金の騎士 に続く




