第〇〇五話 北山ダンジョン戦
その後も星斗が北山ダンジョンを進んでいくと、狩野ダンジョンにも出現したジャイアントバットや、角ネズミなどのEランクモンスターも出現したが、彼は問題なくそれらを倒し、洞窟の奥へと進んでいく。すると
「あれはポイズンスライム!」
星斗の進んでいる先のほうに、体長が五十センチくらいの丸形で緑色のポイズンスライムが現れた。ポイズンスライムは触れたものを毒状態にしてしまうEランクモンスターだった。
「あいつには素手ではさわれない。気を付けないと」
星斗は鉄の盾を構えながらポイズンスライムに接近し、それ気づいたポイズンスライムもゆっくりと彼に接近していく。するとポイズンスライムが星斗に向かってジャンプして体当たりしてきたが、彼は鉄の盾で受け止め、その後、ロングソードを振り下ろして一撃で倒した。
「ふう、倒せた。ポイズンスライムも物理耐性を持ってるはずだけど、もう持ってるからコピーウィンドウはでないのかな。物理耐性(C)二つで、物理耐性(B)になるとかは……無理か。ん。洞窟に入って二時間過ぎた。今日はもう戻ろう」
星斗はここに来るまでに魔石(極小)四個を手に入れ、レベルは8になっていた。そして彼は地図を見ながら最短距離で引き返して北山ダンジョンから出て家に帰った。そして次の日の午後も北山ダンジョンに来て攻略を再開する。
「おっ! 宝箱発見!」
星斗は北山ダンジョンの奥で宝箱を発見し、鞘に入った鉄のナイフを手に入れた。
「普通のナイフみたいだな。ロングソードがあれば使わないけど、一応、持っておくか。何かの役に立つかもしれないし」
星斗は背中の小型のリュックに鉄のナイフをしまう。
「うーん。ナイフとか魔石とかは小さいからいいけど、今後、剣とか盾とかが宝箱から出てきたら、持って帰るのが大変だ」
星斗は動きやすいように小型のリュックを背負っていた。そこに飲み物やお菓子などが入っていた。
「魔法のかばんがあればいいんだけど、高いからなー」
魔法のかばんというのは、見た目は普通のかばんだが、中が異空間になっていて、たくさん物を入れることができる魔法のアイテムだった。その魔法のかばんは、ダンジョンの宝箱から入手できて、その価値から高値で取引されていた。
「一番安い二十キロのやつでも百万するし、もっと強くなって稼げるようになってからだな」
そんなことを考えながら星斗が洞窟を進んでいくと、前方から三人の自衛隊員が歩いてくる。彼らはアサルトライフルを所持していて、ヘルメットにはカメラが付いていた。
(おお! 自衛隊だ!)
自衛隊の武器でも倒せるモンスターがいるダンジョンでは、自衛隊員が巡回して、その様子はカメラで自衛隊の基地に中継されていた。そして覚醒者がダンジョン内で助けが必要な時、スマホで連絡すればすぐに駆けつけてくれた。
「君、ポーションとキュアポーションは足りてるか?」
「はい。大丈夫です」
「何かあったらすぐに連絡してくれよ」
「はい。ありがとうございます」
星斗の無事を確認した自衛隊員達が去っていく。
「狩野ダンジョンでは自衛隊には会わなかった。こっちのダンジョンのほうが難易度が高いから、巡回数が多いのかな。まあいい。先に進もう」
星斗は地図を見ながら北山ダンジョンを進んでいく。そしてとうとうボス部屋の扉の前まで到着した。
「二日目でボス部屋まで来れた。今日でここをクリアできるかもしれない」
星斗はボス部屋の扉を開けて中に入る。すると広い部屋の真ん中の魔法陣から体長が三メートルくらいある巨大な猪型のDランクモンスター、バトルボアが出現した。
「情報通りバトルボアだ。よし!」
星斗は鉄の盾を構えながらゆっくりと横に移動して、洞窟の壁を背中にして止まる。一方、星斗に気づいたバトルボアは、凄い勢いで突進してくる。
「ブモーーー!」
バトルボアが接近してきて十メートル以内に来ると、
バトルボア
ユニークスキル
力激化(C)
コピーしますか?
とウィンドウが表示されたが、一瞬で星斗の前までバトルボアが迫ってきたので、彼は身をかわすことを優先する。
「うおっ!」
星斗はバトルボアの突進をぎりぎりでかわし、星斗の隣を通り過ぎたバトルボアは洞窟の壁に激突した。その間、コピーウィンドウは表示されたままだった。
「今だ! コピーする!」
ユニークスキル(5/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(C)
力激化(C)
力が二倍になる
「よし! 力激化ゲット! 後は!」
洞窟の壁に猛スピードで突進して頭をぶつけたバトルボアは、ふらふらになっていて動けない状態だった。
「オーラブレード!」
そこへ星斗は魔力の斬撃を放ち、それがバトルボアの体を切り裂く。
「ピギャーーー!」
その力激化によって強化された魔力の斬撃と、突進の自爆ダメージでバトルボアはHPが尽きて地面に倒れ、その場で消滅した。そしてその場に宝箱が出現する。
「先生の言ってた攻略法のおかげで楽に勝てた。普通に戦ってたら、あの突進の速さと威力に苦戦してたな」
バトルボアは突進しか攻撃手段がないので、このダンジョンのボスの倒し方は覚醒者達によって研究されていた。
「さて、宝箱だ」
星斗は宝箱から謎の指輪を手に入れた。
「守りの指輪とは形が違うけど、おそらく似たような物だろう」
星斗はその指輪を装備してステータスボードを表示してみる。
装備
ロングソード 攻+12
鉄の盾 防+6
鉄の鎧 防+10
守りの指輪 防+5
力の指輪 攻+5
「力の指輪か。これも当たりの装飾品だ」
覚醒者は、指輪や首飾りなどの装飾品は、三つまで装備することができて、四つ目を装備してもその効果は表れなかった。
「北山ダンジョンは二日でクリアできた。三つ目のダンジョンが解禁されるのはまだ少し先だろうから、しばらくはここを周回して魔石や宝箱を集めよう」
ダンジョンのボスの討伐報酬の宝箱は、最初の勝利の時だけ出現するようになっていた。さらにダンジョンボスは通常モンスターのようなドロップアイテムも出現しないので、ボス戦の周回は、経験値以外にうまみがなかった。
「今日はもう帰ろ」
星斗は北山ダンジョンから出てその日が終わり、次の日の午前中、第七覚醒者学校の一年一組の教室で、担任の先生の授業が始まる。
「今後の予定だが、五日後、塔型の天ヶ崎ダンジョンが解禁される。だがダンジョンに入るには、学校から二つ条件を出す。一つ目はレベル10以上になること。もう一つは魔法障壁のスキルを習得してることだ」
次回 天ヶ崎ダンジョン戦 に続く




