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覚醒者学校の唯一無二の生徒  作者: 霧野夜星


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第四十三話 作戦開始

「テレビで見ましたけど、今回はダンジョンの中には入らないんですよね」

「そう。今回の作戦の目的は、海堂ダンジョンの周囲にいるモンスターの駆除だけよ」


 車の運転をしている島に星斗が質問している。今回、大規模作戦が行われるのは、海の近くに出現した海堂ダンジョンを中心としたモンスター支配地域だった。


「それでダンジョンの周囲にいるモンスターを倒すことが成功したとして、今もダンジョンからモンスターがあふれ続けてるんですか?」

「どのくらいの頻度でモンスターで出てきてるのかは、ダンジョンの入口まで行ってみないとわからないの。色々なパターンがあるからね」

「そうなんですか。それと今回のモンスター支配地域にいるSランクモンスターはフォルネウスってテレビで言ってましたけど」

「そう。空中を泳ぐように移動する巨大なエイの姿をした奴よ。政府の会議の時に映像を見せてもらったわ」

「そいつはモンスター支配地域にいるんですか?」

「奴はダンジョンの入口近くにいるみたいよ。もし遭遇したら、すぐに撤退するように政府に言われたわ」


 これまでにこのモンスター支配地域を、自衛隊と高ランクの覚醒者達が調査のために侵入したことがあり、その時、彼らはフォルネウスの存在とその強さを確認していた。


「ああ、今回の作戦を話しとくね。まず部隊を四つに分けて、モンスター支配地域の四方向から攻め込むの。私達ライジンギルドは南側担当で、北側がギルドランク一位のライトウィングギルド、東側が二位のドラゴンファングギルド、西が四位のマッスルギルドが担当するの。それとギルドランク五位以下のギルドも、四か所に振り分けられてるわ」

「じゃあ、今日はライトウィングギルドの人達と一緒には戦わないんですね」

「最初はそうね。前の大規模作戦の時は、ライトウィングギルドと一緒に戦って、Aランク最上位のレッドドラゴンを倒したの。そして明日香が止めを刺して、アンリちゃんが装備してる赤竜の剣と赤竜の鎧を宝箱からゲットしたのよ」


 大規模作戦では、モンスターの止めを刺した者が、そのモンスターからのドロップ品を手に入れることができるルールだった。


「へー、お姉ちゃん。凄いじゃん。ライトウィングギルドの人達から止めを奪うなんて」


 今まで星斗と島の会話を聞いていたアンリが、明日香にそう話す。


「あー、それはねー。奪ったんじゃなくて、譲ってもらったというか……」

「譲ってもらった?」

「一緒に戦ったライトウィングギルドの人達は、自分達はもう強い装備を持ってるからって、私達に止めを譲ってくれたの」

「へー。ライトウィングギルドの人達っていい人ですね。普通なら独占したいって思うのに」

「あの人達は、高難易度ダンジョンの攻略情報も公開してるし、ほんといい人達よ」


 明日香だけでなく島も、ライトウィングギルドに好印象を持っているようだ。


「それだけいい人達だと、何か裏があるような気がするんですが」

「それはみんな考えるけど、実際に会ってみれば、そんな人達じゃないってわかるわよ」

「ああ、そういえば俺達、ダンジョンでライトウィングギルドのメンバーと会ったんですが、本当にいい人達でした」


 星斗は八王街ダンジョンで、ライトウィングギルドの四人パーティと会って、ほかの覚醒者の前では、ダークエルフにフードで顔を隠すことをアドバイスされたことを思い出す。


「そろそろ合流場所よ」


 モンスター支配地域の外側三キロは立ち入り禁止地域に指定されていて、そこにつながる南側の大通りの入口が、今回、参加するギルドの集合場所だった。


「自衛隊の人達はもう集まってるみたいね」


 大通りの入口には、自衛隊の戦車、トラック、装甲車などの車両が複数停車していた。


「あそこにするか」


 島は入口近くにある広い場所に車を止めて、ライジンギルドのほかの車もそこに止める。


「ここからは自衛隊の車でモンスター支配地域に移動するから、みんな、ついてきて」


 ライジンギルドのメンバー達は、ここに待機してある自衛隊の高機動車(大きなジープのような自衛隊の車)に乗って立ち入り禁止地域の道を進んでいき、モンスター支配地域の入口まで移動して車から降りる。その場所が今回の大規模作戦の南側の最前線基地になっていて、武器、食料、回復アイテムなどの物資が大量に集められていた。


「さて、ギルドメンバーを攻略組と後方支援組に分けるんだけど、本条君とアンリちゃんは今回が初参加だから、後方支援組に……」

「あの……俺も攻略組に入りたいんですけど」

「私も」


 星斗とアンリは、島にそう意見を言う。


「まあ、そう言うと思ってたわ。どうする? 明日香」

「私達と一緒ならいいでしょ。いざという時、守れるし」

「そうね。二人の実力なら攻略組でもいけるか。でもモンスター支配地域では何が起こるかわからないから、自分の命を最優先に考えて」

「はい」

「わかりました」


 星斗とアンリは、アイテムボックスから装備を取り出して戦う準備をする。


「後方支援組はこの基地の護衛を頼むわ。Bランクモンスターにここを襲われたら自衛隊だけじゃ倒せないからね」

「了解です」


 ライジンギルドの半数は後方支援組としてこの場に残り、残り半数が攻略組としてモンスター支配地域に突入することになっていて、さらに攻略組を三つに分けて三方向へ進軍する作戦だった。


「そろそろ作戦開始の時間です。覚醒者のみなさん。高機動車に乗ってください」


 武装した自衛隊員を乗せた車両部隊、ライジンギルドやほかのギルドの覚醒者を乗せた車両部隊、そして戦車部隊が、この最前線基地の周囲にいるモンスターを倒すために三方向に進軍していく。


「いたぞ! Cランクのサハギンだ!」


 自衛隊の偵察ドローンがモンスターを発見し、星斗や明日香達がいる部隊がその場所に移動する。サハギンは魚の体に人の手足がついたような姿で、手には槍を持っているCランクモンスターだった。


「五体のサハギンを発見! 構え! 射撃開始!」


 車から降りた自衛隊員達が隊列を組んで、アサルトライフルでサハギンを狙って一斉射撃を開始する。


「ギギャアアアアア!」


 五体いたサハギンは、アサルトライフルの銃弾を全身に浴びてその場に倒れて全滅した。そしてその場に魔石(中)が出現する。


「自衛隊。凄っ」

「Cランク以下のモンスターなら自衛隊の敵じゃないわね」


 今の戦いを見ていた星斗とアンリが、銃火器の音と強さに驚いている。その後、自衛隊員が魔石(中)を回収し、周囲の安全を確認した後、星斗達はさらにモンスター支配地域を進んでいく。



 次回 ギルド集結 に続く

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