第三十九話 決勝トーナメント戦開始
星斗がライジンギルドに入ることをアンリに伝えると、彼女の表情が明るくなる。
「ほんと? なら、いつでもいいからライジンギルドの本部に行って、ギルドに入る手続きをしてくれる?」
「じゃあ、明日の午後にでも行ってみるよ」
「ああ、手続きには、覚醒者カードと身分証明書……生徒手帳を持ってって」
「わかった」
「本条君、凄いな。ライジンギルドにスカウトされるなんて」
「朝比奈さんのおかげだよ」
「私は何もしてないよ。さて、ダンジョン探索を始めましょ」
星斗達は八王街ダンジョンの地下五階の転移の石碑の部屋を出て、宝箱を探しながらモンスターと戦っていく。
「はっ!」
「ギギャアアアア!」
前衛を担当する星斗は、遭遇したメデューサを高速の動きで瞬殺する。
「本条君、また強くなった?」
「えっ。まあ、天満ダンジョンでレベルが上がったからね」
(それだけじゃない。レベルがいくつか上がったからって、今の速さは……)
アンリは星斗の成長スピードに疑問を持つ。
(やはり本条君は未知スキルを持ってるんだ。このままじゃ追い抜かれそう。私ももっと強くならないと)
星斗の成長を見たアンリはそう決意する。そして彼らは何の問題もなく八王街ダンジョンを探索し、地下十階に到達するまでにたくさんの魔石や宝箱のアイテムなどを入手して、それを分配してその日が終わる。そして次の日の午後、星斗はバスに乗ってライジンギルドの本部ビルにやってきた。彼はビルに入り、一階の受付にいる女性の事務員に話しかける。
「すみません。ライジンギルドに入る手続きをしに来たんですが」
「あなたのお名前は?」
「本条星斗です」
「はい。話は島副ギルドマスターから聞いています。まずはこちらに必要事項を記入してください」
星斗は渡された申込書に名前や連絡先を書き始め、事務員は島に電話で連絡し、二階に続く階段から彼女が降りてくる。
「おっ、本条君。来たな」
「はい。お世話になります」
「うん。ああ、覚醒者カードと身分証明書、持ってきた?」
「はい」
星斗は島にCランク覚醒者カードと生徒手帳を見せる。
「手続きは彼女がしてくれるから、彼女に渡して」
「はい。お願いします」
「お預かりします」
星斗は事務員にカードと手帳を渡し、その後、申込書を書き終えて、それを事務員に渡す。
「じゃあ、手続きが終わるまで、うちのギルドの説明するから、そっちの椅子に座って」
一階には、事務員の作業スペースのほかに、来客用のテーブルと椅子が設置してあって、星斗と島はそこに移動して座る。
「まずギルドに入ると、本条君が覚醒者協会に魔石を売ったら、ライジンギルドにランクポイントが入るの。そのポイントで国内ギルドのランキングが決まるのよ」
「ランクポイントですか」
「そう。まあ、ランクポイント自体は本条君にはあまり関係ないから、深く考えないでいいわ。それとギルドによってはダンジョンからの収入の何割かをギルドに納めるところもあるんだけど、うちはそれはないから」
「そうなんですか? じゃあ、運営資金はどうしてるんですか?」
「このビルは元々うちの資産だから家賃とかないし、光熱費とかは私達のパーティーが出してるの。その代わり、ギルドメンバーに何か支給するとかはないのよ」
「なるほど、お金を取ってるところは、ギルドメンバーに装備品とかアイテムとかを支給してるんですね」
「そう。でも本条君の場合はスカウトだから、特別に装備品を支給しましょう」
そう言って島は、彼女のアイテムボックスから炎の剣と氷河の鎧をテーブルの上に取り出す。
「これはあの時の……」
「ふふふ。うちのギルドに入るんだから、これくらいは装備してないとね」
「ありがとうございます」
星斗は、炎の剣と氷河の鎧を、彼のアイテムボックスに収納する。
炎の剣 攻+70 火属性武器
氷河の鎧 防+60 火属性攻撃半減
「本条さん。手続きが終わりました」
星斗と島が話している場所に事務員がやってくる。
「こちらはお返しします」
事務員が星斗に覚醒者カードと生徒手帳を返す。
「それとこちらがギルドバッチとライジンギルドの規約書です」
事務員は星斗に、雷の模様が描かれたバッチと、数枚の書類を渡す。
「ああ、うちの規約はあんまり厳しくないから心配しないで。常識の範囲内で覚醒者活動してれば問題ないから」
「はい」
規約には犯罪行為をした場合はギルドから追放されることや、大規模作戦の時は正当な理由がない時以外は参加する義務があることなどが書かれていた。
「ギルドバッチは、学校に行く時とかダンジョンに潜る時につけといたほうがいいよ。それがあれば、うちより下位のギルドからスカウトされないだろうし、ダンジョン内とかでほかの覚醒者から嫌がらせとか受けなくなるから」
「わかりました」
星斗はさっそく第七覚醒者学校の制服の胸部分に、ライジンギルドのギルドバッチをつける。
「似合ってるわよ。これで本条君も私達の仲間ね」
「はい。これからよろしくお願いします」
その後、手続きが終わった星斗はライジンギルドのビルを出る。
「さて、一週間後は校内ランキング戦の決勝トーナメントが始まる。それまでダンジョンを探索しよう」
まだ午後の早い時間なので、星斗はバスで八王街ダンジョンに行き、ひとりでダンジョン探索を始める。それから一週間はひとりでダンジョン探索したり、アンリ達とダンジョン探索したりしてレベル41になり、ためたお金で覚醒者ショップで精霊の盾を購入した。
星斗
炎の剣 攻+70 火属性武器
精霊の盾 防+35 魔法耐性30%
氷河の鎧 防+60 火属性攻撃半減
怪力の指輪 攻+10
防壁の指輪 防+10
麻痺無効の指輪 麻痺無効
そして第七覚醒者学校、校内ランキング戦、決勝トーナメントが開催される日になる。その日の午後、星斗は校庭にある戦闘舞台がある場所にやってきた。そこにはすでにたくさんの生徒達や先生達が集まっていて、観戦する場所を確保していた。
「すみません。今日、試合に出る本条ですが」
戦う準備を済ませて武装した星斗は、戦闘舞台の近くにある運営委員の待機所へ行って決勝トーナメントの参加証を渡す。これは予選が終わった後、運営委員から十戦全勝の彼に送られた物だった。
「はい。本条さんですね。では対戦相手を決める抽選をおこないます。この箱の中にあるカードを一枚引いてください」
星斗が白い箱の中に手を入れて中のカードを一枚引く。するとそのカードに6という数字が書かれていた。
「本条さんは第三試合ですね。ではこれを体の見える所につけてください」
星斗は身代わりバッチを、鎧でおおわれてない服の腕部分につける。
「では本条さんは、そちらの選手待機席でお待ちください。試合が始まる前に審判から名前を呼ばれたら、戦闘舞台へ上がってください」
星斗は運営委員の待機所のとなりに設置されてる選手待機席の椅子に座って試合開始を待つ。その後、決勝トーナメントが開始され、一回戦の第一試合、第二試合が終わって、第三試合が始まろうとしている。
「決勝トーナメント、第三試合を始めます! 林選手! 本条選手! 戦闘舞台に上がってください!」
次回 実力差 に続く




