第三十七話 新たな力
「いいんですか?」
星斗はレアアイテムであるAランクアップの宝珠を明日香から渡されて驚いている。
「アンリちゃんを助けて100ポイント加点だから、それくらいはあげないとね」
(明日香さん。今は俺と普通に話している。戦いの時と同じように、ギルドマスターとして仕事をしてる時は、人見知りにならないのか)
「明日香。ちなみに私を助けた加点は?」
「あけみを助けた加点は10ポイント」
「十分の一って! まあいいけど」
明日香が成田に冗談を言っていると、渡されたAランクアップの宝珠をまじまじと見ている星斗に島が話しかける。
「ちなみにそれを売ったら一千万くらいはするよ」
「一千万! そんな高価な物を!」
「遠慮しなくていいよ。高ランクダンジョンを探索してれば、そのくらい稼げるし、それに私達にはそれは使えないし」
「使えない?」
「もう何度かそれを使って、私達もアンリちゃんもユニークスキルは全部Aランク以上だから」
「ああ、そういうことですか」
(本条君はモンスターを二体召喚していた。ということは召喚がBランクだから、宝珠を使えばAランクになってモンスターを三体呼び出せるはず)
島は、星斗がシャドウアサシン戦で、シルバーナイトとダークエルフを召喚したのを見ていてそう考えた。
「それを売って一千万を手に入れるのも、ユニークスキルのランクを上げるのも本条君の自由よ。よく考えてみて」
「はい。わかりました」
星斗はアイテムボックスにAランクアップの宝珠を収納する。
「さて、次はアンリちゃんへの報酬ね。アンリちゃんは、いるだけで1000ポイント加点だから……」
「おい!」
明日香はほかの仲間達にも戦利品の分配をして、その日は解散となった。その後、星斗は自分の家に帰って、自室で椅子に座わりながらAランクアップの宝珠を手に取って考える。
「ユニークスキルコピーのランクアップ一択だな。これは敵からコピーできないし」
現在、星斗の持っているBランクのユニークスキルは「ユニークスキルコピー」「気配察知」「アイテムボックス」の三つで、ほかはすべてAランクだった。
「ユニークスキルコピーを使ってれば、そのうちランクアップするんだろうけど、BからAはかなり時間がかかるから、今、使ってしまおう」
星斗はAランクアップの宝珠を両手で握って願う。
「俺のユニークスキルコピーをランクアップしてくれ」
星斗がそう意志を示すと、彼の手の中のAランクアップの宝珠が光り始め、続いて星斗の全身も光り出し、その後、その光が消える。
「これでランクアップしたのか?」
星斗はステータスボードを表示してユニークスキル欄を確認する。
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(A) 氷魔法(A) 召喚(A)
アイテムボックス(B) 取得経験値増加(A) 幸運(A)
「よし! ランクが上がった!」
ユニークスキルコピー(A)
半径十五メートル以内の敵のユニークスキルを
ひとつだけコピーして九個まで自分の物にできる。
同系統のスキルは上書きされる。
ユニークスキルの統合ができる。
「おお! 今まで十メートルだったのが十五メートルに伸びてる。ん? スキル統合?」
星斗が統合と言葉を発すると、彼のユニークスキル欄の「剣術」「氷魔法」「取得経験値増加」「幸運」のスキル名が、青色の文字に変化した。
「色が変わった。これを統合できるのか?」
星斗はステータスボードの剣術の文字をタッチする。すると、
「剣術(A)と氷魔法(A)を統合できます。統合しますか?
はい いいえ」
とウィンドウに表示された。
「剣術と氷魔法か。よし、統合する」
星斗は「はい」を選ぶ。するとユニークスキル欄の剣術と氷魔法が消えて新たなユニークスキルを習得した。
ユニークスキル(9/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
力激化(A) 召喚(A) アイテムボックス(B)
取得経験値増加(A) 幸運(A) フレスベルク流魔法剣術(A)
フレスベルク流魔法剣術(A)
剣技と氷魔法を習得する。
剣で攻撃した時、ダメージが三倍になる。
最大MPと魔力が強化される。
「フレスベルクって、神話に出てくる鳥のモンスターのことか? そうだ! 俺の今までのスキルは……」
星斗は自分の通常スキル欄を確認する。
「剣のスキルと氷魔法は変わってないな。ならデメリットはないし、ユニークスキル枠が一つ空いたから、ほかのユニークスキルをコピーできるようになった。よし。こっちも統合だ!」
星斗は「取得経験値増加(A)」と「幸運(A)」を統合する。
ユニークスキル(8/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
力激化(A) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルク流魔法剣術(A) 女神ノルンの加護(A)
女神ノルンの加護(A)
モンスターを倒した時に入手する
経験値が二倍になり、
モンスターがアイテムや魔石を
ドロップする確率が上昇する。
「こっちもユニークスキルの効果は変わってない。そしてユニークスキル枠の空きが二つになった! さて、何をコピーするか」
星斗は今の自分に何が必要か色々考える。
「やはり魔力激化だな。魔力が上がれば魔法の威力が上がるだけじゃなく、魔法障壁の強度も上がる。それならイフリートの魔法も怖くない。そうだ。妖狐にも魔力激化と魔法障壁が必要だ。明日、八王街ダンジョンに行ってみるか」
星斗が明日の予定を考えていると、
「そうか! このAランクアップの宝珠のおかげで、人前でもモンスターを三体呼べる。俺の召喚を知っている人は、宝珠で召喚BをAにしたと思ってくれるはず。これで堂々と三体同時に呼び出せる!」
星斗は、ユニークスキルコピーで召喚がAにランクアップしたことを隠そうとしていたが、その必要がなくなったことに気づく。
「俺の残り一枠は、ダンジョンで考えるか。ふふふ、明日が楽しみだ」
星斗は天満ダンジョンでの戦いで疲れていたので、その日はお風呂に入ってからすぐに就寝する。そして次の日、彼は一人で八王街ダンジョンにやってきて、転移の石碑で地下五階に到着した。
「シルバーナイト! ダークエルフ! 妖狐! 召喚!」
星斗の前に、召喚の魔法陣から三体のモンスターが現れる。
「みんな。今日は俺達だけでこのダンジョンを探索する。頼んだぞ」
「はっ! 召喚者殿に勝利を!」
「了解しました」
「クォーーン!」
星斗はここに来る前に覚醒者ショップで魔法障壁のスキルブックを購入していて、それを妖狐に習得させる。
妖狐
スキル
ヒール エクストラヒール キュア
スピードブースト 魔法障壁
「俺が魔力激化をコピーしたら、妖狐にも魔力激化を習得させよう。よし。まずはメデューサだ」
星斗達は、地下五階から八王街ダンジョンを進んでいき、地下六階でメデューサと遭遇して魔力激化(B)を自分にコピーし、その次に遭遇したメデューサの魔力激化(B)を妖狐にコピーした。
星斗
ユニークスキル(9/10)
ユニークスキルコピー(A) 竜麟(A) 気配察知(B)
力激化(A) 召喚(A) アイテムボックス(B)
フレスベルク流魔法剣術(A) 女神ノルンの加護(A)
魔力激化(B)
妖狐
ユニークスキル(3/3)
回復魔法(B) 影術(A) 魔力激化(B)
魔力激化(B)
魔力が二・五倍になる。
次回 スカウト に続く




