第三十一話 Aランクモンスター
「おお! Aランクモンスターを倒した!」
「ミノタウロスはAランクでも下位だからね。私達なら余裕よ」
星斗の驚きの言葉に成田がそう答える。
「まあ、Aランクモンスター上位のレッドドラゴンとかブラックドラゴンとかは、私達だけじゃ無理だけどね」
「そうなんですか? Sランク覚醒者が二人もいるのに」
「ああ、Sランク覚醒者ってのは、Sランクモンスターを倒せるって意味じゃないからね。覚醒者の中で上位の強さを持つ者がSランク覚醒者なの」
「そうだったんですか。勘違いしてました」
「まあ、そのあたりは紛らわしいからね。ちなみにレッドドラゴンは、ライトウィングギルドのエースパーティなら単独で倒せるって聞いたけど」
「へー、さすが国内第一位のギルドですね」
「そうね。でもそのエースパーティは、テレビとかの取材を受けないから、誰も素性を知らない謎の人達なのよ」
「えっ? ライトウィングギルドのギルドマスターは、よくテレビに出てるじゃないですか」
星斗と成田の会話を聞いていたアンリが、二人の会話に加わる。
「ああ、ギルドマスターの浅井さんは、エースパーティに入ってないからね」
「ああ、そうなんですか」
「星斗君! 戦利品をお願いね!」
「はい!」
明日香に呼ばれ、星斗はミノタウロスからドロップした魔石(特大)をアイテムボックスに収納する。
「さあ、進みましょう」
その後、明日香達は、モンスターを倒しながら一階の通路を進んでいく。そして地下一階に続く階段を下りて、さらに先に進んでいくと、ミノタウロス二体とオーガ二体が同時に出現した。
「むっ、Aランクが二体!」
「おまけにオーガもいやがる!」
「私と恭子で速攻でミノタウロス一体を倒すから、残りの足止めを鈴木君お願い!」
「了解した!」
「成田さん。私達も戦った方がいいですか?」
姉の明日香の緊張感を感じ取ったアンリが成田にそう聞く。
「いえ、アンリちゃんと本条君は自分の身を守ることを優先して」
「はい」
「わかりました」
(コピーのチャンスが来るかも)
星斗は風のやいばと魔法の盾を構え、前方にいるモンスター達の動きを見ている。
「瞬速乱舞斬!」
明日香は、目で追えないほどの高速斬撃を連続で放ち、それがミノタウロスの全身に大ダメージを与える。
「速っ!」
「す、凄いスキルだ!」
「あれが明日香の必殺技、瞬速乱舞斬よ」
「おお! あれがユニークスキルSランクが使える技か!」
明日香は、ユニークスキル、剣術(S)を持っていて、強力な剣技を使うことができた。だが瞬速乱舞斬はクールタイムがあり、消費MPも高いので、連続で何度も使える技ではなかった。
「大破壊斬!」
さらに島が大剣に膨大な魔力をまとわせた強烈な必殺技を放ち、二人の必殺技を受けたミノタウロスは全身が傷だらけになって、今にも倒れそうになる。
「ヴモーーーーッ!」
「ぐっ!」
一方、ひとりで三体の足止めをしている鈴木は、ミノタウロスから強烈なタックルを受けて、その大きな衝撃によって体がふらつき、さらに二体のオーガが巨大な斧で彼に斬りかかった。その連続攻撃に鈴木は余裕がなくなり、その隙にミノタウロスが、後衛の三人がいる場所に突撃していく。
「モーーーーッ!」
「しまった!」
二体のオーガの相手をしている鈴木はミノタウロスを追えず、その様子を見たアンリと星斗が、成田の前に出て武器を構える。すると、
ミノタウロス
ユニークスキル
力激化(A) 斧術(B)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前にウィンドウが表示され、
(俺に力激化をコピーだ!)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(A) 氷魔法(B) 召喚(A)
アイテムボックス(B) 取得経験値増加(A) 幸運(A)
(よし、力激化がBからAにランクアップ!)
力激化(A)
力が三倍になる。
「ヴモーーーーッ!」
「氷結斬!」
「ハイオーラブレード!」
星斗は冷気をまとわせた剣で斬撃を放ち、アンリは強大な魔力をまとわせた剣で斬撃を放って、それが突撃してきたミノタウロスに直撃して動きを止める。
「二人とも! 離れて!」
成田のその声を聞いた星斗とアンリは、ミノタウロスから急いで離れる。
「サンダーストーム!」
成田が放った高威力の雷がミノタウロスに直撃して全身を感電させる。
「ハイオーラブレード!」
「氷結斬!」
さらに星斗とアンリが、雷系上級魔法で弱ったミノタウロスに追撃し、それが止めとなってミノタウロスは倒れた。そして星斗のレベルが32から34に上がる。
(レベルが二つも上がった! さすがAランク! ありがとう、経験値増加!)
「すまん! 大丈夫か!」
星斗が心の中で喜んでいると、鈴木が慌てて後衛の三人がいる場所に走ってくる。
「はい。誰もケガしてません」
「もう。鈴木君。油断したわね」
「いやー。すまん。すまん」
そこへミノタウロスとオーガ二体を倒した明日香と島も合流する。
「アンリちゃん! 大丈夫?」
「心配ないよ。私にはお姉ちゃんからもらった赤竜の剣と赤竜の鎧があるし」
「もう、あんまり無理しないでね」
「うん。でも今のは緊急事態だったし」
「そうでもないのよ」
アンリと明日香の会話を聞いていた成田が話し始める。
「さっきアンリちゃんと本条君が戦わなくても、私は物理障壁を使えるから、ミノタウロスの攻撃を防げたの。発動しようとしてた魔法はキャンセルしないといけないけどね」
「そうだったんですか。じゃあ、私達は余計な……」
「そんなことないわ。アンリちゃんと本条君の攻撃は、確実にAランクのミノタウロスにダメージを与えてたでしょ。二人の強さならAランクモンスターとも戦えることがわかったわ」
成田のその言葉を聞いて、星斗が明日香に話す。
「なら俺は前衛で戦ってみたいんですが」
「そうねー。今みたいな時、Bランクの相手をしてくれるならいいかな」
「はい。ありがとうございます!」
(やった! これでコピーできる!)
「お姉ちゃん! 私も!」
「アンリちゃんはダメ! もしもの時、二人もフォローはできないよ」
「そんなぁ」
「なら本条君と交代で前衛すればいいんじゃない?」
アンリの残念がる表情を見て島がそう話す。
「うーん。心配だけど、アンリちゃんが早く強くなってくれるならいいか」
「やった! ありがと。お姉ちゃん!」
「しょうがないなー。交代するタイミングは、アンリちゃんと本条君で適当に決めて」
「わかった」
「朝比奈さん。最初は俺でいい?」
「うん。疲れたら遠慮なく言って。すぐに交代するから」
「わかった」
その後、星斗達は天満ダンジョンの地下一階の通路を進んでいく。その途中、何種類かのBランクモンスターと遭遇するが、それらは星斗が欲しいユニークスキルはもっていなかった。
それから星斗達は地下二階に到達し、その通路を進んでいると、前方から身長が二メートルを超えていて、全身が白い毛におおわれた人型のモンスターが一体現れた。
「あれは……ウェンディゴだわ!」
次回 ウェンディゴ戦 に続く




