第〇〇三話 最初のボス戦
「ボスは倒したけど、今日もダンジョンに行って、少しでもレベルを上げとこう。魔石も、もっと欲しいし」
狩野ダンジョンをクリアしたアンリだったが、まだほかのダンジョンに入る許可が出てないので、今日も同じダンジョンへ行くことにした。そしてその日の午後、星斗も狩野ダンジョンまでやってきた。
「今日は地下三階に行くことを目標にしよう」
星斗は昨日と同じ装備で、狩野ダンジョンをモンスターを倒しながら進んでいく。するとその途中、地下二階の奥のほうの小部屋で宝箱を発見した。
「やった! 宝箱だ!」
星斗は宝箱に近づいて、その蓋を開ける。すると中にポーションがひとつ入っていた。
「ポーションか。まあ、初心者用のダンジョンの宝箱じゃ、こんなものか」
星斗は宝箱の中からポーションを取り出す。すると空になった宝箱が消滅する。ダンジョン内の宝箱は、中身を取ってもしばらくすると、どこかの場所にまた中身が復活して出現した。どういう仕組みでダンジョンの宝箱が出現するのかは、まだ判明していなかった。
「よし、先に進もう」
星斗はさらに地下二階を進んでいき、とうとう地下三階へ降りる階段を発見する。
「ようやく地下三階か。この先にボスが」
地下三階へ降りると、すぐにボス部屋の扉があった。
「よし、作戦通りにいくぞ」
星斗は授業でボスの情報を聞いていたので、事前に作戦を考えていた。そして彼はボス部屋の扉を開ける。すると広い部屋の中央の床に魔法陣があり、そこから人型のモンスターが出現した。
「あれがリビングアーマーか」
そのモンスターの名はリビングアーマー。鋼鉄の剣と鎧を装備しているが、その中身はなく、鎧自体が意志を持って動くDランクモンスターだった。
「よし。まず十メートル以内に近づく。あいつは動きが遅いからいけるはず」
星斗はバックラーを構えながら、ゆっくりとリビングアーマーに近づいていく。一方、リビングアーマーも彼に気づき、剣を構えたまま歩きだす。すると星斗の目の前にウィンドウが開き、
リビングアーマー
ユニークスキル
剣術(C)
コピーしますか?
と表示された。
「コピーする!」
星斗がそう意志を示すと、
ユニークスキル(3/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C) 剣術(C)
とウィンドウに表示された。
「やった! そして!」
星斗は振り返って、入ってきたボス部屋の扉に向かって全力で走り、扉を開けて外に出る。
「上手くいった! 剣術をコピーできた!」
星斗はステータスボードを表示する。
本条星斗
レベル 6
HP 81 MP 38
力 20 防御 18
魔力 13 速さ 19
ユニークスキル(3/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C) 剣術(C)
スキル
オーラブレード
装備
ショートソード 攻+7
バックラー 防+3
鉄の胸当て 防+5
「おお! オーラブレードを使えるようになってる!」
星斗は剣術(C)を入手し、それによって物理スキル「オーラブレード」を習得していた。
剣術(C)
剣で攻撃した時、ダメージが二倍になる。
オーラブレード
魔力をまとわせた剣で攻撃し、
大ダメージを与える。
消費MP 15
「俺にも攻撃スキルが……でも消費MP15なら、今の俺は二回しか使えない。まあレベルが上がって最大MPが上がれば、もっと使えるようになるだろう」
星斗は、リビングアーマーから「剣術」をコピーして逃げるという今回の目標を達成し、一階を目指して戻り始める。その途中、彼はモンスター相手にオーラブレードの試し切りを二回してから狩野ダンジョンを出る。
「よし。明日はリビングアーマーを倒して狩野ダンジョンをクリアするぞ」
そして次の日の午後、星斗は学校の一階にある武器庫に来ていた。そこには事務員がいて、剣や槍などの武器と、鎧や盾などの防具を生徒達に貸し出していた。
「レベルが上がって力が強くなったから、今ならもっと重い装備品も使えるはずだ」
星斗はロングソード、鉄の盾、鉄の鎧を装備する。
「これくらいの重さなら問題なく動けるな」
星斗が装備した鉄の鎧はフルアーマータイプではなく、体の要所要所を守るタイプの鎧で、動きやすいように設計されていた。
「よし。これでリビングアーマーと戦う準備は整った」
星斗はさっそく学校を出て狩野ダンジョンに行って中に入り、マップを見ながら最短距離で地下三階のボス部屋の前に到着する。
「ん? 今日は誰かいるな」
ボス部屋の前に、杖を持ってローブを身に着けたクラスメイトの宇佐美智也が立っていた。
「あっ、確か本条君だっけ」
「そう。君は宇佐美君だよね」
「うん。今、誰かがボス戦してるみたいだから、終わるのを待ってるんだ」
ボス部屋は、誰かが戦っていると外側からは扉を開けられなかった。そして昨日の星斗のように、内側からならボス戦の途中でも開くことができた。
「宇佐美君って魔法が使えるのか?」
「まあね。そういう本条君は剣で戦うタイプ?」
「そう。昨日まではショートソードを使ってたんだけど、今日はボス戦だからロングソードを持ってきた」
そんな話をしているとボス戦の扉が開き、中から槍と鎧を装備したクラスメイトが出てきた。
「おっ、待たせちゃったみたいだな。お先に!」
そのクラスメイトは星斗達の横をゆうゆうと歩いて去っていく。
「じゃあ、俺の番だ。先に行かせてもらうよ」
「うん。気を付けて」
宇佐美がボス部屋の扉を開き、中に入る。そして十分くらい後、彼がボス部屋の扉を開けて出てきた。
「本条君。先生が言ってたとおりだったよ。リビングアーマーは動きが遅くて接近戦しかできないから、距離を取って戦えば勝てるって」
「魔法が使えるなら、楽勝か」
「まあね。本条君も気を付けて。俺は今日は帰るよ。じゃあ」
宇佐美は地下二階への階段を上っていき、星斗はボス部屋の扉を開けて中に入る。すると昨日と同じように広い部屋の中央にある魔法陣からリビングアーマーが出現した。
「俺は今は接近戦しかできないが、装備も強化したし、物理耐性もある。これなら勝てるはず!」
星斗が鉄の盾を構えながらリビングアーマーに接近していくと、リビングアーマーも彼のほうへ歩き出す。そしてお互いが攻撃可能な距離まで近づくと、リビングアーマーは持っていた剣を振り上げて豪快に振り下ろす。それを星斗は左手の鉄の盾で防ぐ。その直後、
「オーラブレード!」
星斗はロングソードに魔力をまとわせ、リビングアーマーにオーラの斬撃を放つ。
「ガッ!」
その一撃がリビングアーマーの右手首に命中して、リビングアーマーは持っていた剣を床に落とした。それを見た星斗は、足で床に落ちた剣を蹴り飛ばす。
「うおりゃあ!」
すかさず星斗は、剣を失ったリビングアーマーに次々と斬撃を放ち、防戦一方のリビングアーマーのHPがどんどん減ってていく。
次回 討伐報酬 に続く




