第二十五話 ライトウィング
星斗達が八王街ダンジョンの地下十一階を進んでいくと、背中に翼がある悪魔の姿の石像に擬態したモンスター、ガーゴイルや、鎧のような硬い殻に覆われた体長が二メートル以上ある蜘蛛、アーマースパイダーなどのCランクモンスターが出現したが、星斗が欲しいユニークスキルを持ってないので普通に倒していく。そして彼らが地下十一階を進んでいくと、メデューサと三体のアーマースパイダーが同時に出現した。
「みんな! 作戦どおりに!」
「はいっ! スピードブースト!」
まず美亜が味方全員の速さ強化スキルを発動し、その後、アンリがメデューサの相手をしている間に、星斗、シルバーナイト、ダークエルフ、智也が、三体のアーマースパイダーを協力して倒す。その後、最後の一体になったメデューサと全員で戦って、今まで通りに勝利する。
「やった! 倒せた!」
「作戦通りに戦えたな」
「おっ、魔石もゲット!」
「これなら、この先も行けそうですね」
アンリはモンスターがドロップした魔石(大)と魔石(中)を回収する。星斗達は、アンリがBランクモンスターを足止めしてる間に、残りを星斗達が先に倒すという作戦を立てていた。
「じゃあ、先に進みましょ」
星斗達はこの作戦を使って順調に進み、地下十二階に到達する。そしてしばらく進んでいくと、通路の先から男性四人組の武装した覚醒者が歩いて近づいてきた。
「あっ、覚醒者だ」
「うちの学校の生徒じゃないみたいね」
「襲ってきたりしないですよね。ここは自衛隊の巡回もないですし」
「大丈夫だと思うけど、警戒だけはしときましょ」
星斗達も何事もないように歩いていく。彼らはここまでに覚醒者学校の生徒以外の覚醒者パーティと何度か遭遇したことがあったが、何事もなく済んでいた。そしてお互いの距離が近づいた時、四人組のひとりが、アンリが装備している赤い鎧の胸にあるギルドバッチに気づく。
「おっ、ライジンギルドか」
「そちらはライトウィングギルドの人でしたか」
アンリも彼らの胸のギルドバッチに気づく。その四人は、日本でランク一位のギルド、ライトウィングギルドのメンバーだった。
「ん? そっちの美人は……ダークエルフ?」
「おお、ダークエルフは初めて見たな」
「ああ、そっちはシルバーナイトか。ということは、その二人は召喚で呼び出したのか」
ライトウィングギルドの一人は、シルバーナイトの銀の鎧の中に人がいないことに気づき、そう判断する。
「そりゃそうだろ。ダークエルフが普通にいるパーティなんて、いるわけがない。ここは異世界じゃないんだ」
「確かにそうだな。ああ、君が召喚したのか?」
「えっ、ええと……」
アンリはいきなりそう質問されたが、星斗の召喚のことは言わなかった。
「おいおい。鍋島。相手のスキルのことを聞くのはマナー違反だろ」
「あっ、そうだったな。すまんすまん。いや、ライジンギルドのバッチをつけた君が召喚したならいいんだが、そうじゃないなら、ダークエルフの姉ちゃんの耳は隠したほうがいい。フードつきのマントとかでな」
「ああ、覚醒者の中には、召喚したモンスターを物扱いして、ダークエルフをよこせとか言う奴もいるかもしれん」
「なるほど。これだけ美人なら、そんなクズが現れてもおかしくない。ライジンギルドのバッチ持ちが一緒なら手を出してこないだろうが、そうじゃないときは気を付けたほうがいい」
(この人達は、ダークエルフのことを心配してくれてるのか)
星斗はライトウィングギルドの四人から敵意を感じず、逆にいい人達のように感じた。アンリもそう感じ、お礼を言う。
「お気遣い、ありがとうございます」
「いや、余計なお世話だったかな。まあいい。それじゃ、俺達はこれで」
ライトウィングギルドの四人は、星斗達が来た方向へ歩いていく。
「いい人達だったわね」
「日本ランキング一位の人達だから、もっとプライドが高くて怖い人かと思ったけど」
「それだけじゃないわ。彼らはかなりの強さだった。歴戦の猛者みたいな感じがしたもの」
アンリは今の四人から強者が持つ独特なオーラを感じていた。
「ライトウィングギルドって、日本で十二人いるSランク覚醒者のうち、七人もいるギルドだから、彼らがSランクなんじゃないか?」
ライトウィングギルドの情報を知っていた智也がそう話す。
「いや。歴戦の猛者といっても、お姉ちゃんほどじゃないような気がする」
「ああ、朝比奈さんのお姉さんはライジンギルドのSランク覚醒者だから、それがわかるのか」
星斗もライジンギルドのSランク覚醒者の情報は知っていた。
「まあね」
「あっ、私、ライトウィングギルドのSランクパーティがテレビに出てたのを見ましたけど、今の人達じゃなかったですよ。四人組のひとりは女性でしたし」
「そうか。何にせよ、悪い人達じゃなくてよかった」
「そうね。じゃあ、先に進みましょ」
星斗達はさらに地下十二階を進んでいく。すると初めて見るモンスターに遭遇する。
「あれは……マンティコアね」
「Cランクだったよな」
「Cランクが四体ですね。私がスキルを使わなくても倒せるはず」
(きた! マンティコア!)
星斗は狙っていたユニークスキルを持っているマンティコアが出現したので心の中で喜ぶ。マンティコアは体長が三メートルくらいある四つ足の獣型モンスターで、頭が人、体が獅子、尾がサソリの姿のCランクモンスターだった。
「グオオオオオオ!」
四体のうち、三体が星斗達に向かって突撃し、残り一体はその場で魔法発動の準備を開始する。
「後ろの奴の魔法に注意しながら戦いましょ」
「わかった」
星斗は魔法の盾を構えながら、突撃してくる三体のマンティコアが接近してくるのを待つ。対して三体のマンティコアは、星斗、アンリ、シルバーナイトを目指して走ってくる。そして、
マンティコア
ユニークスキル
氷魔法(B) 風魔法(B)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前に表示され、
(俺に氷魔法をコピーだ!)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(B) 氷魔法(B) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 取得経験値増加(A) 幸運(A)
(よし、氷魔法がCからBになった。これで氷系中級魔法が使える)
フロストスピア
巨大な氷の槍を作り出して放つ
氷系中級魔法
消費MP 25
「ギャオオオッ!」
「はっ!」
ユニークスキルのコピーに成功した星斗は、自分に突撃してきたマンティコアの爪攻撃を魔法の盾で防御し、その後、風のやいばで斬撃を放つ。
「ガアアアアア!」
その斬撃を受けてひるんだマンティコアに、星斗はスキルを使わずに斬撃を何度も繰り出してダメージを与え続け、そのマンティコアを倒す。その彼の隣では、アンリもスキルを使わずマンティコアを一体倒していた。
「うおおおお!」
自分に向かってきたマンティコアを倒した星斗は、続いてシルバーナイトと戦ってるマンティコアに接近し、シルバーナイトと協力して、そのマンティコアを倒す。その直後、
「魔法が来るぞ!」
智也は残り一体のマンティコアが、頭上に三メートル以上ある氷の槍を作り出したのを見てそう叫ぶ。それと同時に巨大な氷の槍が、前衛にひとりでいるアンリに向かって飛んでいく。
次回 補助と回復 に続く




