第二十一話 Bランクモンスター
「ドロップ率が上がるって……」
そこまで言ってアンリは言葉を止める。
(たぶんドロップ率上昇の効果のある装飾品を手に入れたのね。お姉ちゃんも持ってるけど、かなり貴重な装飾品だから、もしDランク覚醒者がそんなの持ってるのが知られたら、間違いなく狙われる)
アンリは、星斗が詳しくは言えないと言った理由をそう考えた。
「それと、このことは誰にも言わないでくれると助かる」
「わかった」
「俺も」
「私もです」
智也と美亜も、星斗の言葉の意味を察したようだ。
「よし、じゃあ、シルバーナイト、ダークエレメント、召喚!」
星斗が作り出した二つの召喚の魔法陣から、シルバーナイトとダークエレメントが出現する。
「よし。準備完了」
「じゃあ、地下六階に進みましょ」
星斗達は地下五階の転移の石碑のある部屋を出て、地下六階へ降りる階段を目指して進んでいく。その途中、頭が狼で体が人の姿のCランクモンスター、ワーウルフが四体出現し、彼らを目指して突撃してくる。すると星斗の目の前にウィンドウが表示され、
ワーウルフ
ユニークスキル
速さ激化(C)
誰にコピーしますか?
と表示され、
(今回はコピーしない)
星斗が心の中でそう意志を示すと、そのままウィンドウが消える。そして四体のワーウルフが、前衛にいる星斗、アンリ、シルバーナイトに襲い掛かるが、彼らはそれぞれの剣で斬撃を放って問題なく倒す。
「本条君がいるのと、いないのでは、安心感が全然違うな」
「そうですね。また私達の出番が少なくなりそうです」
後衛の智也と美亜が、前衛の三人の戦いを見てそう話す。
「おっ、さっそく魔石が二個!」
アンリが、ワーウルフがドロップした二つの魔石(中)をアイテムボックスに収納する。
「本条君って凄い……。これだけじゃなくて、モンスター召喚と、アイテムボックスも持ってますし」
「確かにこのことが知られたら、あちこちのギルドからスカウトが来るだろうな」
「だから、めんどうなことになりそうだから、内緒にして欲しいんだよ」
そう言いながらワーウルフを倒した星斗が、智也と美亜の近くに来る。
「それはいいけど、もう本条君は校内ランキング戦で優勝候補のひとりだから、すでに有名人だよ」
「ああ、そうだった。これ以上は目立たないようにしないと」
(本条君……今までと何か違う)
二週間くらいぶりに星斗と一緒に戦ったアンリは、彼が前より強くなっているような感じがしていた。
(ダンジョンで二週間、戦ってたら強くなるのはわかるけど、彼はランキング戦の予選で戦ってたはず……)
アンリは対人戦では経験値はもらえず、予選で勝利しても、まだ賞品をもらえないので、彼の今の強さに疑問を持つ。星斗は剣術だけみてもCランクからAランクに上がり、その強さが強化されていた。
剣術(C)
剣で攻撃した時、ダメージが二倍になる。
剣術(A)
剣で攻撃した時、ダメージが三倍になる。
(うーん。ランキング戦の予選では、十個あるユニークスキルに罪悪感があったけど、モンスター相手のダンジョンでは、十個でも足りない。速さ激化も欲しかったけど、消すスキルがない)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 取得経験値増加(A) 幸運(A)
星斗は自分のステータスボードを見ながらそう考える。
「さあ、地下六階に行きましょ」
ワーウルフを倒した星斗達は、ダンジョンの地図を見ながら最短距離で進んで階段を下りて、地下六階に到着する。
「ここから自衛隊の巡回もないし、Cランクだけじゃなく、Bランクのモンスターも出現するから、今まで以上に警戒しながら進みましょ」
「Bランクモンスターが出現したら、私が最初にスピードブーストを使います」
「うん。佐藤さん。お願いね」
美亜はこれまで稼いだお金で、仲間全員の速さを上昇させるスキル、スピードブーストのスキルブックを購入し、使えるようになっていた。
「じゃあ、この階は、最短距離で進むんじゃなくて、宝箱を探しながら進みましょ」
星斗達は地下六階の通路を地図を見ながら進んでいく。すると立派な剣と鎧を装備した骸骨のモンスター、スケルトンナイトや、頭が猫で体が人の姿のワーキャットなどのCランクモンスターが出現したが、星斗達は問題なくそれらを倒して進んでいく。そしてしばらくすると、通路の先に今までとは雰囲気が違う一体のモンスターが現れた。
「あっ、あいつは……」
「メデューサ! Bランクモンスターだ!」
現れたのは、上半身が女性、下半身が蛇の姿で、頭には髪の毛の代わりに複数の蛇が生えているBランクモンスター、メデューサだった。
「シャーーーッ!」
メデューサも星斗達の存在を認識し、全身に闇のオーラをまといながら、ゆっくりと近づいてくる。
(メデューサ、きた!)
星斗は待望のユニークスキルを持っているモンスターが現れたので、心の中で喜ぶ。
「メデューサって、神話では目が合うと石化するとかあったけど、ここに出現するのは石化能力はないんだよね」
「授業では先生はそう言ってたけど、実際に対峙するとちょっと不安ね」
「石化はなくても、毒攻撃と麻痺攻撃を持ってるらしいので、その時は私の魔法で回復します。でもその前に……スピードブースト!」
美亜がスピードブーストを発動する。すると仲間全員の体が赤いオーラで包まれ、彼らの速さが一時的に上昇した。
「おお! これが能力強化系のスキルか!」
「体が軽い!」
「これならBランクモンスターとも戦えるわ。本条君、行きましょ」
「わかった。シルバーナイト、行くぞ!」
「はっ、召喚者殿に勝利を!」
前衛の星斗、アンリ、シルバーナイトは、メデューサの動きを警戒しながら歩き出して、迫ってくるメデューサと距離を詰める。後衛の智也は魔法発動の準備を始め、美亜はいつでも回復魔法を使えるように準備する。ダークエレメントは闇魔法と氷魔法を使えるが、氷魔法を使えることを仲間達に知られるとまずいので使えず、闇属性モンスターであるメデューサには闇魔法は効きづらいので、今回は何もせずユラユラしながら待機している。
(よし、十メートル以内に……)
星斗とメデューサの距離が十メートル以内になる。すると、
メデューサ
ユニークスキル
雷魔法(B) 最大MP増加(B) 魔力激化(B)
どれを誰にコピーしますか?
と星斗の目の前に表示された。
次回 メデューサ戦 に続く




