第二十〇話 八王街ダンジョン戦
「試合開始!」
「うおおおおおおお!」
試合開始直後、伊達は全力で走りだし、鋼鉄製のナックルを装備した右手で星斗を狙って拳を放つ。
「速っ!」
その右ストレートを、星斗は騎士の盾で防ぐ。
「まだまだ!」
さらに伊達は左手で突きを放ち、その後、右足で前蹴りを放つ。その後も彼の連続攻撃が続き、星斗は防戦一方になる。
「くっ」
(連続攻撃で、俺に召喚させない作戦か)
星斗は物理耐性を持ち、騎士の盾で防御してるので大きなダメージは受けてないが、シルバーナイトを召喚する隙がなかった。
(このままじゃ召喚できない。ならば!)
星斗は、伊達の右回し蹴りをバックステップで回避しつつ、左手の騎士の盾で、右手で持っている風のやいばを隠しながら、その剣身に魔力をまとわせる。その直後、
「ハイオーラブレード!」
星斗は、騎士の盾で伊達に見えないようにしていた風のやいばを、全力で突き出す。
「ぐあっ!」
いきなり放たれた星斗の突きを伊達は避けられず、剣身にまとわせていた魔力が伊達の胸に突き刺さる。
「ぐっ」
その一撃でダメージを受けた伊達は、数歩、後ずさる。
(しまった……モンスターを召喚されてしまう)
「はっ!」
一方、星斗はシルバーナイトを召喚せず、その場から数歩踏み出し、さらに風のやいばで斬撃を放つ。
「ぐああああああ!」
伊達は、星斗がシルバーナイトを召喚すると決めつけていたが、星斗はそうせずに追撃してきたので、その急な攻撃に対応できなかった。その結果、星斗の斬撃が伊達の体に直撃し、彼の胸の身代わりバッチが粉々に砕け散った。
「勝者! 本条星斗君!」
「おおおお!」
「さすが優勝候補!」
「あいつ、モンスターを呼び出さなくても強いじゃん!」
星斗と伊達の戦いを観戦していた生徒達が騒いでいる。
「ふう、何とか勝てた」
(レアスキルも手に入ったし、一度も負けなかったし、最高の予選だった)
星斗は戦闘舞台の上から降りて自分のステータスボードを表示する。
本条星斗
レベル 18
HP 240 MP 184
力 56 防御 48
魔力 54 速さ 51
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 取得経験値増加(A) 幸運(A)
スキル
オーラブレード 魔法障壁 アイスバレット
クリエイトウォーター モンスター召喚
クリーン 気温調節 ハイオーラブレード
竜麟斬り 氷結斬
装備
風のやいば 攻+45 風属性武器
騎士の盾 防+12
騎士の鎧 防+18
守りの指輪 防+5
力の指輪 攻+5
魔力の首飾り 魔+8
(ユニークスキルのランクもだいぶ上がった。でも防御激化がなくなったから防御面が弱くなった。今度はもっといい防具を買うか)
星斗の校内ランキング戦の予選は十戦全勝で終わり、次の日の朝、第七覚醒者学校の一年一組の教室で星斗と智也が話している。
「本条君、昨日の試合は?」
「勝ったよ」
「じゃあ、十戦全勝か。凄いな」
「それで八王街ダンジョンのほうはどう?」
星斗が校内ランキング戦の予選をしている間、智也、アンリ、美亜の三人は、学校が岩井ダンジョンの次に攻略することを推奨している八王街ダンジョンの攻略をしていた。
「地下五階までで止めてるよ。地下六階からはBランクのモンスターが出るし、自衛隊の巡回もないし」
今の自衛隊のダンジョン内で使える兵器では、Bランクのモンスターを倒すことは難しかった。
「だから本条君が予選が終わるまで進むのを待ってたんだ」
「わかった。じゃあ、今日からダンジョン攻略に復帰するよ。本戦は一か月以上先だし」
「やった! じゃあ、朝比奈さんと佐藤さんが来たら、今日の午後からダンジョンに行けるか聞いてみよう」
そしてその日の午後、星斗、アンリ、智也、美亜は、学校から出ているバスに乗って八王街ダンジョンにやってきた。八王街ダンジョンは、地下十五階まである地下迷宮型の巨大なダンジョンで、その周囲には、ほかのダンジョンと同じように覚醒者ショップや自衛隊の待機所や救護施設などが建てられていた。
「ここは学校で貸切ってないから、学生じゃない覚醒者も来てるんだ」
星斗達が八王街ダンジョンの入口付近に来ると、複数の覚醒者達の姿が見えた。
「それは危ないんじゃないか? 初心者狩りとか」
「いや、ここに来てる時点でもう俺達は初心者じゃないし、地下五階までなら自衛隊が巡回してるから、その心配はないよ」
「なるほど」
「まあ、これから自衛隊が巡回できない階層に行くんだけどね。それより本条君はひとりでここを攻略したいんじゃないの?」
「いやいや、学校で貸切ってないダンジョンは初めてだし、Bランクのモンスターとも戦ったことないし、ひとりでは不安だよ」
「まあ、そうか」
その星斗と智也のやりとりを聞いていたアンリが、二人の会話に加わる。
「ああ、宇佐美君。戦利品の分配のこと、本条君に話した?」
「いや、まだ話してなかった」
「戦利品の分配?」
「そう、学校の指示で、前のダンジョンでは全部現金化して四等分してたけど、これからは自由だから、ルールを私達で決めたの」
「へー、それでそのルールって?」
「魔石はこれまで通り四等分だけど、ほかの戦利品はダンジョンから帰ってきてから、じゃんけんで順番を決めて、好きなものをひとつづつ選んでいくの」
「なるほど、戦利品が四つあれば、四人でひとつづつ手に入るわけだ」
「そう。本条君もそれでいい?」
「ああ、問題ない」
「それじゃあ、ダンジョンに入りましょ」
星斗達は入口の覚醒者協会の職員に覚醒者カードを見せて中に入り、入口の近くにある転移の石碑の前までくる。
「じゃあ、地下五階に行きましょう」
「あっ、俺は地下五階まで行ったことないけど、転移できるのかな?」
「うーん。わからないから試してみましょ。もし本条君だけ転移できなかったら、戻ってくるから」
「わかった」
アンリは転移の石碑で地下五階を選択する。するとアンリ、智也、美亜、星斗は、一緒にその場から消えて地下五階へ無事、転移できた。
「ふぅ、転移できた」
「パーティを組んでれば、行ったことがない人がいても転移できるみたいね。それじゃあ、地下六階へ……」
「ちょっと待って。その前にみんなに話しておきたいことがあるんだ」
「話したい事?」
「うん。詳しくは話せないんだけど、俺と一緒にいると、モンスターを倒した時の魔石とか宝箱のドロップ率が今までより上がると思う」
次回 Bランクモンスター に続く




