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第〇〇二話 狩野ダンジョン戦

「一撃で倒せた。物理耐性を持ってても、ブルースライムは元々のHPが低いんだな。それと……ドロップは、なしと」


 モンスターは、倒すとその体は完全に消え、低確率でアイテムをドロップすることがあるのだが、今回は何もドロップしなかった。


「それより!」


 星斗はステータスボードを表示して、ユニークスキル欄にある物理耐性(C)をタッチする。


 物理耐性(C)

 物理ダメージ20%減。


「おお! 20%! これはランクが上がれば、もっと減らしてくれるはず。今はこれでも十分だ。さてと」


 星斗は通路の先のほうを見る。すると遠くにまたブルースライムを発見した。


「よし。先生が言ってたとおり、ブルースライムを倒しまくってレベルを上げよう」


 この後、星斗は地下一階を歩き回り、次々とブルースライムを倒していく。すると……


「おっ! 魔石をドロップした!」


 ブルースライムを倒してその体が消えると、そこには小さな青い石があった。


「これが魔石(極小)か」


 魔石は魔力が宿っている特殊な石で、覚醒者協会が買い取りをしていた。


「極小の魔石は二千円で買い取ってもらえるから、いい小遣い稼ぎにはなるな」


 その後も星斗は地下一階でブルースライムを倒し続け、彼はレベルが3になった。


 本条星斗ほんじょうせいと

 レベル   3

 HP   65   MP   21

 力    13   防御   11

 魔力    9   速さ   12


 ユニークスキル(2/10)

 ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C)


 スキル



 装備

 ショートソード   攻+7

 バックラー     防+3

 鉄の胸当て     防+5



「目標のレベル3になったし、今日はもう戻ろう」


 レベル3になるまでに、星斗は魔石(極小)を二つ手に入れ、彼は地下一階から出入口への階段を目指して戻り、狩野ダンジョンを出る。するとそこに担任の教師が待っていて、彼の周囲に今日の戦いを終えた数人の生徒がいた。


「本条も無事、戻ったか。今日はこれで解散だ。帰っていいぞ」

「はい。お疲れさまでした」


 星斗は狩野ダンジョンを出て、どこにも寄らず家に帰り、その日が終わる。そして次の日の午前中の授業で、担任の教師が今後の予定を話している。


「今日の午後からは自由行動だ。ダンジョンに行ってもいいし、訓練場で訓練してもいい。ただし、入場できるダンジョンは、今は狩野ダンジョンだけだ。狩野ダンジョンをクリアした者は、狩野ダンジョンを周回するか、自主訓練しててくれ」

(もちろんダンジョンに行く。今日は地下二階に行ってみよう)


 そして午後になり、星斗は狩野ダンジョンにやってきた。彼は出入口の覚醒者協会の職員に学生証を見せて中に入る。彼は昨日と同じくショートソード、バックラー、鉄の胸当てを装備してるが、それに加えて今日はポーションを三つ持っていた。ポーションとは戦いで傷ついた体を治す薬のことで、覚醒者学校から支給されていた。


 ポーション HPを小回復


「まずは地下二階に行こう」


 星斗は狩野ダンジョンの紙の地図を確認して地下一階を最短距離で進み、途中のブルースライムは無視して地下二階に到着する。


「ここからは違うモンスターが出る。ゆっくり進もう」


 星斗は地図を見て警戒しながら先に進んでいく。すると通路の先に体長一メートルくらいあるEランクモンスター、巨大アリが一体出現した。星斗はショートソードとバックラーを構えて巨大アリに近づく。


「巨大アリはユニークスキルは持ってない。普通に倒してしまおう」


 星斗は授業で地下二階に出現するモンスターの詳細を聞いていた。


「ギギッ!」


 星斗に気づいた巨大アリが、彼めがけて突撃してくる。それに対し彼はショートソードを巨大アリの頭部めがけて振り下ろす。


「ギギャッー!」


 その一撃によって巨大アリは頭部にダメージを受けて動きが鈍る。


「はっ!」


 その隙に星斗は再びショートソードを同じ頭部を狙って振り下ろし、巨大アリを倒した。床に倒れて動かなくなった巨大アリの体は、数秒後、消滅する。


「今の俺では巨大アリを倒すのに、二撃、必要なのか。まあ、ここのダンジョンはモンスターは団体行動はしないって言ってたからいいけど、複数で来られたらやばいな」


 モンスターが集団で行動するダンジョンでは、覚醒者達もパーティを組んで攻略するのが普通だった。


「よし、先に進もう」


 その後、鋭い牙を持つ巨大なコウモリ、ジャイアントバットや、頭に角があり体長が八十センチくらいある角ネズミなどのEランクモンスターが出現したが、それらもユニークスキルは持ってないので星斗は倒しながら進み、彼が狩野ダンジョンに入ってから二時間が過ぎた。


「ここまででレベル5になった。魔石は極小が四個か。このダンジョンで魔石を集めても強い武器を買うのは無理だな。しばらくは学校にある装備品を使うしかない」


 星斗はスマホの時計を見ながら考える。


「戻る時間を考えると、このへんで今日はもう帰ろう」


 星斗はそこからモンスターを倒しながら引き返し、狩野ダンジョンから出てその日が終わる。そして次の日の朝、彼が教室に入ると女子生徒達の話し声が聞こえてくる。


「朝比奈さん。もう狩野ダンジョンのボス倒したの?」

「うん」

「さすがねー。やっぱ、天才は違うわ」

「朝比奈さん。もう狩野ダンジョンクリアしたんだって」

「すごっ、ギルド入りが決まってる人は、私達とは違うわね」


 二日目で狩野ダンジョンをクリアしたその女子生徒の名は 朝比奈アンリ(あさひなあんり)。長く艶やかな髪、整った顔だちで、誰もがうらやむ容姿だが、さらに彼女はユニークスキル、「天才(S)」を持っていた。そして制服の胸にギルドバッチをつけている。

 ギルドというのは覚醒者達が集まってできた組織で、日本にはたくさんのギルドがあり、彼女はライジンギルドという国内第三位の戦力を持つギルドに入っていた。


「お姉ちゃんがギルドマスターだから、ギルドに入っただけで、そんなに凄くないよ」

「いやいや。Sランクの天才のユニークスキルを持ってるだけでも凄いことじゃん。大手ギルドのギルマスでも天才持ちはAランクなのに」


 普通は自分が持つユニークスキルを公表しないのだが、自分の優良性を誇示するため、公開する者もいた。


(はぁ、お姉ちゃんが私のSランクの天才を公表しちゃうから、学校で目立つことに……まあいいけど)


 アンリは、天才(S)と、ライジンギルドのギルドマスターの妹ということで、第七覚醒者学校で有名人だった。


 天才(S)

 ステータスの能力値と、

 天才を除くユニークスキルと

 スキルの効果が三倍になる。



 次回 最初のボス戦 に続く

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