第〇十九話 レアスキル
「それまで! 勝者、本条星斗君!」
「おおおお!」
「優勝候補を倒した!」
「すげぇー!」
審判が星斗の勝利を宣言し、観戦していた生徒達が騒いでいる。
「あいつ、魔法も使えたのか!」
「おそらく、あの魔法が奥の手だったんだろう」
「今のモンスター使いの戦い方は見事だった。最後は自分をおとりにして銀の騎士が攻撃する隙を作っていた」
「優勝候補を倒したんだ。これからは奴が優勝候補だな」
「あのモンスター使いは、剣術と召喚と氷魔法のユニークスキルを持ってるんだろう。後で戦うかもしれないしメモしておこう」
星斗の戦いを観戦していた生徒達は、これまで以上に彼に注目する。
(よし。Aランクの剣術を手に入れたぞ)
星斗はシルバーナイトを帰還させてから戦闘舞台を降りて、ステータスボードのスキル欄を確認する。
竜鱗斬り
ドラゴン族に特大ダメージを与える剣技。
消費MP 30
氷結斬
武器に冷気をまとわせて放つ剣技。
消費MP 25
(おお! 二つも剣技を覚えた。氷結斬は、氷魔法のユニークスキルを持ってるから習得したんだろう。それと……)
星斗は右の袖に付けている身代わりバッチを見ながら考える。
(予選の戦いで、初めてダメージらしいダメージを受けた。このバッチは衝撃や痛みは代わりに受けてくれないようだ。おそらく怪我だけを身代わりするんだろう)
身代わりバッチは、星斗の考え通りの仕様になっていて、さらに戦闘中、ポーションなどの回復薬を飲んでも、身代わりバッチに蓄積されたダメージを回復することはできななかった。
(うーん。優勝候補相手に、盾で一撃を受けただけで勝ってしまった。出場してるみんなのユニークスキルは最大で三つなのに、俺は十もあるんだから当然だけど、少し罪悪感が……)
星斗は根がまじめなので、この状況は自分がずるして勝ったみたいな気になっていた。
(俺の目的は、対戦相手のユニークスキルをコピーすることだから、無理して戦いに勝つ必要はないんだよな。予選だけ戦って、本戦は棄権しようか……いや、本戦でもっと強いスキルをコピーできる可能性がある。そうだ。縛りプレイしよう。なら……)
星斗は罪悪感を減らすため、自分の使うスキルに制限をかけようと考える。
(今後、使うスキルは、すでに使ったハイオーラブレードとアイスバレット。そしてモンスター召喚はシルバーナイトだけにしよう)
その後、予選の戦いはさらに進み、星斗の八戦目の相手は、コピーしたいユニークスキル持っていなかったので普通に倒し、そして九戦目になる。
「本条星斗君。結城翼君。戦闘舞台へ上がってくれ」
審判に名前を呼ばれた二人は、戦闘舞台の上に立つ。結城は魔導士の杖と魔導士のローブを身に着けていた。
「相手は魔法使いか」
星斗と結城が戦闘舞台の上で対峙する。すると、
結城翼
氷魔法(B) 火魔法(C)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(それなら氷魔法をダークエレメントにコピーだ)
星斗は次に自分が持っていないユニークスキルが手に入った時、氷魔法(C)を上書きするつもりなので、氷魔法(B)はダークエレメントにコピーした。
ダークエレメント
ユニークスキル(2/3)
闇魔法(C) 氷魔法(B)
「試合開始!」
「シルバーナイト召喚!」
星斗はいきなりシルバーナイトを召喚する。
「ふん。突撃してきたらファイアーボムで返り討ちにしたのに」
「それは何日か前に見てたからな」
結城が数日前の予選の戦いで、対戦相手が突撃してきたところに火系下級魔法を放ってカウンター攻撃していたのを星斗は見ていた。
「ならばこの魔法の威力も見ただろう!」
結城は魔導士の杖をかかげ、魔力を極寒の冷気に変換する。
「シルバーナイト、作戦通りに」
「はっ、召喚者殿に勝利を!」
シルバーナイトは星斗のうしろに隠れるように移動し、星斗は結城の魔法を待ち構える。
「フロストスピア!」
一方、結城は三メートルを超える氷の槍を作り出して放つ。それに対し星斗は、その高速で放たれた氷の槍を防ぐため、騎士の盾を構えたまま魔法障壁を展開する。
「ふん! そんな障壁など!」
結城が放った氷の槍が、星斗が作り出した魔法障壁を破壊し、さらに星斗の騎士の盾に激突する。
「ぐあっ!」
星斗は騎士の盾のおかげで氷の槍の直撃は避けられたが、その衝撃と冷気でダメージを受ける。その直後、彼の後方にいたシルバーナイトが、結城に向かって突撃する。
「くっ!」
(今のフロストスピアで倒せなかったら、俺の負けだ)
結城は氷系中級魔法を放った直後で、次の魔法を撃つことができず何もできなかった。
「ハイオーラブレード!」
「ぐああああ!」
そのシルバーナイトの魔力の斬撃によって、結城の胸の身代わりバッチは砕け散った。
「勝者! 本条星斗君!」
「おおお!」
「あのモンスター使い、また勝った!」
「やはり魔法使いはこの戦いは不利だな」
「そうだな。魔法を防がれたら、もう負け確定だからな」
「連続魔法のスキルがあれば違うんだろうが」
星斗の戦いを観戦していた生徒達がそんな話をしている。
「シルバーナイト、よくやってくれた」
「はっ」
星斗はシルバーナイトを帰還させ、戦闘舞台の上から降りる。
(俺の魔法障壁は壊れたけど、相手の魔法の威力を弱体化させることはできていた。魔法障壁は魔力で強度が変わるから、魔力とMPが増える氷魔法を上書きするのはまずいかもしれない。なら次に上書きするのは防御激化にしよう。これならストーンゴーレムからいつでもコピーできるし)
星斗はそんなことを考えながら、ほかの予選の戦いを観戦する。そして次の日の午後、星斗は予選の最終戦を申請し、順番を待つ。
「次は……本条星斗君、そして伊達信行君」
名前を呼ばれた星斗と、両手に鋼鉄製のナックルを装備している伊達が舞台の上で対峙する。すると、
伊達信行
格闘術(B) 取得経験値増加(A)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(取得経験値増加きた! これを俺の防御激化に上書きする!)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 取得経験値増加(A) 幸運(A)
取得経験値増加(A)
モンスターを倒した時に入手する
経験値が二倍になる。
次回 八王街ダンジョン に続く




