第〇十八話 優勝候補
「おおおおお!」
「すげー!」
「今のは何だ?」
「おそらくモンスター召喚だ」
「あんなの卑怯だろ。一対二で戦うようなものだ」
「いやいや。モンスター召喚も立派なスキルだ。それにあれだけ強いモンスターなら、呼び出すのに大量のMPが必要なはずだ」
星斗の戦いを見ていた生徒達が、そんな話をしながら盛り上がっている。
「シルバーナイト、戻ってくれ」
「はっ」
予選の二戦目に勝利した星斗は、シルバーナイトを帰還させて戦闘舞台の上から降りる。
(二戦目でシルバーナイトを呼び出したのは早かったかな。いや。戦闘が長引けば、それだけ俺の手の内を見せることになる。シルバーナイトの力を借りれば、戦いが早く終わる。よし、今後もこの作戦でいこう。ああ、そうだ。気配察知は……)
気配察知(B)
周囲十五メートル以内の人間とモンスターの
存在と位置を知ることができる。
(Cランクの時は十メートルだったから、Bになって五メートル増えた。よしよし、確実に強くなってる)
予選の戦いとスキルの確認を終えた星斗は、その後の戦いも観戦してその日が終わる。そして次の日の午後、星斗は予選の三戦目をするが、対戦相手が欲しいユニークスキルを持っていなかったので、彼はシルバーナイトを召喚して普通に勝利する。そして次の日の四戦目、
「次の戦いは……本条星斗君、そして安田哲夫君」
星斗は戦闘舞台の上で、騎士の剣と騎士の鎧を装備している安田と対峙する。すると、
安田哲夫
剣術(B) 槍術(C)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(剣術を俺に!)
星斗の剣術のランクがCからBに上がって、彼は新たなスキルを習得した。
ハイオーラブレード
強大な魔力をまとわせた剣で攻撃し、
敵に特大ダメージを与える。
消費MP 25
(これでシルバーナイトと同じスキルを使えるようになった。よしよし)
この戦いも星斗はシルバーナイトと共に戦い、安田に圧倒的な力の差を見せつけて倒した。その後、五戦目、六戦目は、星斗がコピーしたいユニークスキルを相手が持ってなかったので普通に倒し、そして七戦目、
「次の試合、後藤智明君、本条星斗君、舞台の上へ!」
審判に名を呼ばれ、星斗と後藤が戦闘舞台の上に上がる。
「おお! 二組の後藤だ!」
「ああ、優勝候補って言われている奴か」
星斗の今回の相手は、第七覚醒者学校、一年二組で最強と噂される後藤だった。彼はバスターソードと、重騎士の鎧、重騎士の盾を装備している。
「相手のモンスター使いも、かなり強いぞ。これはいい戦いになるんじゃないか」
「ああ、楽しみな戦いだ」
予選の戦いを観戦している生徒や教師達が注目しているなか、星斗と後藤が戦闘舞台の上で対峙する。すると、
後藤智明
剣術(A) 力激化(B) 速さ激化(B)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(おお。これは強い組み合わせだ。優勝候補と言われるだけある。うーん、Aランクの剣術と、Bランクの速さ激化、どっちを取るか……)
「では試合開始!」
星斗がユニークスキルをコピーする前に審判が戦闘開始を宣言する。
「あっ、やばっ!」
「モンスターを召喚される前に叩く! うおおおおおおお!」
後藤は剣に強大な魔力をまとわせながら星斗に向かって突撃していく。彼は星斗のこれまでの戦いを見ていて、モンスター召喚が使えることを知っていた。
(くっ、剣術を俺にコピーだ!)
一方、星斗は慌てて心の中でそう意志を示し、
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(A)
気配察知(B) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 防御激化(B) 幸運(A)
とウィンドウに表示されたが、星斗はすぐにそのウィンドウを閉じて騎士の盾を構える。
「ハイオーラブレード!」
後藤が強大な魔力の斬撃を放ち、それを星斗が騎士の盾で受け止める。
「ぐっ」
(物理耐性と防御激化を持っていても、この衝撃か)
後藤の魔力の斬撃は、彼の力激化のおかげで威力が大幅に強化されていた。
「ならこっちも! ハイオーラブレード!」
今度は星斗が強大な魔力をまとわせた風のやいばを後藤を狙って放つ。その魔力の斬撃も、力激化で威力が強化されていた。
「ぐおっ!」
後藤も重騎士の盾を構えて星斗の斬撃を受け止めたが、その衝撃によって全身にダメージを受けて、数歩、後ずさる。
「シルバーナイト召喚!」
その隙に星斗は魔法陣からシルバーナイトを召喚し、二方向から後藤に接近してさらに斬撃を繰り出す。
「ハイオーラブレード!」
「ハイオーラブレード!」
星斗とシルバーナイトの同時攻撃を、後藤は高速の動きで回避して、さらに後方に移動する。
「むっ、速い!」
(これが速さ激化の効果か。こっちも欲しかったけど、コピーできるのはひとつだけだから、ほかからコピーするしかない)
「ちっ、モンスターを召喚されたか」
(だが速さは俺のほうが勝っている。まず片方に攻撃を集中させて……)
後藤は星斗とシルバーナイトとどうやって戦うか、事前に作戦を決めていた。
「シルバーナイト! 突撃!」
「はっ!」
一方、星斗はシルバーナイトを後藤に向かって突撃させる。
「むっ。また同時に攻撃してくると思ってたが、モンスターだけで攻撃させるとは慎重だな」
(丁度いい。まずモンスターの方を片づける!)
後藤は接近してくるシルバーナイトを狙って、魔力をまとわせた剣を振り上げる。その時、
「シルバーナイト! よけろ!」
その星斗の言葉にシルバーナイトは即座に反応し、後藤の右側へ移動する。
「アイスバレット!」
星斗が、先がとがった氷の塊を三つ作り出し、それを後藤を狙って放つ。
「なっ! 魔法だと!」
後藤は迫ってきた三つの氷の塊のうち、一つだけ剣を振り下ろして砕いたが、残り二つの氷の塊が彼の体に命中する。
「ぐあっ!」
「ハイオーラブレード!」
そこへ後藤の右側に回り込んでいたシルバーナイトが、強大な魔力の斬撃を放つ。星斗の氷系下級魔法は威力は低かったが、シルバーナイトが攻撃スキルを命中させるための隙を作ることはできた。
「ぐはっ!」
「うおおおおおお!」
大ダメージを受けてふらついている後藤に向かって今度は星斗が走りだし、それを見た後藤は剣を杖のように使い、態勢を立て直そうとする。そこへ意識が星斗に向かっていた後藤に、彼の後方に移動していたシルバーナイトが魔力をまとわせた斬撃を放つ。
「ハイオーラブレード!」
「ぐああああああ!」
その一撃によって、後藤の身代わりバッチが粉々に砕け散った。
次回 レアスキル に続く




