第〇十七話 対人戦
「やっぱ、魔法使いは不利だな」
「そりゃそうだよ。魔法を使う前に攻撃されたら終わりだもの」
戦闘舞台の上の戦士風の生徒と、魔法使い風の生徒の戦いを観戦している生徒達が、そんな話をしている。
(なるほど、だから宇佐美君は出場を考え中って言ってたのか)
星斗は彼らの言葉を聞いてそう考える。
「でも下級魔法なら発動が早いから、相手が接近する前に撃てるんじゃないか?」
「微妙なところだな。魔法発動の準備時間は人によって違うから、早い奴なら間に合うかもな」
(へー、俺も対魔法使い戦の時は、作戦を考えとかないと……)
星斗はそんなことを考えながら、戦闘舞台の上で行われている戦いを観戦している。その後、予選の戦いが進み、
「次の試合は、本条星斗君! 村上和彦君!」
戦闘舞台の上の審判に名前を呼ばれ、星斗は戦闘舞台に備え付けてある階段から舞台に上がる。一方、対戦相手の村上は、筋肉質の体で戦斧を両手で持ち、全身に重厚な鎧を装備していて、彼も戦闘舞台に上がる。
(さて、人相手に本当にコピーできるんだろうか)
星斗と村上が戦闘舞台の上で対峙する。その距離は十メートル以内だった。すると、
村上和彦
斧術(B) 幸運(A)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(剣術があるから斧術はいらない。幸運を俺にコピーだ!)
星斗がそう心の中で意志を示すと、
「ユニークスキル枠がいっぱいです。上書きするユニークスキルを選んでください」
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 防御激化(B) 闇魔法(C)
とウィンドウに表示され、
(闇魔法はダークエレメントも持ってるし、闇魔法に上書きする!)
と星斗が心の中で意志を示すと、
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 防御激化(B) 幸運(A)
とウィンドウに表示された。
(きた! Aランクユニークスキル! それにこれはレアなユニークスキルだ!)
幸運(A)
モンスターがアイテムや魔石を
ドロップする確率が上昇する。
(今まで戦ってきたモンスターは、ランクが低かったから、コピーするユニークスキルのランクも低かったけど、人間相手ならAランクやSランクもコピーできる可能性がある)
「では試合開始!」
「うおおおおお!」
審判が戦闘開始を宣言し、村上が戦斧に強大な魔力をまとわせ、星斗に向かって突撃していく。
「大地裂斬!」
「うおっ!」
ユニークスキルコピーに気を取られていた星斗は、反応が遅れたのでその攻撃をよけられず、彼は村上の斧の物理スキルを騎士の盾で受け止める。
「何っ! 俺の渾身の一撃を片手で!」
物理耐性と防御力激化を持っている星斗は、余裕をもって村上の一撃を受け止めることができた。
「オーラブレード!」
すかさず星斗は風のやいばに魔力をまとわせ、魔力の斬撃を村上を狙って放つ。
「ぐあああああ!」
力激化で強化された星斗の魔力の斬撃が村上の体に直撃し、彼の胸についていた身代わりバッチが砕け散った。
「勝者! 本条星斗君!」
「おおおおお!」
「強い!」
「一撃かよ!」
審判が星斗の勝利を宣言し、観戦している生徒や先生達が彼の強さに驚いている。
(戦士系同士の戦いなら、ユニークスキルのおかげで問題なく倒せるな)
普通の人間はユニークスキルが最大でも三つなので、たくさんユニークスキルを持っている星斗は、有利に戦いを進めることができた。
(初戦で幸運が手に入ったのは運がいい。闇魔法とか氷魔法は必要な時はダンジョンにいけば手に入るから、次に新しいユニークスキルがきたら氷魔法に上書きしよう。それに魔法が必要な時はダークエレメントがいるしな)
星斗はそんなことを考えながら戦闘舞台の階段を下りていく。
(この後の試合も見ておいたほうがいいな。強そうな奴のスキルや戦い方を覚えておかないと)
星斗は自分の戦いが終わった後も、予選の戦いを最後まで観戦してその日が終わる。そして次の日の午後、星斗は運営委員に予選の二回戦をすることを申請し、数試合後、
「次は、本条星斗君、朝倉奈々子さん、戦闘舞台に上がってくれ」
審判に名前を呼ばれ、武装した星斗と、弓と胸当てを装備したポニーテールの女子生徒が戦闘舞台に上がり、二人は対峙する。すると、
朝倉奈々子
弓術(B) 気配察知(B)
どれを誰にコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(気配察知を俺にコピーだ!)
ユニークスキル(10/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(C)
気配察知(B) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(B)
アイテムボックス(B) 防御激化(B) 幸運(A)
とウィンドウに表示された。
(よし、気配察知が、CからBにランクアップした!)
「試合開始!」
審判がそう宣言し、朝倉はその場で魔力をまとわせた弓矢を構える。
「三連射撃!」
朝倉は三度、間隔を開けずに魔力をまとわせた矢を連続で放つ。その高速で飛んでくる三本の矢を、星斗は騎士の盾ですべて受け止めた。
「むっ。全部、防がれた」
朝倉はさらに攻撃するため、背中の矢入れから矢を取って、星斗に狙いを定める。
「シルバーナイト召喚!」
一方、星斗はシルバーナイトを召喚し、二人同時に朝倉へ向かって盾を構えながら走りだす。
「なっ!」
朝倉は、いきなり現れたシルバーナイトが、星斗と同時に迫ってきたので驚いて反応が遅れる。
「くっ!」
朝倉は慌てて星斗を狙って矢を放つ。今回は矢に魔力をまとわせる時間がなく、彼女は普通に矢を放っていた。それを星斗は走りを止めることなく騎士の盾で弾き、彼とシルバーナイトは同時に朝倉に接近して、二人は魔力をまとわせた剣を振り上げる。
「オーラ……」
「こ、降参! 降参するわ!」
その声を聞いて、星斗とシルバーナイトは振り上げた剣を下ろさずに、その場で審判の言葉を待つ。
「勝者! 本条星斗君!」
次回 優勝候補 に続く




