第〇十六話 校内ランキング戦、開始
星斗達の一方的な戦いを見ていたアンリ達は、その強さに驚いている。
「シルバーナイトとダークエレメントがいれば、本条君はこのダンジョンをひとりで攻略できるんじゃないか?」
「できそうね。それのほうが経験値は独り占めできるし、宝箱や魔石も自分の物だし」
「では本条君はパーティから抜けるんですか?」
アンリ達がそう話していると、星斗とシルバーナイトが歩いて皆がいる場所に戻る。
「いや、学校がこの岩井ダンジョンはパーティーじゃないとだめって言ってたから、ソロでは探索しないよ」
「よかった。それじゃあ、今日の探索はこれくらいにして、八階の転移の石碑まで戻りましょ」
その後、星斗達は地下八階の転移の石碑でダンジョンを出て、その日の探索を終える。そして次の日からも星斗達は平日の午後、経験値稼ぎと資金稼ぎをするため岩井ダンジョンを探索して、星斗はレベル18になり、自由に使える金は百万円を超えた。
それから数日後の平日の午前中、第七覚醒者学校の一年一組で、担任の先生が授業をしている。
「岩井ダンジョンをクリアしたパーティは初心者卒業だ。現在、うちのクラスで四つのパーティがクリアしている。クリアした者には正式な覚醒者カードを渡そう。この覚醒者カードがあれば、どこのダンジョンにも入ることが可能だ。もちろん今後の授業では、岩井ダンジョンの次に攻略するダンジョンの授業をするが、そこへ行くのも、自分で調べてほかのダンジョンに行くのもこれからは自由になる。だが学校で推奨しているダンジョン以外は自己責任で攻略してもらうことになることを覚えておいてくれ。ではこれから覚醒者カードを配る」
担任の先生は、岩井ダンジョンをクリアした生徒の名を呼び、呼ばれた生徒は先生に覚醒者カードをもらい、星斗も覚醒者カードをもらった。
「これが覚醒者カードか」
覚醒者カードは免許証と同じくらいの大きさで、表にはDランク覚醒者と書かれていた。
「岩井ダンジョンをクリアした者は、自動的にDランクに認定される。そしてこれからは覚醒者協会に売った魔石の数などによってランクが上がることになる」
覚醒者学校に入ってない覚醒者は、覚醒者協会で覚醒者カードを入手することはできるが、最初はFランクの覚醒者カードから始まることになっていた。
「それと来週の午後から、校内ランキング戦の予選が始まる。こっちはうちの学校の生徒なら誰でも参加できる。参加したい者は、当日に運営委員に申請してくれ。三位までに入れば、豪華な賞品がもらえるぞ」
(校内ランキング戦なんて始まるのか。ん? ちょっと待て。生徒同士の戦いなら、参加すれば、相手からユニークスキルをコピーできるんじゃないか?)
星斗はその可能性に気づき、ランキング戦に出場することを即決する。
「ああ。一応、言っておくと、ランキング戦では身代わりバッチを使うから危険はない。それに対人戦で勝利しても経験値はもらえないから、そこはあきらめてくれ」
身代わりバッチというのは、指定された範囲内で、装備している者がダメージを受けると、かわりにそのバッチがダメージを受けて壊れるというマジックアイテムだった。
(経験値はもらえないのか。じゃあ、シルバーナイト達を出しても戦闘熟練度がもらえるのかわからない……いや、経験値と戦闘熟練度は違うからもらえるかもしれない……いやいや、戦いはほかの生徒達に見られるだろうから、自分の手の内をみせるのはまずいか)
星斗はランキング戦の作戦を色々考えている。そして担任の授業が終わって休み時間になり、智也が星斗の席にやってきた。
「本条君。覚醒者カードをもらったから、どこのダンジョンにも行けるようになったけど、パーティはどうする?」
「ああ、そうか。ランキング戦だけじゃなくて、ダンジョンのことも考えないと」
「本条君はランキング戦に出るの?」
「うん。宇佐美君は?」
「俺は考え中」
「そうか」
星斗と智也がそんな話をしていると、アンリと美亜もやってきた。
「本条君、宇佐美君、今のパーティはどうする? 本条君はモンスター召喚があるから、岩井ダンジョン以外ならパーティを組まなくても攻略できるでしょ」
「それは朝比奈さんも同じだよね。岩井ダンジョンで本気で戦ってなかったし」
「ばれてたか。でもまた学校側からパーティを組めと言われたらメンバーを探すのは大変だから、このパーティは残しときたいんだよね」
「ああ、それはわかる」
「じゃあ、このパーティは残しといて、四人の都合がいい時はパーティで探索して、都合が悪い時はソロで探索するとか、臨機応変にすればいいんじゃない?」
「なるほど。それはありがたい」
「俺もそれに賛成」
「私も助かります」
アンリの提案に皆が賛同する。
「ならパーティはそれでいいとして、朝比奈さんはランキング戦、出る?」
星斗はアンリとランキング戦で戦うことになったら、彼女の天才(S)をコピーできるかもしれないと考え、ドキドキしながら答えを待っている。
「私はいいや。今後はライジンギルドのほうの戦いにも参加することになるし」
「そ、そうか」
星斗は心の中で残念がる。
(ランキング戦は来週からだから、それまでに色々準備が必要だな)
その後、星斗は天ヶ崎ダンジョンのアイスエレメントから氷魔法をダークエレメントにコピーした。
ダークエレメント
レベル 18
HP 80 MP 192
力 22 防御 28
魔力 45 速さ 30
ユニークスキル(2/3)
闇魔法(C) 氷魔法(C)
スキル
ダークボルト アイスバレット
装備
さらに星斗はこれまで稼いだ金で、風魔法が付与された剣「風のやいば」を購入した。
風のやいば 攻+45 風属性武器
「あとは魔力激化が欲しいけど、高ランクダンジョンに行かないと駄目だから後にしよう。ランキング戦でコピーできるかもしれないし」
それから時が過ぎて、校内ランキング戦の予選が始まる日の午後になり、星斗は第七覚醒者学校の校庭にある戦闘舞台のそばの運営委員の待機所に行って参加を申し込む。
「ランキング戦の予選は、ランダムで選ばれた相手と十戦、戦って、その勝率のいい順で上位八位を選び出し、その後、決勝トーナメント戦で優勝者を決めます。試合は、身代わりバッチが破壊されるか、場外に落ちるか、降参したら負けになります。それと装備品や使用スキルの制限はありません」
星斗は、校内ランキング戦のルールを聞き、校庭に設置してある戦闘舞台の方を見る。その戦闘舞台は、縦と横が二十メートル、高さが五十センチメートルの特殊な石材でできていた。
「本条君の予選第一試合は、四試合後です。順番が来たら審判が名前を呼ぶので、これを体の見える場所に付けて、戦闘舞台のそばで待機していてください」
運営委員が星斗に身代わりバッチを渡し、彼はそれを服の腕につけて予選が行われている戦闘舞台のそばに移動する。その戦闘舞台の周囲には、たくさんの生徒たちや教師がいて、予選の戦いを観戦している。
「この二人はクラスメイトじゃない。二組か三組の生徒か」
今、戦闘舞台で戦ってるのは、星斗が見たことがない生徒だった。第七覚醒者学校の一年生は三組まであり、この学校は今年から始まったので、一年一組から三組までで全校生徒だった。
次回 対人戦 に続く




