第〇十五話 上位種族変化
「ダークエレメント、俺の言葉がわかるか?」
「ユラユラ……」
星斗の言葉にダークエレメントが反応して体を揺らす。
「ん? 俺の言葉を理解してるのか? なら……俺について来てくれ」
「ユラユラ……」
星斗が歩き出すと、ダークエレメントは彼の言葉どおりに歩き出す。
「おお。ちゃんと俺の言葉を理解してるみたいだ。これならいける。ダークエレメント。これから頼むぞ」
「ユラユラ……」
その様子をアンリと智也と美亜が見ている。
「モンスター召喚っていいよな。一緒に戦っても経験値を分けなくていいから、経験値を独り占めできるし」
パーティでモンスターと戦った場合、そのパーティの人数で取得経験値を分けるのが、この世界のルールだった。だが召喚されたモンスターは、一緒に戦っても経験値を分ける必要はなかった。
「まあ、今のこのパーティーでも、ほんとは経験値を六分割するところを四分割で済むんだからお得でしょ」
「なるほど。そういう考えもあるか」
「さて、準備もできたようだし、経験値稼ぎを始めましょ」
星斗達は地下八階の地図を見ながら探索を開始し、宝箱を探しながら出現したモンスターを倒していく。そして彼らが地下七階に来てモンスターを倒した時、星斗の目の前にウィンドウが現れた。
「リビングアーマーの戦闘熟練度が最大値になりました。リビングアーマーは上位種族に変化できます。変化させますか? はい/いいえ」
「来た! 上位種族変化!」
「えっ?」
いきなり星斗が喜びの声を上げたのでアンリ達が驚く。
「本条君。どうしたの?」
「リビングアーマーが上位種族に変化できるようになったんだ」
「変化? それは凄い! もっと強くなるってことでしょ」
「そう。それじゃあ……」
星斗はウィンドウの「はい」の文字をタッチする。するとリビングアーマーの全身が輝きだす。
「まぶしっ!」
「光が!」
その輝きが数秒続き、その光が消えると、リビングアーマーの鎧が銀色になり、さらに銀色の剣と銀色の盾を装備していた。
「私の名はシルバーナイト。召喚者殿の剣となろう」
「なっ!」
「しゃべった!」
星斗達はシルバーナイトが人の言葉を話せるようになったので驚く。
「銀の騎士か」
「見た目通り、かなり強くなったんじゃない?」
「それは戦ってみないと……」
「召喚者殿。私のステータスを確認してください」
「ステータス? もしかして召喚したモンスターのステータスボードって見れるのか? なら……シルバーナイト、ステータスオープン!」
星斗がそう言葉を発すると、彼の前にウィンドウが表示される。
シルバーナイト
レベル 17
HP 240 MP 84
力 50 防御 54
魔力 25 速さ 40
ユニークスキル(3/3)
剣術(B) 力激化(B) 防御激化(B)
スキル
オーラブレード ハイオーラブレード
装備
銀の剣 攻+40
銀の鎧 防+30
銀の盾 防+22
「見れた。おお、リビングアーマーの剣術が、Bにランクアップしてる。 だからスキルにハイオーラブレードが増えてるのか」
ハイオーラブレード
強大な魔力をまとわせた剣で攻撃し、
敵に特大ダメージを与える。
消費MP 25
(俺の剣術もランクを上げたいけど、敵からしかコピーできないから、シルバーナイトからコピーするのは無理だな)
「凄いな。これが上位種族変化とかいうやつか。覚醒者協会のホームページを見て、言葉だけは知ったてたけど」
「ああ、俺もそこで知って、今まで戦闘熟練度を稼がせていたんだ」
覚醒者協会のホームページには、現在確認されているスキルや魔法のことが書かれていて、モンスター召喚で呼び出したモンスターは、戦闘熟練度が最大値になると上位種族に変化するということが書いてあった。
(この戦闘熟練度を稼ぐために、みんなに召喚のランクが上がったことを話して、ダークエレメントも一緒に戦うようにしたんだ。ああ、そうだ。後でダークエレメントのステータスも確認してみよう)
星斗がそんなことを考えていると、シルバーナイトの雄々しい姿を見ながら、美亜が彼に質問する。
「上位種族に変化ですか。ならダークエレメントも変化するんですか?」
「すると思うけど、何に変化するかは、まだわからないんだ」
「闇系のモンスターだから、ここのボスのデスサイズかもしれない」
「あー、それは困る。骸骨のキャラクターは、漫画やアニメならよくあるけど、実際に骸骨と一緒にいるっていうのは、ちょっと嫌かな」
「確かにアンデッド系は、少し気味が悪いわね」
星斗の言葉にアンリが同意する。
「でも苦労して戦闘熟練度を上げてやっと変化したら、骸骨でも意外と愛着がわくかもしれないぞ」
「そうかなー」
(ダークエレメントも上位種族に変化したら闇魔法のランクも上がるだろうし、魔力激化のスキルが欲しいな。でも今、行けるダンジョンには持ってるモンスターがいない。そのあたりは、ほかのダンジョンの解禁を待つしかない。そうだ。後でアイスエレメントから氷魔法をダークエレメントにコピーしてみるか。闇属性が効かないモンスターがいた場合、ほかの属性魔法を持ってたほうがいい)
星斗が今後の方針を色々考えている。
「本条君。探索を再開していい?」
「えっ? ああ、もちろんだ。先に進もう」
その後、星斗達は地下七階を探索していくと、一体のストーンゴーレムに遭遇した。
(ダークエレメントに力激化とか防御激化とかはあまり効果はないから、このまま倒そう)
「朝比奈さん。ここは俺とシルバーナイトとダークエレメントだけで戦ってみていい? シルバーナイトの強さとダークエレメントとの連携を試してみたいんだ」
「私はいいけど、宇佐美君と佐藤さんはどう?」
「俺は構わないよ。何もしなくても経験値はもらえるんだし」
「私もいいですよ」
「わかった。ならここは本条君達にまかせる。でも危険な時は助けるよ」
「ありがとう。じゃあ、シルバーナイト! ダークエレメント! お前たちの力を見せてくれ」
「了解しました。召喚者殿に勝利を!」
「ユラユラ」
「よし、戦闘開始だ!」
星斗とシルバーナイトはストーンゴーレムに向かって走りだし、ダークエレメントは魔法発動の準備を始める。
「オーラブレード!」
「ハイオーラブレード!」
星斗とシルバーナイトは二方向から同時に魔力の斬撃を放つ。その動きについていけないストーンゴーレムに、ふたりの攻撃が命中する。
「グゴゴゴゴ」
一方、ストーンゴーレムは接近してきた二人に拳で攻撃しようとするが、その動きは遅く、星斗とシルバーナイトは難なくかわし、彼らはさらに剣で攻撃を続ける。すると後方にいるダークエレメントの魔法発動の準備が整い、星斗がそれを察する。
「シルバーナイト! 離れるぞ!」
「はっ!」
星斗達のその動きの直後、ダークエレメントが人の言葉ではない言葉を発し、直径六十センチくらいの渦巻く球体の闇を高速で放ち、それがストーンゴーレムの腹部に直撃する。
「グゴゴ…ゴゴ…ゴ……」
その闇系下級魔法ダークボルトが致命傷になり、ストーンゴーレムは仰向けに倒れてそのまま消滅した。
「す、凄い!」
「本条君達だけで倒しちゃった」
「あのシルバーナイト、凄い強いぞ!」
次回 校内ランキング戦、開始 に続く




