第〇十一話 ランクアップ
「モンスター召喚も使えるし、魔法も使えるって言ってたし、本条君は凄い奴だよ」
「なら私と宇佐美君は、強敵に会った時のためにMPを温存しておくのはどうですか。このダンジョンには、ボス以外でもCランクモンスターが出現するみたいですし」
「わかった。そうしよう」
前衛の三人の活躍により、星斗達はどんどん先に進んでいく。するとEランクモンスターの巨大なコウモリ、ジャイアントバットや、巨大な黒色のサソリのDランクモンスター、ブラックスコーピオンなどが複数同時に出現したが、星斗達は問題なくそれらを倒していく。
そして彼らが地下一階へ降りて通路を進んでいくと、体長が一メートルくらいで、黄色い丸形のゼリーのような姿のモンスターが四体現れた。
「何かいる!」
「あれは……イエロースライムね」
(きた! ユニークスキルを持ってるモンスター!)
星斗は騎士の盾を構えながら、四体のイエロースライムに近づこうとする。それを見てアンリが彼に話す。
「本条君。イエロースライムは酸を飛ばしてくるから、あまり近づかないほうがいいよ」
「う、うん。でもどこまで接近できるか、ちょっと試してみるよ」
(十メートル以内に近づかないとユニークスキルをコピーできないから、みんなの前では、何かいいわけを考えないとな)
ユニークスキルコピーのことがばれると色々めんどうなことになるので、星斗はそんなことを考えながら、一番近い場所にいるイエロースライムに接近していく。すると、彼の目の前にウィンドウが開き、
イエロースライム
ユニークスキル
物理耐性(B)
コピーしますか?
と表示され、
(もちろんする!)
星斗が心の中でそう意志を示すと、
ユニークスキル(8/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(C) 氷魔法(C) 召喚(C)
アイテムボックス(B)
とウィンドウに表示された。ちなみに彼のウィンドウは本人だけが見えて、ほかの人には見えてない。
物理耐性(B)
物理ダメージ30%減。
(やった! 物理耐性のランクがBに上がって、20%減から30%減になった!)
無事、ユニークスキルのコピーに成功した星斗は、その場にとどまる。
「このくらいなら、こっちに攻撃してこないみたいだ」
「わかった。ちょっと待ってて」
「俺も行こう」
星斗のいる場所にアンリと智也が合流し、その少し後方で美亜が待機する。
「イエロースライムは魔法で倒しましょ。スライムは物理耐性を持ってるし」
「なら、やっと俺の魔法の出番だ!」
智也は魔導士の杖を掲げ、精神を集中させて火系中級魔法を発動する。
「フレイムピラー!」
イエロースライムが集まっている場所に、直径五メートル以上ある火の柱が出現し、その燃え盛る炎が四体のイエロースライムを飲み込む。その後、火のダメージで四体のイエロースライムはHPが0になり、その場で消滅した。
「よし、倒した! おっ、魔石発見!」
イエロースライムは、魔石(小)をひとつ落としていた。それを見て智也が皆に質問する。
「そういえば戦利品は誰が持つんだ?」
「私が預かっておくよ。アイテムボックス持ってるし」
「じゃあ、頼んだ」
アンリが右手をかざし、床に落ちている魔石をアイテムボックスに収納する。
「俺もアイテムボックスが使えるから、朝比奈さんのがいっぱいになったら俺が預かるよ」
「二人は、アイテムボックスまで持ってたんですか」
「私は、お姉ちゃんが用意したスキルブックで覚えただけよ」
スキルブックで習得する通常スキルのアイテムボックスは、20キロまで収納できて、中の時間は止まっていなかった。一方、星斗が持つユニークスキルのアイテムボックスは、ランクが上がるほどに収納できる重さが増え、さらに中の時間が止まっているという特徴があった。
「本条君も持ってたのか。道理でリュックとかカバンを持ってないはずだ」
星斗は腰のポーション入れだけを身に着けていて、リュックを持ってきてないのを見て、智也がそう話す。
(俺のアイテムボックスがユニークスキルだと言わないほうがいいな。普通の覚醒者は、ユニークスキルは最大で三つなのに、アイテムボックスまで持ってると怪しまれる)
星斗は、ほかの三人に剣術、召喚、魔法を持ってると思われているので、四つ目のユニークスキルを持っていることを知られるわけにはいかなかった。
「じゃあ、先に進みましょ」
星斗達は引き続き地下一階をモンスターを倒しながら進んでいき、最短ルートで地下二階へ降りる階段に到着した。彼らはここに来るまでに宝箱からロングソード、ポーションを手に入れ、魔石(小)と魔石(極小)を複数、手に入れていた。
「次は地下二階ね。最初の転移の石碑は地下三階にあるらしいから、今日はそこを目指しましょ」
星斗達は地下二階に降りて地図を見ながら進んでいく。するとコボルトやバトルボアなどの群れが出現したが、彼らは問題なく倒していき、いくつかの魔石を手に入れ、宝箱からは鉄の盾を入手して、アンリはそれらをアイテムボックスに収納していく。
その後、彼らは地下三階の転移の石碑がある部屋に到着し、そこで一階の入口に戻った。そして星斗達はその日のダンジョンの探索を終えて、周囲の施設で戦利品を売って四人で分配し、パーティを解散して家に帰った。
そして次の日の午後になり、星斗達は岩井ダンジョンにやってきて転移の石碑で地下三階に戻り、攻略を再開する。すると地下四階の通路を歩いている途中、巨大な人型のモンスターと遭遇した。
「あ、あれは!」
「Cランクのストーンゴーレムだ!」
現れたのは身長が三メートル以上あり、全身が石のブロックで作られた人型のCランクモンスター、ストーンゴーレムだった。
「ストーンゴーレムは物理防御力が高いから、魔法で攻撃したほうがいいわ!」
「了解!」
アンリと智也は、魔法を発動する準備をする。
(魔法か。まずいな。ストーンゴーレムはユニークスキルを持っている。何とか自然に十メートル以内に接近しないと)
星斗は騎士の盾を構えながら作戦を考えていると、ストーンゴーレムがその巨体を揺らしながら、星斗達にゆっくりと近づいてくる。
「俺が奴を引き付ける。その間に二人は魔法で攻撃してくれ」
「わかったわ!」
「まかせろ!」
「リビングアーマーは、そこで待機しててくれ」
「コク、コク」
星斗はストーンゴーレムに向かって走りだし、十メートル以内に接近したその時、
ストーンゴーレム
力激化(B) 防御激化(B)
どれをコピーしますか?
とウィンドウが表示され、
(どっちも欲しいけど、まずは力激化だ!)
星斗がそう心の中で意志を示すと、
ユニークスキル(8/10)
ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(B) 剣術(C)
気配察知(C) 力激化(B) 氷魔法(C) 召喚(C)
アイテムボックス(B)
力激化(B)
力が二・五倍になる。
(やった! 力が二倍から、二・五倍に強化された!)
次回 ストーンゴーレム戦 に続く




