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第〇〇一話 覚醒者学校

 20XX年

 突如、世界各地にダンジョンが出現した。ダンジョンには、塔、洞窟、地下迷宮など複数の種類があり、ダンジョンの中にはモンスターの姿も確認された。

 それに対し各国の政府は、出現したダンジョンを管理し、軍隊による探索が開始される。ダンジョン内にいるモンスターには、人間の兵器で倒せる弱いモンスターと、倒せない強いモンスターがおり、モンスターはその強さによりランク分けがされ、高ランクモンスターがいるダンジョンからは人間達は撤退した。

 するとそのダンジョンからモンスターがあふれるようになり、周囲から人間達は避難して、そこはモンスターの支配地域となった。このことからダンジョンのモンスターを放置すると外にあふれ出ることが判明する。さらにダンジョンは空爆やミサイルなどの兵器では破壊できず、それから人間達とダンジョンのモンスターとの戦いが始まった。


 そのダンジョンが出現したのと同時期、人間の中に剣の技や魔法などのスキルを使える者達が出現し始める。彼らは覚醒者と呼ばれ、人間の兵器では倒せない高ランクモンスターを倒せる者達が現れた。すると各国の政府は協力して覚醒者の支援を目的とした覚醒者協会を設立する。覚醒者協会に登録した覚醒者は、ダンジョンに入ることを許可され、今度は覚醒者とモンスターとの戦いが始まった。



 それから約二年が経ち、各国に覚醒者の育成を目的とした覚醒者学校も設立され、覚醒した者は年齢を問わず覚醒者学校に入ることができた。日本にも各県に覚醒者学校が作られ、ここ某県某市の第七覚醒者学校の教室で今日も授業が行われている。


「今日から入場が許可されるダンジョンの構造はこの通りだ。君達は地下一階までの探索が許可されている」


 第七覚醒者学校の一年一組の教室で、担任の若い男性の教師が、黒板にダンジョンの地下一階の紙の地図を貼って話している。今日は入学式から一週間が過ぎ、ダンジョン探索の基本的な授業が終わり、ついに生徒達に実際にダンジョンに入ることが許可される日だった。


「地下一階に出現するモンスターは、Eランクのブルースライムだけだ。ブルースライムは体当たりしかしてこない。さらにゼリー状の体だから、当たっても大したダメージにはならない。つまり地下一階だけなら安全に探索できるわけだ」


 今日から一年一組の生徒達に入場が許可されるダンジョンは、地下迷宮型の構造で、まだ一度もダンジョンに入場したことがない初心者用のダンジョンだった。


(やっとこの日が来た。これで俺のユニークスキルが試せる)


 担任の教師の授業を聞きながら、心の中でそう喜んでいるのは本条星斗ほんじょうせいと。この第七覚醒者学校の一年一組の十七歳の男子生徒である。


(俺がユニークスキルを覚醒してから三か月。やっと……)


 覚醒者が持つスキルには、ユニークスキルと通常スキルがあった。ユニークスキルとは基本となるスキルのことで、火魔法のユニークスキルを持っているとファイアーボムなどの火系の魔法を使うことができた。そしてユニークスキルは、覚醒時、一人、一つから三つ持っているのが通常だった。そして星斗は、そのユニークスキルを一つだけ持っていた。


 本条星斗ほんじょうせいと

 レベル   1

 HP   50   MP   10

 力    10   防御    8

 魔力    7   速さ    9


 ユニークスキル(1/10)

 ユニークスキルコピー(B)


 スキル



 装備

 第七覚醒者学校の制服  防+1



 彼は自分の席に座りながらステータスボードを表示して見ている。ステータスボードは、念じたり言葉に出すと目の前に表示され、他人には見えなかった。


(俺のユニークスキルコピー。使いこなせれば強いユニークスキルだけど、今まで使えなかった)


 ユニークスキルコピー(B)

 半径十メートル以内の敵のユニークスキルを

 ひとつだげコピーして九個まで自分の物にできる。

 同系統のスキルは上書きされる。

 

(ユニークスキルコピーは、敵からしかコピーできないから、ダンジョンに入らないと使えない。だからダンジョンに入ることで、やっと俺は覚醒者としてスタートできる)


 ユニークスキルにはランクがあり、彼のユニークスキルコピーのランクはBだった。そしてそのランクはS、A、B、Cに分かれていて、ユニークスキルのランクは、何度も使用するとランクアップすると言われてるが、詳しいことはまだ判明していない。


(それに普通、覚醒者が持ってるユニークスキルは多くても三つ。それを俺はあと九個のユニークスキルを習得できる。これは絶対に強くなれる!)


 星斗がそんなことを考えているなか、教師は授業を続けている。


「ブルースライムは倒しても、もらえる経験値は少ない。今日はレベル3を目指すくらいがいいだろう。あとブルースライムは……」


 星斗達は今日のダンジョン探索で必要なことを学んでその授業が終わり、午後になる。そして彼らは、第七覚醒者学校の近くにある初心者用ダンジョン「狩野ダンジョン」までやってきた。そのダンジョンがある大きな建物の出入口には数人の自衛隊員と覚醒者協会の職員がいて、一般人が中に入らないように監視している。


「よし、地下一階のマップは頭に入ってるな。では順番に入場してくれ」


 教師の指示で一年一組の生徒達が、順番に狩野ダンジョン地下一階への階段を下りていく。


「ブルースライムはユニークスキル、物理耐性を持ってるはずだ。必ずゲットするぞ」


 右手にショートソード、左手にバックラー、体に制服の上から鉄の胸当てを装備した星斗も階段を下りていく。これらの装備は覚醒者学校からレンタルした物だった。そして彼は地下一階に到着する。


「ここがダンジョンか」


 地下一階は、床、壁、天井が石のブロックで作られていて、その通路は広く、さらに中は奥のほうまで明るかった。これは石のブロック自体が発光する特殊な石のおかげだった。


「さて、ブルースライムを探そう。クラスメイト達もいるから、早く見つけないと……」


 星斗は地下一階の通路を一人で進んでいく。途中、クライメイト達がブルースライムと戦っているのを見かけるが、その戦いには加わらず、どんどん先に進んでいく。すると彼は通路の曲がり角の先にブルースライムを発見した。


「見つけた!」


 星斗はショートソードとバックラーを構えつつブルースライムに近づく。ブルースライムは体長が五十センチくらいで、丸く青いゼリー状のEランクモンスターだった。


「戦う前にユニークスキルをコピーしないと」


 星斗は、移動せずその場にとどまっているブルースライムの十メートルくらいまで近づく。すると彼の目の前にウィンドウが表示され、そこには、


 ブルースライム

 ユニークスキル

 物理耐性(C)


 コピーしますか?


 と表示された。


「もちろんする!」


 星斗がコピーする意思を示す。すると


 ユニークスキル(2/10)

 ユニークスキルコピー(B) 物理耐性(C)


 とウィンドウに表示された。


「やった! 成功だ!」

「プルプルプル!」


 星斗が初めてのユニークスキルコピーに喜んでいると、その騒ぎに気づいたブルースライムが、彼めがけてジャンプして体当たりをしてきた。


「おっと!」


 それを星斗は左手のバックラーで受け取めて防ぐ。


「まずは倒す!」


 星斗はブルースライムにショートソードを振り下ろし、その一撃でブルースライムを倒した。倒れたブルースライムはその場で消滅する。



 次回 狩野ダンジョン戦 に続く

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