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その87.最凶兄妹急ぐ

「退けつってんでしょ!!」

 アタシは怒りの声と共にその場で足を思いっきり地面に叩きつける。

 ドゴォ! という鈍い音と共に廊下の床が捲れる。

 アタシの脅しにも動じずに3人の生徒会役員は退かない。


「だから言ってるじゃないですか先輩? ココから先は現在通行止めなんですって」

 生徒会役員の一年生がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる。


「嘘吐くんじゃないわよ! さっきまで通れたじゃない!!」

 っていうかここの廊下なんてアタシが壊しまくっても崩れないんだから今更だっつーの!!


「さぁ? 俺達はここを封鎖しろって言われただけですから通すわけには行かないんですよ」

 明らかに何かを隠している。

 本当に廊下の件なら風紀の方にも話しが通ってても良い筈。

 生徒会が関わっているのは確か。

 ならばアタシは調べなきゃならない。



 何よりも。

 アタシのロザリオがあるかもしれないんだ。



「……退きなさい」


 アタシの雰囲気が変わったのが解ったのか生徒会の一年生達の表情が変わった。


「力尽くで通っても良いのよ?」

 今のアタシならやりかねない。

 それ程にあのロザリオは大事な物だ。


 一年生達が一歩後ろに退く。

 だが、強がったような引き攣った声を一年生が溢した。


「あ、貴方は生徒会役員には手が出せないんじゃ無いんですか!?」


 その言葉でふっと握り締めていた拳の力が抜けた。

 そう、だった……へーじがそう言ったんだ。

 アタシ達の争いを正等な理由で舞台を揃えると言ってくれたへーじの為にも手は、出せない……。

 一人だったら見えない速度でブッ飛ばせば良いけど三人も居たら無理。


 アタシが力を抜いたのが解ったのか一年生の表情にも余裕の笑みが戻った。


「さァ解ったらサッサと帰った帰った」


 歯を食い縛り一年生達を睨む。

 強がっているだけでアタシには完全にビビッている。

 だけどそれ以上に怖いのが居るから脅しも効かない。

 あの会長は仲間内でも恐れられているらしい。


 なら、仕方無い。

 

「……解った、帰るわよ」


 そう溢すと踵を返し一年生達に背を見せた。

 後ろで安堵の息を漏らすのが聞こえた。


 その瞬間を。


 狙った。


 一瞬だけ小さく足を屈伸させ、その瞬間で足のバネを最大限まで引き上げる。

 廊下をとん、と優しく蹴る。

 力強くでは無くしなやかに。


 アタシはバク宙をするように後ろに飛んだ。


「……っぁ!?」


 気づいた時には遅い。

 一般人とは比べ物にならないであろう高さで一年生達を飛び越え、軽く捻りを加えてムーンサルトで態勢を保ちながら着地。


 あんた等に危害は加えないわよ。

 だけど、意地でも通らせて貰うわよ!


「ま、待て!」

 一年生が止める声も聞かずにアタシは今度は廊下を豪華に蹴り上げ、走り出す。

 何しようとしてるか知らないけど、会長が何か悪巧みしてるのは確か! っていうかロザリオ! 

 ぶっちゃけアンタが何してるか知らないけど、今はロザリオのが大事だっての!!



―その時、別の廊下




「だ、だからココは通れないと言って……!」


「はァ? シラネーよ、退け」

 俺の言葉に2年の後輩は顔を強張らせる。


「……ココは通さないぞ!」

 強気な声を溢しては居るが声が震えていやがる。

 今の俺はどう見えてるんだろうな?

 強いて言うなら、ダチが危険な目に会うって時にキレねーわけがネーってくらいか?

 志保ちゃんからメールが来なきゃ気づかなかったトコだけどよ。

 俺は今でもあの冬、へーじが銀行で捕まっていた時に何も出来なかったのを後悔してんだ。

 今回こそは助けるんだよ。


「力尽くで通っても良いんだぜ?」

 俺の言葉に2年の後輩は身震いする。

 俺は傍から見リャ結構怖いらしいからな。

 そんなつもりはネーけどよ。

 

「お、俺に手を出せば、誰が敵に回るかわかってんだろうな!?」

 怖いながらも強気な発言だ。

 そういう姿勢はキライじゃネーけどよ?


「あのメガネだろ? それがどうした」

 その一言と共に軽く腕を振った。


「ふっぐ!?」

 俺に押され、2年は簡単に宙を浮くと壁に激突した。

 そのまま床に落ちるとカクン、と首を落とした。

 気絶したようだ。

 そんな強く押したつもりは無かったが、それ程俺は必死で、キレてるのかもしれない。


 俺は足を速めた。


 速くへーじを助けないと!!

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