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その81.一年生達の事情/頼れる友達がいない

「何故あんなことを言った、亜里沙」

 隣にいる悠馬君の言葉に私は首を傾げる。


「そりゃへーじさんが好きだもん? ちょっとはヒント与えとかないとね?」


「……フン」

 私の言葉に不満そうに悠馬君は鼻を鳴らす。


「俺達にはクソ会長の動きがスグに解る。姉さんのお陰でな、その情報を奴に教える必要は無いだろう」


「だからヒントだけしか言ってないでしょ? そういう貴方こそ何であんなことを言ったの?」

 私達はへーじさんの敵。

 だけど私はへーじさんの敵になりたいわけじゃない。

 だから裏切りにならないギリギリならへーじさんを助けたい。


 ……私と悠馬君は違うじゃない?


 なのに、あんな解り易い発言したのは以外だった。


「……俺達は朝倉先輩の敵だ」

 少し間を空けて悠馬君は喋りだす。


「うん、知ってる」

 だって殺したいとか言ってるもんね。

 私は殺して欲しく無いけど。


「だがあのクソ会長も敵だ……何れは潰す。その時に『あの風紀委員』が朝倉先輩と一緒にいなくなってもらっては困る」

 ……そう。


 今この瞬間で狙われているのは縁さん。


 あの最強の風紀委員。


 成る程ね。


 私達は手を出せないからへーじさんに頑張ってもらおうって事ね。

 ふぅん? 悠馬君は縁さんを結構気に入っているらしい。


 っていうか……好きだったりして。 







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 取り合えず、会長が動いたと言ったんだ。

 一番会長が動いて反応が早いであろう縁を探した。



 結局何処にいるか解らずにチャイムが鳴ってしまった。

 とぼとぼと教室に戻ってくると、既に教師は来ていた。

 軽い注意を受けて、スグに席に着く。


 授業は始まるが、僕の頭の中に授業の言葉等耳に入っては来ない。

 別の事に頭が目まぐるしく回転する。




 狭い学校内で縁を探し回って何処にもいない時点で可笑しい。

 教室に見に行っても居ない、風紀委員の部屋も行った。

 志保ちゃんにも聞いたが居ないと言っていた。

 どういう事だ?

 もしも縁に何か危害があれば彼女の事だ。

 あの暴力っぷりはスグに見つかるだろう。

 無抵抗でやられるようなタマじゃない。


 そして……



 ……ミホも、居ない。

 朝来る時には居た筈なんだが。

 授業の時にまで出て来ないなんて。

 縁を探すときに一緒に気に掛けてた。

 朝から目にしていない、という意味もあるがミホに聞けば大体の事は解ると予想していた。

 でも何処にも居ない。


 せめて何か情報がアレば良いんだけど……取り合えず、後でもう一度探そう。

 何か胸騒ぎがする。 



 くそ……僕は一人じゃ何も出来ないのか?



 ミホも居ない。縁も居ない。

 どんだけ僕はあの二人に頼ってたんだ! クソ……。


 自暴自棄になる僕はッハと我に返る。

 そ、そうだ。

 サクなら何か知ってるかもしれない。

 期待は薄いけど……正直腹が立つけど……他に頼る人間が居ない。


「サ……」


 隣の席のサクに話しかけようと身を乗り出した。

 しかし僕の言葉は途中で止まった。


「…………」


 サクは上を向いたまま鼻からダラダラと血を流していた。

 白目を向いている。

 しかしその手には鼻血に濡れないようにしっかりと距離を開けてファイルが握られていた。


 僕が変態から取り上げたパンチラの……アレだ。



 ……………。


 偶然机の中にあったライターを取り出すと、そっ、とサクの体に火をつけた。

 ファイル毎、燃えると良いよ。

 授業中なのだが遅れてきた僕に注意した教師も燃えている生徒はガン無視してやがる。

 周りの生徒も一歩引いて温かく見守っている。


 メラメラと燃え始めるサクを無視して僕は机にうな垂れる。


 僕頼れる友達少ねェェェェェ………


 やべ、ちょっと泣きそう。








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