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その4.避ける事に定評があります 。 察して下さい…… 後ウンコがウザい

 廊下内で刀を振り回す常識外れの少年。

 それを必死に避けつつサクをひきづりながら逃げる僕。


 見える! 見えるよ! 僕はいつからニュー○イプになったんだろう! 凄いよ! 僕ってばメチャクチャ凄いよ! 今のこの動きをビデオに収めたいくらいだわ!

 馬鹿を引っ張りながら僕は華麗な避けを見せていた。

 縁の攻撃を毎日食らっているので、それに比べたらマシな方なのだ。

 所謂いわゆる重い物を持っていてそれを離すと体が軽くなったような……そんな感じの比喩で解るだろうか。


 本物の刀よりも縁の拳の方が怖いのだから僕がどれだけ苦労しているのか察して欲しい。

 不幸中の幸いというか器用貧乏というか、ある意味現在切り刻まれずに済んでいるのは縁のおかげかもしれない……。


 何か嬉しくない……。


 刀を避けながらちょっと目尻に涙を浮かべてみる。

 

 そして学校の方々は誰も僕達を助けようと動くことはない。

 というか遠巻きに見て赤の他人を決め込んでいる。

 視線は『頑張れよー』っと言っている温かい視線なのか、『また馬鹿やってる……』という冷たい視線のどちらかだと思う。

 好きで馬鹿な事やってるわけじゃないけどな!


 っとに……この学校の人間は……!


「……てか」

 必死に刀を避けながら叫び声を挙げる。


「自分の足で逃げろよ!! サクゥ!!」

 いい加減限界なんだよ! 思いのほか疲れるんだよ! 貧弱舐めんな!


「いいんだよ……俺なんて尻から刀ぶっ刺された方がいいんだ……」


 ああああ! めんどっくさい!!

 ひきづる方の気持ちにもなれって!


「いい加減、そんなお荷物を持った状態で俺を振り切れるとでも思ってんのか?」


 少年の言う通り、避けれているのだが逃げきれているわけでは無い……さっきから簡単に追いつかれている。

 その自信満々な言い方が鼻にかかるが今はそんな事言ってる場合じゃない。


 くそ! こんなウンコ(サク)置いて行きたいけど、この馬鹿サクは後がうるさいんだよ!!


「おごぉ!?」

 サクの悲鳴の声と共にガクっと体が揺れた。

 ひきづっていたサクが突然動かなくなったのだ。

 振り向くと、下級生のクセに上級生のサクの胴を思いっきり踏みつけて廊下に縫い付けていた。

 やっば! サクが斬られる! サクが斬られる事に関してはぶっちゃけどーとでもしてくださいって感じだけど白昼堂々グロったらしい物見せられちゃトラウマになるわァ!


 と、僕の脳内はすざまじい速さで回転した。


 が。


 少年は、サクに向けていた刀を横に、水平に持ち替えていたのだ。

 刀の長さは横に振りぬけば、僕に当たる位置。




 狙いはサクじゃない……?


 僕か!


 サクが動けなければ、その馬鹿を持ってる僕も動けない。

 横から。


 刀が、迫る。 


「こんなモンかよ? 『朝倉先輩』!」


「!?」

 僕の苗字!?

 僕の苗字を知っている人間は限られている。

 ある事で僕は名字を隠し、下の名前のみを使っている。

 それを入ってきたばっかりの一年坊主が知っているわけが無いんだけど……。

 コイツ、どこで。


 

 しかし。

 考える余裕は残念ながら無いわけで。

 迫りくる刀は止まらない。

 確実に狙ったのは僕の、首!!


 マジかよ、コイツ、本気で『殺す』気だ!!


 男の目は、いつかで見た『縁』の目を思い出した。

 完全にぶっ殺す気だっ!!!

 僕は瞬時に引っ張っていたサクを放し後ろに飛んだ。

 ブォン! と、目の前で本物の刀が横切って行く。

 僕の前髪が何本か宙に飛んで行った。

 それほど目の前で掠めて行ったのだ。

 寒気が走る。


「ッチ、外したか」


 こ、この野郎!!!

 こんなヤバい野郎と関わってられるか!

 僕は即座にサクに背を向けた。

「サク! 先に逃げさして貰うからな!」


 勝手に殺されろボケェェ!!

 お前の自業自得だからな!!

 フハハハハ! さらばだサク!


 猛烈ダッシュを決め込んで逃げようとした最中。

 僕は派手に扱けた。

 ドギャァン! と廊下に思いっきり顔面をブツけていた。

 あ、アダダダダ……。

 足が引っ掛かった先を見ると、サクがしっかりと僕の足を掴んでいた。


「て、てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


「ウハハハハ! だから言ったろうがー! ウンコがくっつくってなァァー!!」


「何を胸張って言ってんだ馬鹿サク! は、放せ!!」


「誰が放すか! 友を見捨てるとはそれでも人間か!」


 それでも人間かって、良く言えるな! お前ウンコじゃないのかよ!

「友達だと思うなら『俺の事は良いから逃げろ!』 とか言えないのか!!」


「俺の事は良いから逝ってくれ!!」


「死ねよお前ェェェェェェェェ!!」


 僕たちが醜い争いをしている内に、男はすぐ後ろまで来ていた。

 手に持つ刀を男は再び振り上げる。

 その位置は確実に僕の頭上を狙ってる。

 そしてサクは足首を放さない!

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ヤバイヤバイヤバイ!!


 男が刀を振り下ろす。

 今回ばっかりはマジでヤバイ!

「……ッ!」

 僕は恐怖でついつい思いっきり、目を瞑った。


 ………………。


「……あれ?」

 いつまで経っても痛みは襲ってこない。

 恐る恐る目を開けると。

 目の前に、いつのまにか人が居た。

 振り下ろす刀は、その人物に止められていた。


 

 人差し指と中指で挟む様に刀の刃を受け止めている人物が。

 僕を守るように目の前に居た。

 その人物は、我が高校の守護神。

 風紀委員に所属する正義の味方。

 首から下げられた赤いロザリオが特徴的な少女。


「ゆ、縁!」

 縁は僕の方を横目で確認した後、男を睨みつける。 


「アタシの庭で暴れるのも大概にしなさいよ……新入生が多少はしゃぐのは勝手だけど、アタシの『物』を傷つけるつもりなら容赦しないわよ!!」



 カ、カッコイイ! カッコイイけど相変わらず人間離れしてますね縁さん!!

 普通振り下ろされた刀を指だけで挟んで止めるなんて出来ませんよ!

 いや助かったけどね!


 ……というか、物って僕か? 誰が物だ……でも助けられたので今は何も言えない……

久々に実家に帰った時の話し。


友人A「……なァ、俺って可愛いよな」


私「何を深刻な顔してると思ったら……何を言い出すんだ君は」


友人A[ッフ……ちょっと鏡の自分に見惚れてしまって……さ!(髪を掻き上げる)」


私「…………お前はインコか」


※インコは鏡で自分が映っていると求愛行動をするんだよ☆トリアビアー♪

その後口喧嘩


何だかんだで変わらない友人は良い物です。

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