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その57.雰囲気に流されやすいタイプ

 微笑は固まったまま。

 そりゃそうだろう。

 突然の赤覆面の発言にアタシ自身も固まっている。


「おー! 隊長良い事言った!」「見たいぞー!」と、後ろの馬鹿共も調子に乗り出す始末。


「え、嫌、あの……え?」

 戸惑っている百合果さんに赤覆面は詰め寄る。


「頼みます! 俺達それ見たら頑張りますんで!! 頑張りますんで!!」


「う、うぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 ドン引きしている百合果さんは掴まれた手を引き離すように距離を置こうとする。

 しかし手は思いのほかに強く握られているのか離れない。


 そこで我に返ったアタシは慌てて前に出た。


「離っしなさいよ!! 変態!!」

 大声を挙げながら赤覆面を思いっきりアッパーカット。


「ふべらぁ!?」

 奇妙な声を共に赤覆面は吹っ飛ぶ。

 同時に百合果さんから手は離れた。

 赤覆面は天井に激突し、そのまま天井に突き刺さった。

 まるで天井から人間の胴体だけが伸びているようで色々とキモイ感じになったが、そんな事はどうでもいい。

 


 ヨロヨロと後ろに下がる百合果さん。


「百合果さん!! 大丈夫ですか!?」

 慌てて百合果さんに駆け寄るも目が泳いでいる。

 覆面があまりにも予想していなかったらしい。


「……え。……うぇぇぇぇ?」

 何やら変な声しか出ていない。

 ……だ、大丈夫だろうか。



 ……こ、この変態共めェェェェ!! 百合果さんの優しい言葉を無視して。

 なんッつー!! 事! 言い出すのよ!!


 怒りに震えながら覆面たちを思いっきり睨み付ける。


 その時、タイミング良く天井に突き刺さっていた赤覆面が落ちてきた。

 赤覆面は落ちながら綺麗な放物線を描きつつ無駄の無い動きで柔らかく、土下座の形で着地していた。

 色々と突っ込みたいがその動きが無駄に凄すぎて逆に突っ込めない……。


「お願いします!!! パンツを……パンツを見せてください!!!」

 リーダーに呼応するかのように後ろの覆面たちも次々と土下座の形へ。


「お願いします!!」「お願いします!!」「お願いしまぁぁぁす!!」


 大勢の人数がたった一人に土下座をする図。

 まるでお殿様に申し立てをする農民の様に。

 それは言ってしまえば壮観なものだけれど、内容がパンツが見たいが為……。 


「お願いします!」「お願いします!」と何度も続けての発言。

 廊下内に響き渡る声は呼応してビリビリと肌に来るぐらい。

 内容はだめ過ぎるのだが、それに気圧されてアタシは一歩退いていた。


「だ、駄目に決まってるじゃない!!」

 そんな自分に焦ってしまい、慌てて言い返す。

 そんなアタシの声なんか聞こえていないのか、覆面達は土下座のまま同じ言葉を繰り返すだけ。


 こ、こいつら……!

 もう殴り飛ばしたほうが早んいじゃないか? とか思っていると、後ろから百合果さんのボソボソと零した声が聞こえた。


「パ……パンツぐらいなら……」


「っへ!?」

 慌てて振り返ると、百合果さんは半ばヤケクソ、と言った具合の表情をしていた。

 目がグルグルしてますよ百合果さん!?


「ゆゆゆゆゆ百合果さん何言ってるんですかァ!?」


「こ……こんなに頼まれたら……パ、パンツぐらいなら良いかなーって……」

 先ほどまで空気を支配していたはずの百合果さんが今度は支配されているってどうよ!

 た、確かにこんな人数に土下座されれば、雰囲気でそんな気になってしまうのは仕方無いけど!



「だ、駄目ですよ! 何をとち狂ってるんですか! 落ち着いてください!!」


「だだだだって! 他に方法無いだもん! 僕だって嫌だよ!」

 開き直った様に百合果さんは目尻に涙を溜めつつ悲痛な声で叫ぶ。

 というかいきなり僕っ子になったのはなぜ!?


「そ、それに……どうせ同性に見せると思えばそんな抵抗無いし……」


「(抵抗)ありまくりですよ!  女の子なんですから無理にそんな風に同性とか思っちゃ駄目ですよ!!!」

 ゆ、百合果さんがおかしくなっちゃった!

 自分が男と思えば抵抗は無い、とか言うわけのわからない電波発言までしてしまう始末!!


「百合果さぁーん!! しっかりして下さいよぉー!!」


「想定外想定外想定外ぃぃぃぃ……僕ってば突然の展開にほんっと弱いんだから……」

 百合果さんをグワングワンと揺らしても百合果さんは変な事を呟くだけで正気に戻ってくれそうにない……


 今も五月蠅くお願いしますを繰り返している覆面たちを思いっきり睨んだ。

 こ、こいつ等のせいで美人の百合果さんがおかしくなったじゃないのぉぉぉ!!

 しかし幾らこいつ等が土下座中でも背水の陣の状態は変わらない。

 ……でも百合果さんがその場の雰囲気に流されてパンツを見せるようなコトになるのは絶対嫌!!


 この状態を覆す方法は……。

 アタシは百合果さんから手を離し、校長室の分厚いドアの前に立った。


 このドアぶっ壊す!!!



 待ってて下さいね百合果さん!! 逃げ道が無いから最善の策がそれしかないと思い悩んでいる百合果さんの為に!!

 ぶっちゃけ流石のアタシも校長室はマズイかな? とか思ってたけどそんなの気にしてる暇無いし!!


 逃げ道が無いなら……作ればいいじゃない!! 

休み中だからこそ小説にも力が入るってもんですねw

でも中々進まない……orz


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