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その3.春一番のキモさです そして久しぶりにピンチです 助けて下さい

 久々の学校、学校に入ってすぐクラス代えの掲示がされていた。

 そういえば3年になってクラスも変わったんだっけ。

 新たな一年生や二年生や三年生がひしめき合い、自分が一年間お世話になるであろう教室を探していた。

 

 ザワザワと騒がしい中、一際目立つ一人の声が聞こえた。


 ……そして教室を見つける前に、一年間お世話になりたくない人物を先に見つけてしまった。




「どうかへーじと同じクラスになりますように……どうかへーじと同じクラスになりますように……どうかへーじと同じクラスになりますように……」


 その人物は掲示の前で両手を擦り合わせ、なにやら必死な表情をしていた。

 手には数珠を握られ擦りあわされる度にジャラジャラと五月蝿い。


 


 巨体の男は目を思いっきり閉じて祈る様に呟いていた。

 まわりの人間の痛い人を見るような視線にも気づいていない様だ。

 ……ていうか、見なかったことにしたら駄目だろうか。

 この人物、見覚えがあり過ぎて色々な面でヤダ……。


「ハァァァァァァァ……ハァ!!」

 何だ、君は悪霊でも払うつもりなのか、そして気持ち悪い。


 カッ! と見開かれた目が掲示を食い入る様に見た後。


「っしゃああああああああああああああああああああああ!!!」

 と、歓声を挙げる大男。


 つまりは。


 ……こいつとまた一緒かい。


 この男、通称サク。

 本名は穴見あなみ 早句間さくま

 名前から解ると思うけど、緑の兄に当たる人物だ。

 緑と同じくらい……いや、それ以上の馬鹿だ。 そしてアホだ。

 もう最初の時点でわかると思うけど、僕は異常にこの馬鹿に懐かれている。


 もんの凄い笑顔が僕の方を向いた。

 っげ、見つかった。


「お! お〜! へぇ〜じぃ〜!!」

 僕目掛けて飛んで来る二つの太い腕をサッ! と慌てて避ける。

 いきなり抱きついて来るな気持ち悪い!


「朝から暑苦しい!! ウザイ!! 鬱陶しい!!!」


 僕の吐き捨てる暴言にもめげずにサクは顔を輝かせている。


「今回も俺たち同じクラスだぜ! やったな!」


「自分の嬉しさを押し付けるな! 寧ろ僕は悲しいわ!」

 引っ付こうとして来るサクに出来るだけ離れて対応。


「何だよ〜、このツ・ン・デ・レ♪」


「気持ち悪っ!!」 

 反射的に出した言葉に、サクの暑苦しい動きがビタッと止まった。

 ……っは! 言ってしまった!!

 と、僕は後悔する。 何だかんだでサクと二年一緒に居る僕はサクの事を良く知っているつもりだ。

 そしてこの男に悪口を言い続けているのだが、一つだけ言ってはいけない言葉があるのだ。

 この男、サクは大概の悪口に対しては耐性が在るが、『気持ち悪い』の一言にのみメンドクサイ存在へと変わる。


「気持ち悪い……? 俺が、気持ちわ、る、い?」

 笑顔は消え去りみるみるうちに暗い影が覆っていく。


「だぁぁぁー! 気持ち悪くないから! ゴメン!! 僕が悪かったって!!」


「……いいんだ、どうせ俺は気持ち悪い存在なんだ、フフ……俺は世界のゴミ……寧ろウンコ……ウンコはトイレに流されろって事ですね……フフ……ウンコのクセに出しゃばってすんませんっした……」


 め、めんどくさい……。

 つまりはこういう事だ。

 

「悪かったって……」


「あ、自分ウンコなんで、人間様がウンコに何か話しかけちゃ駄目っすよ、ホント、ウンコって汚いですから」


 ウンコでもゴミでもどっちでもいいから廊下で自虐モードに入るな……。

 周りの人たちに見られて凄く恥ずかしい、っというか下級生の目が先輩を見る目じゃないんですけド。

 その時だった。



「……邪魔なんだけど」


 ほら見ろボケ、馬鹿サク。


 可愛そうな下級生が怯えてるじゃない……


 か?



 ……あれ?

 下級生に目をやると、怯えているという様子とは違った。

 そこに美青年が居た。

 切れ長の鋭い瞳が印象的な男性だ。


 何よりも気になったのが長い俸? を持っていた事だ。

 白い布に覆われているそれは、妙に目に付くものだった。


 なんだあれ?


 僕の疑問は、すぐに解る事になる。


「だから邪魔なんですけど」

 いつまでもどかない上級生に痺れを切らしたのか多少イライラした様子だ。


「うるせー! ウンコに話しかけんじゃねーよー! ウンコつけるぞコラァ!!」


 …………。

 うわぁ……。

 僕は知りません、赤の他人です。

 こんな変人と知り合いだと思われたら終わりだわ……。


 さっさとこの場から去ろうとした時。


「……退かないなら」


 何やらドスの利いた声が聞こえた。

 そちらに視線を向けた瞬間、僕はぎょっとした。

 下級生の男は白い布を巻いた棒から、布を剥ぎ取っていた。


 ……は?


 そこにあったのは。




 日本刀。


 

 

 え? 銃刀法違反? 


 …………は!? 


 黒い鞘を抜き取ると、ギラ付いた刃が見えた。

 その光を放つそれは、模造刀もぞうとうとは思えない。


 マジもんの本物だ。


 それを男は、サクの頭上にて、躊躇いもなく振り下ろす!


 今もぶつくさと自虐を言っているサクは気づいていない。

 

 う、嘘だろ!?





 ダァン!


 大きな音と共に日本刀は床に切れ目を入れていた。


 ぎり、ぎり! 間に合った……。


 僕がサクの服を引っ張ったのだ。

 サクが先程まで居た所には、床の破片が飛び散っている。


 マジかよ……


 僕が引っ張らなければ、サクの頭は刀で真っ二つだった。

 ……本気で振り下ろしやがった!



 「っち……何すんだよ……」

 舌打ちと共に不満そうな声を漏らす刀を持つ下級生。



 「お前……本気で……」


 躊躇い無く刀を振り下ろすこの男に寒気が走った。



「……そいつが邪魔だったんだよ、アンタも邪魔するなら容赦しねーぞコラァ」



 美青年は切っ先を僕に向ける。


 …………。


 あっはー☆

 結局今年も変なのと関わるのねー☆



 ……ちっきしょー!。



溜めてる分がある間は毎日更新を目指します!



……新キャラ登場です!

やっぱり変人です!

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