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その40.信念とアタシの感情が、その間で心が揺れ動く。

今回は縁視点でお送りいたします。

 へーじと帰り道を歩く。

 なんだか……こうやって並んで歩くのは久しぶりな気がする。

 へーじを待っていたのは二つの事が気になったから。


 舞台を用意すると啖呵を切った事と、悠馬との関係。


 チラッと隣で歩いているへーじを見てみる。


 何か考え毎をしている様で、真剣な表情だ。

 きっと、舞台の事で悩んでるんだ。

 アタシから見ても、明らかに後の事を考えずに言った事だとは思った。

 それでもへーじなら、という期待をしたのは買い被りすぎだったかな?

 ……けしかけたのはアタシだ。

 何か無理させてる様で心配になってしまう。


 そんな風に思っていると。へーじがボソッと呟いた。


「うーん、やっぱ目玉焼きにはソースかなー……」


 え、心配損!?

 

「……アンタ何に対して悩んでンのよ」

 へーじが突然わけのわからない事を言いだすのは今に始まった事じゃないけど……。

 へーじは自分の事をマトモだとか思っている節があるが。

 絶対どこかオカシイ。

 


「ちなみに縁は何派?」


「え、醤油派……」


「うーん、やっぱり兄弟かー」

 何を変な所で納得してるけど大丈夫だろうかコノ人……。


「おーい! へーじー! 返ってきてー! 舞台を用意してくれるって話はどうなったのよー!」

 グワングワンと思いっきりへーじの肩を揺らしてやる。

 良い具合にへーじの顔がガックンガックンと揺れている。


「ちょ! 止め! 縁! 酔う!!」

 半ば泣きそうな声にアタシは慌てて手を離す。

 ホント思いっきり揺らしたのでへーじが凄いふらふらしている……ま、まぁ目覚めて貰う為だし。

  

「ちょっと現実逃避してたよ、ごめんごめん……」


「ちょ……ちょっとへーじ、大丈夫なの?」

 見た感じ、偉く疲れている様子だ。


「……寧ろ君にリアルで現実を逃避(死)させられそうになったけどね」

 そう言ってちょっと睨まれる、そんな思いっきり揺らしただろーか。

 そこは適当に笑って誤魔化しておく。


「笑ってんじゃないよ」

 ぴしゃりと言われてしまう。

 う……そんな酔いそうになったのかな。


「で……ど、どーすんの?」

 慌てて話しを変える、というより元よりコッチが本題だし。

「どーするもこーするも、やるしか無いしね、まだ悩んでるトコだよ」


「……へーじ、無理してない?」

 アタシの不安そうな声にへーじはその不安を掻き消すように手を軽く横に振って見せる。


「あー、大丈夫大丈夫」

 口ではそう言っているけど、明らかに無理をしている気がする。

 ……大丈夫かな。


 でも、キツイかもしれないけど。

 へーじには、頑張ってもらいたい。

 へーじの用意した舞台、それを見たいと思うアタシもいた。


「へーじには、感謝してるよ」

 そう言った後、へーじがアタシに訝しそうな顔をする。

 っく! そんなにアタシがお礼言ったら変かァ!? な、殴りたい!

 しかし、今はお礼を言っている途中なわけで……そこは何とか堪え様と思う。


「あの時へーじが止めなきゃ被害に合ってたのは他の一般の生徒だったしね」


 訝しい顔をしていへーじの表情は、アタシがそう言った瞬間に驚いた表情へ変わった。

 ……?

 そんな驚く事言ったかな?



「っへー、ちゃんと考えてたんだ、暴れる事しか考えてないかと思ってたよ」


 ちょっと、心外なんですけど。

 関心されてるけど腹立つ。

「……まるで暴れたがってるみたいな言い方じゃない」

 


「え? 違うの?」

 そのあっけらかんとした言い方はアタシに喧嘩を売ってンのね?

 解り易いムカマークと共にアタシはジロっとへーじを睨む。

 極め付けに手の骨を軽く鳴らして見せる。


「わ……解った悪かったよ……」

 へーじはひきつった表情で慌てて謝って来る。

 解れば良いけどね。


「アタシをあの会長と一緒にしないでよ」

 アタシはあの会長とは違う。

 自己満足の正義で、暴力政治を起こそうするあの男と一緒である筈が無い。


「……アタシは風紀の人間として一般の人を守る立場にあるのよ、それにアタシの正義は守る正義で暴れる正義じゃないし」

 そう、あの日からアタシの正義は悪を倒す事じゃなく、守りたいものを守る正義へと変わったんだ。

 正義のヒーローになる、なんていう高校生と思えないバカげた思いかもしれないけど。

 アタシの信念は変わらない。

 

「……そっか」

 そう言ってへーじは青い空を見上げた。

 それはへーじもきっと解ってくれてる。

 もうアタシの正義に文句を言う気は無いらしい。

 そこはアタシを信じてくれてるんだと思う。

 誰かが偽善だと言っても、偽善だと言っていたへーじが善だと思ってくれている。

 それがある限り、アタシはきっと大丈夫


「じゃあ、あの二人とは絶対闘う事になるんだろうね」

 何となしに言ったへーじの言葉が、アタシの心を揺らす。

 そうだと思う。

 ……だと、思う。


 会長をアタシは多分許さない。

 だからケリを付けるつもりはある。

 だけど、もう一人は、解らない。

 守るべきものには当然へーじも入っている。

 だからへーじを殺すと言った悠馬も倒すつもりだ。



 だけど。

 そんな事無いって考えたいけど。

 それがもしもへーじが悪い側である事だったら、アタシは正義を貫く事が出来るかな……。

 あの少年、悠馬はどこか不良らしく無い。

 同じ一年生の仲間の為に怒る事が出来る人間だ。

 そんな人間が、『殺す』とまで発言した理由。

 ……その理由が正当な理由な可能性は大きい。

 へーじが悪いのでアレば、それを守ろうとしているアタシもまた悪にしかならない。

 それでも、へーじを殺されるのは嫌だった。


 信念と、アタシ自信の感情が揺れ動く。


 矛盾した考えがアタシを困らせる。


 聞けば解る事なんだけどね。

 もしもそうだったら、アタシはどうしたら良いのかな。

試合が近いので更新が遅くなると思います(汗

良いわけ臭いかもしれませんがゴメンナサイ。。

しかし次の話しは明日か明後日には更新出来ると思われます!


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