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その39.春空、待ち人。

学校の終わる音。

チャイムの音と共に私は立ち上がった。

いつもサクにへーじを取られてしまうので今日こそはへーじと一緒に帰るんだ!

そう思って隣の席のへーじに元気良く、いつもの笑顔と一緒に話し掛けようとした。

でも、私は言葉に出さずに喉の所で詰まった。

へーじの真剣な表情が私にそうさせた。


……へーじ?


そんな生徒会や不良や縁ちゃんに、そこまで一生懸命にならなくても……。

そういえば、亜里抄ちゃんがへーじと何か喋ってからずっとこんな感じだ。

亜里抄ちゃんがへーじに何を喋ったのかは知らないけど……き、気になる。

話し掛けようと思ってた分、話しかけにくい雰囲気を出されると流石の私でも参ってしまう。

ため息を零しつつへーじから視線を外した。

何となしに向いた方向は窓。


……ん?


窓からは綺麗な春風が吹き、気持ちの良くなる空が見える。


しかし、ソレとは別に見えるものがあった。

窓から見える校門の所で、一人こちらの方を見ている人物が居た。

別に私と目が合っているわけで無く、この教室全体を見ている。

そんな感じだ。

その人物は私の良く知る人物。


……フーン?


そんな感じにしている間にサクの馬鹿みたいな大声が私の耳に届いた。

先を越されてしまった……。

私は視線をへーじの方に再び向けた。

サクを見るへーじの目はいつもとどこか違った。


へーじは悩んでいる。

……そんな事無視したら良いのに。

でも、その悩みを、へーじは必死に考えるんだろうな。

私やサクじゃ……きっとその悩みの苦しみから解き放つ事は出来ないんだろうね……。

『今、へーじの歯車を回すのは私達の役目じゃない』


 学校が終わるチャイムで僕は我に返った。

 いつの間にか授業が終わっていた。

 気付かない程までに、ずっと考えていた。

 咄嗟に出た言葉がココまでのおおごとになるとは思っていなかったのだ。


 ……さて、どうしようか。

 

「へーじー! 帰ろうぜー!!」

 元気な大声にいつもならイライラとする筈なのだが、今は何も感じなかった。

 僕はそれほどまでに、他に気が掛からない程に悩んでいた。


「ぁ……悪いサク、今日は一人で帰るよ」

 僕の言葉にサクは首を傾げる。


「なんでだよ?」


「…………」

 僕は何も言わない。

 少し、一人で考えたいってだけなんだけど。


「良いじゃん、一人でじっくり考えなよ」

 そう言ってサクの大きな体の後ろからひょっこりと顔を出したのはミホ。

 笑顔のままミホは続ける。


「物語の歯車を回す手助けをするのは、私たちじゃ無いよサク、今は、ね?」


 ミホの言葉の意味は解らなかった。

 多分、僕の悩みを解決するのはミホ達じゃ無いと言いたいのか? そして、それ以外の誰か、ってそう言う意味で良いのかな。

 他に誰かいる気はしないんだけど……?


「ま、まぁいいや、またね二人とも」

 僕は軽く手を振りながら教室を後にした。


 今んトコ、やっぱり亜里抄ちゃんの言っていた事が一番有力だろう。

 しかし、結局僕が言いに行けるわけでも無いし……そして他の人間に行かせるとかはもってのほか。

 ミホやサクやアズキに行かせても会長をブチ切れさせるだけだろう。

 志保ちゃん何てどうだろうか?

 ……ミホの妹という事は既にバレてそうだ、一番マトモな子なのに。



 ……あれ!? 今思うと僕の周りマトモな奴がひっとりもいねェェェ!!

 誰を送りこんでもひと波乱ありそうだなコリャ……。

 かといって知らない人に頼むのも気が引ける。

 っていうか誰も好き好んで生徒会室何かに近づかないだろう。


 ミホから聞いた話だが、生徒会室……もとい死刑部屋と別名されている。

 この学校の生徒会室は生徒指導室と合体している。

 そして生徒指導の先生は名ばかりでほぼ生徒指導室へ来る事は無い。

 理由は……今の会長さんを見れば大体察しは付くだろう。

 代わりに生徒指導という名目を使っているのが生徒会の奴ら。

 指導という便利な言葉を使えばやりたいほうだいなわけで。

 不良やテンションの高い生徒達からは恐れられている程だ。

 そんな人達でさえ恐れるのに一般人が行くわけもない。


 そして僕が行くなんてのも死んでも嫌だ。


 さて……どうしようか。


 いつの間にか校門の目の前まで来ていた。

 無意識なため息。

 ……ミホの言った通り謝った方が手っ取り早い気がしてきたよ。


 校門を潜った時。


 見覚えのある少女が居た。


 片方だけ結んだ長いサイドテール。

 お馴染みの猫目に手放そうとしない胸に光る赤いロザリオ。

 校門にもたれて空を見上げる姿は、通る人達も一瞬でも目を奪われるだろう。

 少女は視線を空から僕に向けた。

 そのクセ目が合うスグに反らす。


「……おーっす」

 ぶっきらぼうな言い方だけど、僕を待ってくれていたという事は解った。

 目線は外したまま、縁の声だけが僕に向けられる。


 視線は再び空に。

 空を見上げる瞳に綺麗な青が映っていた。

 そんな縁に釣られて空を見てみる。


 悩みなんて吹っ飛びそうな綺麗な春空だった。  

今回は前書きありますよ~

急遽アドリブで入れたのでちゃんと出来てるかは不明ですゴメンナサイ(汗

また時間在る時に見直してみます!

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