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その28.変わらない平和な日々。 ここが交差点

 あれから数日が過ぎた。

 賑やかなクラスは、今は昼休み中だ。

 頬杖を付きながら僕は遠目にミホを見ていた。

 彼女は楽しそうに他の女子と談笑している。

 僕が見ているのに気付いたのか、飛び切りの笑顔で手を振って来た。

 当然一緒に談笑していた子達も僕の方を見る。

 その子達は何が楽しいのかクスクスと笑っている。


 ……なんか恥ずかしいんだけど。


 そんな僕の気など知らずに嬉しそうに手を振っているミホ。

 苦笑いしつつ僕も軽く、小さく手を振り返す。

 それで満足したのかミホは再び楽しい会話に戻っていた。


 僕は小さくため息を零す。


 まァ、元気になってよかったけどさ……。


「よぉ、なんかあったんかよ?」

 そう言ってきたのは一人の大男。

 サクだ。

 言っている意味は多分……僕とミホに何かあったのか、とかいう意味だと取る。

 君までバカな事を聞いてくるのか……。

 サクはバカだが異常に勘が良い時がある。

 だからこそ。

 いきなり変な事を言わないで欲しい。



「……別になにもないよサク」

 脳裏に少し前の出来事が浮かぶけどそこはスルー。



「何も無いわけねーじゃん!」


「!?」

 突然の妙にテンションの高い大声に僕は椅子から転げ落ちた。  

 サクの声では無いのは確かだが、いきなり過ぎて焦る。

 顔を挙げた先に変態男がいた。


「え、何いきなり!」

 僕の冷たい視線なんて何のその。

 変態男、基アズキは興奮した様子だ。


「あの水歩ちゃんの変りよう……お前何かしただろ! 絶対!」


「……は?」

 呆然としている僕を無視してアズキは勝手に話しを進める。


「ここ数日間にいきなり水歩ちゃんがなんか女の子らしい感じになってんじゃん! それは何故か……女ってのは恋の思いにつれて綺麗になってくんだよ!」

 聞く感じでは……まるでミホが今迄女の子らしくないみたいな言い方だな。

 なんと失礼な……。


 というか君は何でそんな熱く語ってんの。


「で、君は何が言いたいんだ?」


「……かー! お前は本当! アレだな! ダメだな!」


「ダメな奴にダメと言われる方が心外なんだけど!」

 馬鹿に馬鹿と言われるのと同じくらいムカツク。


 僕達のそんな様子にサクもアズキの様に呆れた表情を作っていた。


「へーじはよー……頭良いんだけど何か馬鹿だよなー、俺でもわかんのに……」


「終始馬鹿な奴にも言われたくないわ!」

 くそ! 普通に馬鹿な奴にも言われるのは予想外だったわ!


 サクとアズキが顔を見合わせる。

 何だその視線で語っている感じのソレは。

 普通に気持ち悪いから止めて欲しい、そして息をするのも止めて欲しい。


「だからー……」


 二人同時に僕の方を指差す。

 この指折れないかな、とか思ってる僕を無視して二人は声を揃える。


「ミナミナ(水歩ちゃん)はお前の事が……」

 そこで言い終わる前に、突然二人はビタッと止まった。

 そんな馬鹿二人に僕はビクッとしていた。

 何故二人が固まり、頭の上にシャーペンが深々と刺さっているのか、そして噴水のように血を垂れ流しているのか。


 何故かはスグに解る。


「やっほー! へーじー♪」

 二人の後ろから笑顔のミホが現れた。

 あ、これや(殺)ったの君かい。

 アズキは血を流しまくりながらぶっ倒れた。

 そんな変態とは別に、流石は頑丈な変態、サクは血をダラダラと流しながらも未だに立っている。


「てっめぇ! 何すんだよミナミナくらぁ!!」

 頭にシャーペンをぶっ刺し、ダラダラと血を流しながら何を言ってるんだこの男は。

 しかしホントに丈夫だな。


「あっれー? サクマッチ丈夫だねん?」

 丈夫で済まされるのはサクだけなんだけど、っていうか躊躇無しに刺せるミホが怖いわ。

 

「ウルセー! てめーの事を思って言ってやろうとしてやっ……」

 サクの言葉はまたも最後まで言える事は無かった。

 それはミホが思いっきりサクの額に再びシャーペンを突き刺したからだ(2本目)。


「ぎ、ぎぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 強烈な悲鳴を挙げるサク。

 というかウルサイ。


 ニッコニコと楽しそうな笑みを浮かべているミホが怖……。


「大きなお世話よ~バカサク!」

 サクは血を噴き出しながらフラフラと足を縺れさせる。

 流石に丈夫なサクも前後ろにシャーペンがぶっ刺さってたらキツイらしい。


 あらー……何て人事な僕は視線を落とした。


 その先に、何故か血を流しぶっ倒れているのに光悦な表情のアズキが居た。


 ……え、なんで笑ってんのこの人、気持ち悪!! 



「フフ……なぜ俺が笑みを浮かべているのかが解らないようだな……」

 うわ、話しかけられちゃったよ! っていうか意識はあるのね。


「知りたいか?」


「いや、全力で遠慮しとく」


「そうか……そんなに知りたいか!」


「人の話し聞けよ!」


「美少女にシャーペンを刺されるという素晴らしさが」とか何とか勝手には喋り出すアズキを取りあえず無視することにした。


 顔を挙げた先に、フラフラとしているサクがいた。

 未だに血を出しているこのバカの丈夫さには呆れる。

 そう思った時に、サクは足を縺れさせた。


「「あ」」


 僕とミホの声が嵩張る。

 なぜ嵩張ったかというと、僕もミホもサクが扱けること自体に興味は無い。

 しかし、倒れる方向がまずい。

 その方向は今も勝手に変態的な発言で喋り続けているアズキの方向だ。

 ちなみにアズキはまだ倒れたままだ。


 その上に、大きな体のサクが覆い被さるように倒れていく。



 アズキが気付いた時にはもう遅い。


 プチ、という解りやすい効果音。

 ピクピクと痙攣している二人のバカを前にして


 取り敢えず……合掌。


 呆れた表情のまま合掌している僕と、「バカだ! バカが居る! アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!」と爆笑しているミホ。


 ……今日も平和らしい


遅くなりました申し訳ないです。

ここから新しい話しへと入って行きます。

また遅くなるかもしれませんが、どうぞお付き合い願います。



大学通ってパソコン使ってるので中々小説が書けない……(言い訳)

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