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その1.春一番の、女の子には、ご用心

 僕は、僕をねた少女を訝しそうに見つめる。

 頭の上にある大きなタンコブは何があったのか解り易く示しているだろう。


「ボケーっと突っ立ってるからよへーじ」

 何をシレっとしてんだ!


「車より早く走れる奴をどうやって避けろと!?」

 僕の迅速な突っ込みに少女はめんどくさそうに「アーアーごめんなさーい」と悪びれる気は無い様子。

 僕はクセになりつつある今日一回目のはため息を零した。


 彼女の事を簡単に説明しておこう。

 穴見あなみ ゆかり

 こんなふてぶてしい態度を取っているが僕の後輩だ。

 人間離れした運動神経を持ち、僕が知る限りでプラスチックで出来たエアガンを握りつぶしたりスイカを粉砕させたりと情人離れした腕力も持っている、言うなれば超! 危険人物だ。

 そんな縁は正義の味方に憧れた熱血バカでもある。

 前回の事を説明するのはぶっちゃけ長くなる (めんどくさい)ので省かせて頂く。


 話しを戻そう。


「何でそんな急いでんの」

 呆れつつ一応聞いてみる。


 僕の言葉に縁は困ったように片眉を挙げて見せる。


「あー……んと」

 結構ハキハキとしている縁なのだが、何か歯切れが悪い。

 学校の時間にはまだ時間が在るし……どうしたんだ?


 縁は妙にキョロキョロとしている。


「ま、また後で!」


 そういって慌てた様子を見せた後、再びありえない速度で先に行ってしまった。


 ……? なんだったんだ?


 走り去っていく縁の後姿を見つめた。

 以前の制服が長袖だった分、半袖で大分肌の露出が多くなっている。

 もうそんな季節かー、と適当な考えが浮かぶ。


 …………。

 ……うん、まぁ、悪くは、無い



「腕とかさ〜短くなったスカートの足とかついつい見ちゃうよねー」


「まーねー……」


 ん?

 横からの突然の声に無意識に答えてしまっていた。

 ッバ! と慌ててその場から飛び退いた。

 僕の直ぐ横に視線を向けると、ショートの短い女性が笑いかけていた。

 初めて見た人ならば、最初の印象は綺麗な少女だと思うだろう。


 ……しかし!


 僕はこの人物を知っている。


「アッハッハ! へーじもやっぱそういうの気になるんだ? 身・の・キ・ケ・ン! 感じちゃうな〜?」


 そう言いつつスカートの端を掴むと、業と見えるか見えないかのギリギリまで託し上げる。


 ショートの少女は悪戯っぽく笑いながら僕に向けてウィンクをしてみせた。


 そう、こういう女で在る。

 僕を常に不幸の道へ引きづり込む人間二人目だ。

 名前は立花たちばな 水歩みなほというのだが、皆からは大概別の名前で呼ばれている。

 僕は過去にミホと呼んでと言われてからミホと呼んでいる。

 ミホはどこから仕入れてくるのか、色々な情報を持ち、部活は新聞部に情熱を燃やしている。

 彼女の知らない事は無いので正直、縁よりもある意味怖い人間だ。


 そして毎度僕を弄ぼうとする性悪女。

 これは素なので仕方が無いかもしれないけども……女の子がそういう事するなよ。

 イヤでも視線はそっちに行ってしまうのは仕方が無い。

 だって男の子ですから!

 だが、コヤツのそういう策略に何度も騙されてまるか!!


 業と興味の無い素振りを見せる。

 一々反応すると余計にバカにされるのが毎度のオチだ。

 そう何度も同じ手は食わんよ!


「安心してよ、間違えてもミホは襲わないからさ」


 そう嫌味を吐き捨て、ミホの方を見ないようにしつつ、サッサと歩き出す。

 ……またあっちを見たら、今度はどんな誘惑が来るか解んないし。


 しかし、ミホの生足をモロに見てしまったのは事実……。


 春……うん、良い季節だ。

 なんて鼻血を出しそうになりつつニヤケながらそう思った。

 自分で思うのもアレだがニヤけている僕は多分中々にどうして気持ち悪いだろう。


 先程に春の風物詩で在る桜にボロクソ言った手前だが、過去の事は忘れよう。


 ……春、良いじゃない。

 新しい僕のストーリーが始まる、と言っても続きなのだが。

 また僕の物語に少し付き合って貰う事になるけど、そこはドウゾ、宜しく。



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