勇者は発見を夢見る
勇者ルシエルは、発見を夢見ていた。
発見が全てであるという思想に至ったのだ。
それは、最初に宝箱を開けた瞬間。
カチャ、という音とともに、10ゴールドを手に入れた。
その、達成感。
幸福感が、いつまでも忘れられない。
それからというもの、毎日、朝から晩まで、壺や樽を割りまくった。
そして、アイテムをたくさん手に入れてきた。
どんどん満たされていく幸福感。
そして、敵とも遭遇した。
何度も敵と遭遇する。
旅で先に進むたびに、敵の姿が変わる。
それは、ルシエルの心をとてもそそった。
そして、村も。
村人たちの容姿は、どこに行ってもおんなじなものの、話す言葉が少しずつ違っていた。
そこで、ルシエルは気づいた。
この旅は、発見の旅だと。
自分が夢見た旅だと。
そして、人生は、発見の連続だと。
死んでしまったら、それ以上の発見はない。
しかし、生きていれば何らかの発見がある。
必ずある。
そう信じる勇者のこころは、また、勇者を次の街へといざなった。