序章
連載スタートです!
―古からの伝承より、世界がピンチになり、人々が祈り、願うと現れる存在、それが、勇者であると伝えられている。
勇者は、誰にでも優しく、この世界に無い物を持っていたり、誰も知らない事を知っていたりするらしい。
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「いっけなーい!遅刻遅刻ー」
なんて、気分だけ少女漫画風。それで、美少女でも出てきたら良いんだけど…人生今まで16年生きてきて、そんなことは起こった試しがない。
まあこの台詞は絶対彼女ポジだから角から美男子が出てきても困る!だって男同士は困るだろ!絶対!
とまあ、冗談はさておき。遅刻しそうなのは本当。
今日はなんだか起きるのがだるくて…ずっと布団の中にいたかった。
なんだろう、怠惰なんだろうか。
学校も、どうせいつもの繰り返し。同じサイクルで、いつもとかわらない。たまには、非日常があってもいいじゃないか。そんなことを考えるのはラノベの読みすぎなんだろうか。とはいえ、遅刻をするのはまずい。取り敢えず、急いで走るとするか。
「おはよー」
何とか間に合った俺は、一応挨拶をする。
教室からは、拒む気配はない。しかし、応じる声もあがらなかった。これはもうしょうがない。とっくに諦めている。
俺は、自分の席につく。すると、急に眠気に襲われた。
(や、ばい。めっちゃ眠い…)
もうこれに抗うのは無理だろうと思った。
眠りにつく寸前、声が聞こえた。
―異世界に、冒険をしにいきますか?
俺は、無意識下で、YESと答えていた。
眠りに落ちた瞬間、体が白く光ったことには、誰も気づかなかった。
「ここ…何処だ?」
気づくと、知らない部屋に居た。
まあ、いわゆる「知らない天井だ」ってやつだ。
俺…クラスで寝てたんじゃなかったのか…?
木造の家。木の香りが心地よい。
ただそれだけの事なのに、何だか新鮮で、嬉しかった。
カチャリ
音のする方を見てみると誰かが立っていた。
金髪の中性的な見た目で、年齢は同じくらいだろうか。
すっごい美人だ。町にいたら10人が10人振り向くだろう。
性別、どっちだろ…?めっちゃ気になる。
別に、下心は無いが。
「大丈夫?」
そう聞かれ、俺は自分の体を点検してみる。
異常は無いようだ。
「うん。大丈夫だよ」
そう答えといた。
相手がまた話し出す。
「ボクの名前はレリス。君は?」
「俺は、龍輝。信藤龍輝。よろしく」
ん…?レリス…か。珍しい名前だな。外国人か?いや、でもそれなら俺はなんでこんなところにいるんだ?急に外国に行った訳でもあるまいし…
……!もしかして、ここ、異世界か!?
現代人で、異世界行きたい人は多いのではないか。俺も、かくいうその1人だ。単純にそれなら嬉しい。まあ、夢って可能性もなきにしもあらずだが、異世界って考えた方が面白い。それに、リアル過ぎる。
うん。ここは異世界だ。自分の中でそう断定することにした。
でも、ここで気になるのは、俺が死んだのかどうかだよな。転生するには死なないといけないけど、眠ってる間に死んだとかそういう感じか?
もしくは、死ななくても異世界にこれるのは、召喚…か
でもそしたらお城とかじゃないのか…?
聞いてみるか。
「ん…じゃあ、レリス、さん」
「さん付けは慣れないからやめてよ」
……でも…良い敬称の付け方が分からない。
考え込んでいると、それを見かねた様に、
「呼び捨てで構わないよ。ボクの知り合いはレリスって呼びづらいからレリィって呼んでる。レリィで全然良いよ?」
何かすまない気持ちだ。
「ん…じゃあ、レリィ。聞きたい事がある。俺は、どうやってここに来たんだ?」
そうきくと、心なしか、レリィの顔が曇った気がした。
レリスさんからレリィって落差激しくないですか?