第一話 アンタレス隊と反乱軍②
「遅い!」
士官学校の滑走路に着いた俺たち4人を待っていたのは、かつてスコーピオン隊の司令官だったバーフォード中佐の怒号だった。
彼はヘンドリクス・バーフォード。齢53歳の元空軍司令官だ。色黒の肌にダンディな髭が似合い、鋭い眼光はまさに空軍の鬼である。俺がスコーピオン隊に居た時の司令官を務めており、戦争終結後は後進の育成に務めている。
また、彼は余り出世に興味はなく終結後は昇進せず、今、ここで教鞭を取っている。
「訓練に遅れるとは何事だ!貴様等全員腕立て100回!」
「えぇ~~」
と言いながら皆が腕立てを始めていると、バーフォード中佐が
「桐埼!お前はこっちにこい!」
と言って俺を呼び寄せた。
その後、中佐が俺にあることを耳打ちし
「まさか、またあれに乗るとはなあ」
そうつぶやくと、俺は足早に格納庫の奥に向かった。
私たち3人は、修二が格納庫の奥に向かっていくのを腕立てをしながら見ていた。
私は中佐に
「中佐、修二は何処に行ったのですか?これから訓練ですよね?」
「ん?あいつは今日限りでアンタレス隊を抜けてもらって独自で行動してもらうことにした。」
中佐はさらっと、かつ含みのある言い方で3人に告げた。
「え?どういうことですか!?修二は別に問題行動は起こしてませんし特に抜ける理由はないはずですよ!?」
私は修二の離脱に全く理由が分からない旨を伝えた。
「別に問題行動起こしたから抜けさせるとかじゃないぞ?まあ、離脱した理由は単に修二の腕前を買って反乱軍の行動を偵察に向かわせるだけだ」
「桐埼にそんな腕前あるとは思えないんですが、大丈夫なんですか?」
私の横で先崎君も修二の離脱の理由を腕立てしながら聞いていた。
「問題ない。それに、お前ら知らないのか?修二の正体」
中佐は気になるワードを私たちに言った。
え?修二の正体??普通の私たちの同級生でしょ!?
私は頭が混乱していた。
修二は私たちの同級生で私の幼馴染。
それ以上でも以下でもないはず・・・
私たちが腕立て伏せを終わらせ、息を切らせていると、中佐が
「今日は3人の仲間に新たに入るメンバーを紹介するぞ。リゼッタ!」
そう言うと1人の女子生徒が駆け寄ってきた。
駆け寄ってきた女子は私と同い年くらいでシルバーのロングヘアやお人形みたいな顔立ちから、日本人ではなさそうだった。
「初めまして、リゼッタ・フォン・キルシュタインです。ドイツから来ました!」
そう名乗った女性はそう言って私たちにお辞儀をした。
私たちは、彼女の容姿に驚きを隠せなかった。
銀髪のサラサラのロングヘア、小柄ながらも豊かな胸。私もスタイルには気をつけてるが、彼女の胸は、小玉スイカがそのまま入ってるかのようだった。
リゼッタがあいさつを終えると、中佐が手を叩き
「よし、積もる話は後にして訓練を行うぞ。今日はお前たちに専用機を渡す。それを用いて模擬戦闘を行ってもらい、勝利するか傷を付ければクリアとする。」
と言った