-13『繰り返される悲劇』
ルーラの看病のために宿直していた保険の先生を呼び、私は意識が薄弱なアリーを保健室にまで運んだ。
事態を聞きつけて職員寮から慌ててやってきたローズマリー先生に、どうしてそんなところにいたのか、どうしてこうなったのか、と矢継ぎ早に詰め寄られた。
「状況がまだよくわかっていないのです。勝手なことをして被害を広げてはいけないでしょう」
言い返す言葉もなかった。
今回はアリーが先にあの意味深な箱に触れてしまって倒れたが、一足早ければ私がそうなっていたかもしれない。
不注意であることは否定できず、私は何も言えずに肩を落とした。
そんな私にローズマリー先生は一通り言葉を投げかけた後、つり上げた眉を落とし、穏やかな表情を浮かべて私の方を抱き寄せた。
「貴女は無事でよかったです、本当に」
心から心配するような声でそう言われ、私は思わず目頭が熱くなりそうだった。
アリーは保健室の先生に看病され、ベッドで横になっていた。ルーラとは違い、倒れたものの意識はあるようで、彼女もローズマリー先生から色々と話を聞かれていた。
ルーラより軽症だったのは彼女の『幸運』のおかげだろうか。だがもしルーラと同じなのであれば、その魔法も今は消失しているかもしれない。
「やはり魔法は使えませんか」
「……はい」
ローズマリー先生に言われて魔法球を作ってみても、アリーはルーラ同様まともに形成すらできていなかった。
ルーラのために原因を探そうとしていたアリー。そんな彼女が、まるでミイラ取りがミイラになったかのように被害に遭ってしまった。
その口惜しさは、気落ちするアリーの姿から如実に見て取れた。
「ここにいたのか、リズ」
ふと、保健室の扉がノックされて誰かが入ってきたかと思えば、急に声をかけられた。
クルトだった。
背中にはリルを背負っている。
もう夜だというのにどうしたのだろう。まだアリーの件は先生方にしか伝わっていないはずだ。
「クルト。なんでここに?」
「ちょっと伝えたいことがあったんだ。できるだけ早くな」
「伝えたいこと?」
私が小首を傾げていると、クルトの後ろからレニアが顔を出す。
「貴方まで」
ひょこりと顔を出したレニアの手には、書庫の本を書き写した文献が握られている。それ関連なのだろうとは察しがついた。
「ちょっと気になる部分があってね。クルトに頼んでもうちょっと読み進めていたのさ」
「急に部屋にやってきてな。仕方なく手伝ってたんだが、かなり気になることがわかったんだ」
「気になること?」
ああ、とクルトが頷く。
「お前が気になっていたことだ」
はっと私は顔を持ち上げた。
「それを伝えようと女子寮を訪ねたんだが、玄関で職員に尋ねてもどうやら留守らしいって言うんでな。あそこかと思ったが、行ってみてもいないし。それならここかと思って来てみたんだ」
それだけ早く伝えたいということか。
私は息をのんで二人の話に耳を傾ける。
「わかったのはお前の家、ワズヘイトのこと。そして、リル――竜が封印されたその時のことだ」




