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五十三話 守るもの達の密会

祝二年です。


私達はイブ様方を置いて私の部屋に来た。

他の者も私の許可がなければ入れない、ここなら誰にも聞かれずに済む。

「久しぶりだな、シルビア」

昔と同じように彼は私の名を呼ぶ。

数少ない私を呼ぶ人物。

と言っても彼には何年ではきかない時会っていなかったのだけど。

「えぇ、本当にあの場から貴方が出てくるなんて?」

どんなに言っても貴方があの場から離れる事はなかったのに。

あの方が眠る場所を。

今彼は目の前にいる。

あの方の残した者たちがいるこの場所に。

この来たがらなかった場所に当たり前のようにいる。

「すぐに戻るさ、俺は神子の身を守り監視するものだからな」

守る?

殆どは世界樹の精霊の仕事でしょう?

貴方はあの場を見守るもの。

あの方を傷つけるのは誰にも不可能な事なのに?

守る必要も監視なんてただ体まで消えないかと言う不安からの行動でしょう?

消えては駄目だ、例え眠っているだけで変革が起きないとしても。

そう、誰もあの方の代わりになる事などできはしない。

先程会った彼女も人であり神の存在だろう。

だけどそれは人としての神と言う事。

神子ではない。

あくまでも召喚されるのは人として人から生まれた者。

神から生まれた者ではないのだから。

私達の生みの親たちのように神の血を継いでいるわけではない。

ただの人という存在である事で絶対にあの子は神子の代わりになれはしないのだ。

ーーー認めない。

私達の生みの親ですら今の世界にするのがやっとだった。

ただの人の彼女にそれは不可能なのだから。

「なら何故ここに?挨拶と言うのなら彼女と守護者だけでいい筈」

貴方まで離れる必要は無かったはず。

寧ろ危険など、彼女は心界なら安全保障されている。

どんな危険があるというのだろうか?

彼がついてくる理由が思い至らない?

「あぁ、アイツ自身には危険はないだろうが―——」

「当たり前よ、危険なんて「だが」え?」

「だがアイツを連れ戻す役目がいる」

連れ戻す?

何を言っているの?

何処に連れ戻すと?

私が引き留める?

それならまず翔が止めるだろう?

彼にとって彼女はそれだけの存在、だけど翔の存在は知らなかったようだった?

だったら何故?

「翔は止めるでしょうね?それだけ彼女の存在は大きい」

心を壊してしまうほどに。

彼は舞奈さんにとらわれているから。

「?あぁ、アイツか?」

先ほどの背に乗せろと言う告白まがいを思い出したのか複雑そうに顔を顰める。

翔ははたから見れば女性でしたからね?

男とわかってそれなりにショックを受けているのですね?

「無理だな、あのイブではうちの舞奈を止めれないな、俺が心配してるのは——いや」

「何を心配しているのですか?確かにお姉さんなら翔と共に居て貰おうと思っていますが?」

それは私も彼女を引き留めると安易に言っている。

もしかしたら私が止める事を言っていたのでしょうか?

「いい、俺の思い過ごしなら良いんだからな」

少し考えるそぶりを見せてその言葉を止めた。

「———何が言いたいのですか?」

「いや、俺の勝手な妄想だ、気にするな」

「そうですか、ですが早々に心配も無くなるでしょう」

旅に行くことを止められないだろうけれど。

「如何いう事だ?」

少し怒ったように私を見る彼。

少なくとも貴方は認めて彼女をここに連れてきたのでしょうね?

だけど。

「確かに彼女が旅に行くことは止められない、けれど―—失敗に終わる」

行くことを容認した目の前の彼を睨む。

それだけこの旅は危険なのだ、例え神であっても。

行くのは心界の中だけとは限らないのだから。

だからこそ、何故彼女を?

「何故、彼女なのですか?リュアンあの子は翔の姉なのですよ!」

彼の怒りを買う事になっても確認しなければいけなかった。

後悔することになっても今の私には聞かないといけないのだ。

何故彼女を、よりによって翔の姉を巫女と呼ぶのだと?

巫女にしたとして失敗に終わる筈だが数日ですむような話では無い!

翔は早くお姉さんと帰る事を望むだろう。

今まで此処にとどめていた理由が見事に無くなった。

寧ろ帰る理由を与えてしまった。

だからこそ知りたい、何故彼女なのだと。

「失敗?しるか、俺は舞奈ならと思っただけさ、さっきのイブ擬きのことは知らん」

本当に翔の事は知らないと言いがかりをつけるなとやれやれと肩を上げ下げする。

彼女が彼女だから選んだと言う。

さもそれ以外にあるかと言う彼の瞳に迷いは一切感じられなかった。

あの子の時だって不安そうにしていたのに?

何故こんなにも真っ直ぐに信じられる?

それに、その願いは——叶わない——。

それは貴方は嫌と言うほど解っていたはずでしょう?

私も貴方も何年では効かない永い時の中で嫌と言うほど思い知らされたはずでしょう?

「————だからって、幾ら翔の姉さんでも無理な——っつ!」

無理なものは無理なのよと言おうとした私の胸倉をつかみ彼の夜空のような瞳が目の前に。

むしろ今の私の視界は彼の瞳しか見えない。

それ程に彼との間に隙間が無くなっていた。

神子の眠る地で動かなかった彼が目の前にいる。

それだけで彼がどれだけの思いでここに来たのか分かっている筈なのに。

私はいまだに信じられない、ううん、信じたくないのだ。

「いつまで逃げてやがる、泣き虫で臆病な女王」

久しく言われていなかったあまり好ましくない呼ばれ方。

「なら!別の方でも!何故翔の姉なのです!」

「は?知るか、アイツは世界樹に唐突に現れた」

まって?突然?

だったら私達の召喚が——でも何故世界樹に?

こちらに来るはず。

「世界樹は——神子様の眠る地―——まさか?」

あの方が呼び寄せた?

だが何故?

そもそも眠る彼女には何もできない筈。

だったら―—誰が?

「さあな、アイツは気づいたら世界樹にいたらしい、雪灰の話だと光の中から現れたらしいがな」

光の中?

それなら召喚で間違い無い筈。

ならば何故?ーー雪灰?

「雪灰とは、先ほどの守護者ですか?」

真っ白ーー少し灰色がかっていたドラゴンでしたが?

あのようなドラゴンが貴方の傍に居ただろうか?

―———。

弟君は確かドラゴンにはなれませんし?

妹君も金と緑の筈?

黒に灰色の瞳は——コク殿?

真っ白はーーハク様?

いや、確かもう一人。

消えたシロン———ん?

―—待って?

何故私は思い出せているの?

存在そのものを消されたはずの彼女の名前も姿も私は思い出せている?

確かに忘れ去っていたはずなのに?

ーーーーまさか?

「シロンでは無いぞ、アイツは雪灰だ。」

本人の前で名前を間違えても呼ぶなよ?

アイツらは別の存在だからな。

少なくとも舞奈はそれを気にするからなと言う。

「では、ハク様の創世のお力で?ですが?」

ハク様の力でも新たな感情、心までは創世出来ないはず?

人形と言う名の器しか形を成さないはずだろう?

だけど先ほど少し会っただけだがあの雪灰と言う守護者は意思を持っていた。

人形に口論などできる訳がない。

人形ならば有り得ない事だ。

「あぁ、母さんがシロン、妹を救うために作った人形だったのは事実だ」

「だった?」

何故過去形なのですか?

人形は人形でしかないと言ったのは紛れもないハク様や貴方たちでしょうに?

だから私があの子の体を人形にして生きながらえさせてほしいと望んだ時も断ったのではなかったのですか?

『は?ヤダよ、僕はこの体でいるからな』

ま、あの子自身も全力で拒否されましたけど。

体なんて、それでも抱きしめてくれるあの子を無くしたくないって思いは本当だったのよ。

静かにあの子は私を抱きしめてくれたけど。

いま、あの子はいない。

だからこそ。

「——と言う事は——核は感情があるのは」

―———。

聞きたくない、いやもう予想は付いている。

あり得ないけど、それしかあり得ないから。

「それがアイツを巫女にした理由の一つだ、『人形、作りモノの器に本当の心は宿らない』アイツはその常識を壊した」

アイツには人形に心を宿せるという。

その事実を私は受け入れるのを拒む。

「っつ」

何故だろう、唐突に震えが止まらない?

訳が解らない?

有り得ない?

人形に心を宿した?

新たな命が生まれなくなったこの世界で?

新たな命を宿らせたと言うのだから?

「何を恐れてる?変わる事か?それとも願いが叶うかもしれにと言う期待か?」

確かに彼が言うことが誠の事ならば私の呪いが束縛が解ける期待も持てるかも知れない。

此処は喜ぶところだろうが、私はそれ以上にーーー怖い。

ーーーー。

ーーーー。

有り得ない。

「ち、違う、そんなのあり得ない!だって彼女は人——ただの人である彼女が——そんな」

この世界で生まれた訳ではない、ただの人の遺伝子を持つ人と言う存在。

そんな彼女がそんな事をできる訳がない。

あり得ない。

そんな事が出来るなら、それはーーー。

「———お前も進めていないんだな、と言っても俺も全て理解したわけじゃないけどな」

俺も受け入れたようでまだ恐れを持っている。

そう言って申し訳なさそうに何処か遠くを見つめる彼。

「リュアン?」

「認めたく無いのは最もだ、だから連れてきたんだよ、まずお前の前にな」

自身だけではなく、俺以上に全てを知るお前にアイツを見て欲しかったと。

「?」

彼が言っている事が解らない?

何故私に会いに来させたのだ?

ーー会うこと何てーー。

如何して?

「すぐに分かるさ、舞奈も弟と話を付けたいだろう」

暫くは旅で会えるか分からないのだからなと言い残し部屋を出て行った。

影がある場所なら彼のテリトリー。

今頃彼は一足早く翔達の所に戻っている事だろう。

「本当に言いたい事だけ言って」

詳しい事は何も伝えずに自身で見ろですって?

私達ですらできない変革―——それこそ神の所業。

ただの人にできるハズがない。

何かの間違いよ。

相変わらずの亀更新ですがこれからもよろしくお願いいたします。


御読みくださりありがとうございます。

ではまた。


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