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四十六話 繋がりを繋げる

少し長めです。

目の前の少女は私に問いかけた。

私は誰かと。

戸惑いながらも、ようやく取り戻した私の名を伝える。

私はシロンだと。

雪灰ではないと、私は私だと。

消えてからこそ解る私が私という証の名を。


そんな私に彼女は何を言うのかと思うと、雪灰を受け入れろという。

少し前の私にはうなずけ無かったであろうその願い。

だけど、私の口から自然と言葉がこぼれた。


「いいわ、あの子の居場所を今度は私も守る」


奪われたと思った。

だけど、あの子には何も奪われていなかった。

寧ろ私は雪灰が幸せになる可能性を奪っていた。

私という存在が居たから、雪灰は家族に溶け込む事も受け入れられる事も無かった。

なら、その身を犠牲にして、私や家族を守った雪灰の為に、私に出来る事をしよう。

消えることも死んであげる事も私には出来ないけれど。

受け入れる事は出来る筈だから。

そう彼女は私の前で示してくれた、簡単だけど簡単じゃ無い事を。

「そう、貴女もなのね」

「え?」

そう言った少女が何故か私の目の前にいつの間にか居て。

自身の中に何かが入ってくる異物感が襲う。

「っつ、な、何を!」

「君の核に少し干渉するよ、暴れないでね」

少しの衝撃で手元が狂うか解らないから?

それは私達に駆け寄ろうとする二人を止める言葉だったのでけどーー。


それよりもやっかいな二人がやっかいなタイミングで戻ってきた。

ま、それよりも言うことは一つだよね?


「あ、お帰り!舞奈!」

背後に感じた鼓動に私は顔だけ振り向いて帰還を喜んだ。

なのに、姿が薄れた姿で二人の顔は驚きに染まっていた。

あれ?

なんでそんなに驚いているんだろう?


「っつう」


あ、そうだった、干渉してたんだ、いけない、いけない。

喜びも後に私は作業に戻ろうとする。

少しでも手元が狂うと核を壊してしまうから。

だけど、視界に二人の腕が何度も私の体をすり抜ける?

止めようとしてる?なんで?

舞奈だってドランの時入れていただろうに?

「カリナなの?何してるの!」

何故か息の上がった二人が私に問いかける。

「ん?核の干渉?」

いや、痛くもかゆくも無いんだけど?

視界に入られると気になるな?

「な、何だよ!それ!シロンから離れろカリナ!くそ!」

「何で触れられ無いのよ!」

二人は何故か私を止めようとするし?

と言うか早めに終わらせないと舞奈に負担がーー。

でも説明するのもな?

「大丈夫だ落ち着いて、巫女様、雪灰」

思いも寄らない所からの助け船。

正直私が説明すればいいんだけど、そんな手間すら面倒。

そもそもそんな余裕は私にはない。

この体は闇雲に力を使える体では無いのだから。

だから内心少し安心していた。




ーー核を触られ調べられている感覚、正直良いものではない。

だけど、敵意もない、本当に慎重に優しく触れられている。

だから大丈夫だと苦しいけど伝える。

「し、シロン?」

戸惑いながらも私の方に歩んできてくれる雪灰。

私が動けないからだろうけど、そっとだけど近づいてくれる。

それに安堵している、緊張する私がいるのも事実。

巫女様も私達の様子にその場にとどまり、見守ることを決めてくれたようだ。

両親は私達を見つめてだけど不安そうに。

だけど邪魔しないように踏み止まってくれる。

これは私達の問題だもの。

意を決して言葉を紡ぐ。

「今更かも知れない、だけどどうか許してくれる?」

今さら、本当に調子の良いことだと分かっている。

だけど、言わずには居られないから。

胸に腕を埋められたままの私はその場を動かさず。

だけど近づいてくれた雪灰に問いかける。

しっかりとその姿を自身の瞳に写して。

そして雪灰の瞳にも私が映り込んでいる。

真っ直ぐに私をみてくれている。

「何をだ?」

簡潔な答えに私は返す。

「貴女の名を呼ぶことを」

その一言に雪灰は首をかしげる?

なに当たり前の事言ってるだと言うように。

そして挙げ句のはてには。

「さっき、呼んだろう?シロン、私こそすまなかった、お前を名を無くさせてしまって」

何故貴女が謝るのよ!どうして!

「な、なんで!なんで怒らないのよ!」

私達は自分達の為だけに貴女を生み出し捨てたのよ!

私の事だって自業自得よ、寧ろ巻き込まれたのは貴女の方なのよ。

謝られる事はあっても貴女が謝る事なんて何も!

「いや、私は居ないはずの、シロンや、か、母さんが望まなければ生まれてない」

悲しそうにだけど、微笑んで言う雪灰の表情に私や両親は胸を締め付けられた。

ああ、私達は間違っていた、自身のための願いに、こんなにも雪灰を傷つけていた。

だからこそ、なんで微笑むの!

「だからって!ーー「でも」?」

小さな、確かに小さな声だけど、真っ直ぐなその声に私の声は中断される。

な、何を言おうとしているの?

「でも、私は生きてる、偽物でも器でも人形でもないーー私はーー」

『雪灰だ』そう背に居る巫女を一度見つめてからそう言い切った。

その表情はしっかりと自身を持ったモノだった。

それにその場にいた全員が驚き、そして安心していた。

私達がしたことは間違いだっただろう。

だけど、間違った事でも生み出されるモノもあるのだと。

意味があったのだと。

「そう、なら少し、また私達と、私と一緒になってくれる?」

そうして、私はシロン。

貴女は雪灰と言う意思があるのならきっと大丈夫。

やっていける。

妙な確信が私から自然とその言葉を出させていた。

「は?」

言われた本人は訳が分からないと口を開けていたけど。

正直私も詳細は分からないのだけど。

この腕をいれている少女にーー聞けないわね。

表情には出さないけど、繋がっているから分かる。

鼓動が不安定で、必死なことを。



「そのままじゃ二人消えるよ?」

カリナの言葉に私達は自身の体を再確認する。

などとさらっと恐ろしいことを言う。

た、確かに少しずつ薄れて行ってるけど?

え、まじ消えるの?

戻ってきたばっかりなんだけど?

「あ、舞奈は体に入れば大丈夫だよ」

カリナの言葉に私は舞奈の方に振り替える。

「え、でも」

自身の体と私達を交互にみて迷う彼女を私は手を取る。

「早く入れ!」

「ちょ!雪灰!」

そのカリナの言葉を聞いて私は後ろに居た舞奈を力尽くで体の方に連れて行く。

せっかく戻って消えるってなんの冗談だよ!

だったら早くはいれよ!


「あ、でも」


なんて小さなカリナの言葉は勿論届いていない。

「良いから!入れ馬鹿!」

「な、馬鹿ってーーっつ!」

体に一定近づいたからか舞奈は光になって体に溶けていった。

ーーーーー。

ーーーーーーー。

ーーー。

入った舞奈はーーーおい?

「起きないぞ?」

「当たり前だよ、今この作業は舞奈の精神も影響するもの」

むしろ起きていられる筈が無い。

だから成り行きが終わるまでは居て欲しかったけど。

寝ちゃったなら仕方ないか。

なら、眠る時間は長いけど、早く終わらせよう。

私は腕で探っていた核の繋がりの糸を引き出す。

「これを繋げば二人は二人のまま一人になれるよ」

そう言って私はシロンにその糸の先を渡す。

正直、もう限界なんだよーー。

限界が来て私は渡した時に光になって舞奈の中に溶け込んだ。

「お!おい!カリナ!」

唐突に消えて!

どうするんだよ!

ーーーーー。

ーーーー。

「雪灰ーー繋げてくれる?」

そう言って私に自身から出る光の糸を差し出してくれる。

その手は震えていて、顔はとても不安層にしていた。

「ーーもう、一人で抱え込むな、これからは私もいる」

そう言って私はその糸を力強くシロンの手ごと掴んだ。

それをきっかけに光達が私達を繋げ包み込む。

光達はシロンと雪灰の核を光の糸で繋ぐ。

光の収まった場所には白い髪に灰色の。

「お、おい!シロン!」

分かるのは私がシロンの体をもとに自身を形成したこと。

だけど、中にシロンを感じる?

(一つの人格しか世界に干渉出来ないは、この声も多分貴女にしか聞こえないわ)

中から聞こえるのは確かにシロンの声。

良かった、消えてないんだな、だけど何で私が表に?

(私じゃ、力は押さえられてもそれ以上ナにも言うこと聞かないもの)

そう消したいと言う意思、願いは叶えてくれた。

止まれともだけど、それ以上力は何もしてくれなかった。

まるでナにかに阻まれているのように。

「ーーそっか、上手くいったんだな」

(え?)

「と、とにかく、この光達を大人しくさせるか」

消えたときよりも光達を感じられる、これなら大丈夫だろう。

周りに拡散していた光達が戻ってくる。

「な、何をそんな馬鹿な!」

城下から見える景色には消えた筈の人々が不思議そうに、だけど生きてそこに存在していた。

「結構賭けだったんだけど、上手くいって良かった」

そう、私は消える前に自身の力にリミッターを掛けた、生きしものを消すのは覆い消せと。

だから力を戻せば覆い被さった力を消せば元通りーーうん、上手くいったのはいいけどーーー。

限界みたいだーー。

私の体は自然と休養を迫って眠りに誘う。

「全く、変わって直ぐに変わるなんて?」

(いいだろう?家族として過ごせよ、多分ーー)

「おやすみ、雪灰。」

(ああ、シロン)


「し、シロン」

父さんの翼の中で私達家族は一緒になれた。

だけど私は巫女に近づいていく。

「雪灰!」

そう力強く呼ぶ彼女の声。

本当に不思議な人ーー。

そっと抱えて、私は家族に言う。

「巫女を休ませる、雪灰も」

正直私も辛い、早く休まないとヤバイーー。

「舞奈様!姉さん!」

そう言って入ってきたのは久しく見た。

「あら、いいタイミングよ、シャロ」

ようやく家族が揃った、不思議だ、こんな気持ち。

雪灰の心に引っ張られているのか分からないけどーー。

「お休み、巫女様、雪灰」

自身の中で眠る雪灰とうでの中で眠る巫女にそう声をかけ。

私は再び一歩を二人で踏み出す。

今度は間違えないように、私が私としてこの世界を変えれるように。



「ーーもう!私を消さないためでもあれはひどいよ!」

体に入って私の意思は暗い場所にあった、もうすぐ意識が夢に消える。

それは何となく理解していた。

「でも、舞奈が繋げた繋がりーー大切」

私に声をかけてくれる、私しかいない筈の私の意識の中に響く声。

この世界に来てから時おり聞いている声。

「ーー今回も見せてはくれないんだね?」

背中から抱き締められているのは分かるのに、振り替えれない。

鈴のような声はとても懐かしく、だけど思い出せない?

知っている筈なのに?

「駄目、舞奈は思い出さないでーーお願い」

「うん、ーーでも何時か絶対ーーーー貰うから」

自分が最後に何を言ったのか分からなかったけど、確かに伝えたかったから。

「うん」

嬉しそうな首筋に、冷たい滴が落ちたけどーー私は拭えない。

「またねーー」

「ーーお休み、舞奈」

そうして優しく包まれて

私は心地よく眠りについた。

目覚めた時の驚きまでーーあと少し。

安らかな眠りを。

お読みくださりありがとうございます。

ではまた。

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