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四十四話 立場が逆転?

ーーーー。

ーーーーーー。

確かに聞こえていたーー鼓動。

それが唐突に消え去った。

確かに聞こえていて追いかけていた筈なのに。

ーーーー。

ーーーーーー。

消えてしまった。

ーーーーー。

何も聞こえないーー。

沈んでいってしまったのかな?

だったらーー沈まなきゃーー。

ーーーー。

ーーーー。

だから私は沈み続ける。

ーーーーー。

ーーーー。

そうすればまた聞こえてくるような気がしたから。

「ーー本当に沈むだけねーー」

早くは無いけど沈むだけ。

止まろうにもーー止まらない。

止まり方が解らない。

あんなに耳障りだった様々な鼓動は全く聞こえなくなった。

下に行くにつれ数が減り、今では全く感じなくなった。

その境を超えられないように為っているようだ。

だったら私も踏み居る事が出来ない筈なのに?

ーー何故か光達は止まろうとしなかった。

私は止まらない。

『死の淵、もう少し』

そうか、光達は死の淵にーーー。

でも、何で?

私は沈むーー何かを探しに来た筈なのにーー。

それすらも分からない。

私は?何をしていたんだっけ?

死の淵まで来て何をしに来たんだろう?

だけど、この沈む感覚ーー前に何処かで?

私は此処に来たことがあっただろうか?

ーーー私が死の淵に?ーーー。


『大丈夫、私は死んでも死なないモノ』


表情を無くした幼い女の子の言葉が頭を過ぎる。

如何してそんな事を言っているの?

如何して?

貴女は誰なの?

知ってるはずなのにーー。

ーーー貴女は?

ーーっつ!


≪そこまでだ≫


唐突な言葉に私の体は沈むのを止める。

よく見ると私の胸から一本の細い糸のような光が出て上に延びている。

そんな切れそうで切れない光糸が私をその場に縛り付ける。

「これって?」

何だろう?この糸?

私は沈みたいのに?

何で止めるのかな?

不思議と私はその糸に手を掛ける。

千切ってまた沈むために。

『駄目』

そんな鈴のような声が私の手を止めさせる。

一瞬私の脳裏に泣きそうな女の子が過る。

一瞬過ぎてどんな姿なのかは分からなかったけれど。

確かに悲痛な表情だった。

ーーー。

「ねえ?誰なの?」

何で止めるの?

そう聞いても今度は何も返ってこない。

幾ら待っても声は聞こえない?

だけど代わりに私を止めた声が響く。

《全く、君は何度壊れるつもりだい?》

さっきの声ではない男のひとの声が響く。

だけど私は自分は見えてもその声の人は見えない。

わずかに気配でそこに居ることが分かるくらい。

姿は見えない。

《君の今の願いは上だよ》

そういわれて私は上を見る、いや聞く。

聞こえてくる一つの鼓動に私の意識は戻る。

それは私が見失った目的の音だったから。

そっかーーーそこに居たんだ。

「そっか、沈み過ぎたのね、私は」

だけど、どうしよう、上ろうにもどうしたら?

さっき見た光糸はまだそこに繋がっていて。

今度は私はそれを辿ろうと手を掛ける。

ーーーぐい。

《止めな、それを引けば君は壊れる、それは君の罪を深くするものだ》

そう言う彼は姿は見えないけど私の手を取る。

駄目だと。

引くなと。

だけどこの繋がりを辿れば。

《今の君には別に繋がれる者がいるだろう》

そう言う彼の言葉に私の鼓動、核が小さく鼓動して輝く。

その光は小さいけど確かにこの暗い世界を照らす。

その鼓動に合わさるように苦しくなる。

っつ!

く、苦しいーー。

がむしゃらに手足をばたつかせるけれど、泥のような黒い物を掠めるだけで。

苦しみが増していく。

「っつ!や、やめ」

《来てくれたみたいだね》

全く君はどうしてそんなに壊れても皆を惹き付けるのだろうね?

「え?」

《さ、君は戻りな、今回はこの下まで、その繋がりを切ってまで来るときじゃない》

「ちょ!」

《どうか、君が望むものが手にはいるようにーー君は忘れているだろうけど》

その願いが世界に僕らに変革をもたらすのを。



待っているよーー。



その言葉を最後に捕まれていた手が離された。

それと同時に気配も声も消える。

「ちょ!まって!貴方は誰なの、私は何を忘れーーっぐ!」

気配が無くなって急激に苦しみが強くなる。

彼が痛みを押さえていたと言うようなーー。

だけど、止まらない、鼓動が、輝きが。

ーーーー。

ーーーーー怖い。

ーーーー痛いよ。

ーーーーーーーーー寂しいよ。

今まで感じなかった思いが苦しみと一緒に溢れてくる。

自分の感覚がぐちゃぐちゃになっていく。

私はーー。

私は!



ーーバシーー。

再びとられる私の腕。

だけど、そのとられた腕から伝わって来たのはさっきの男性では無い。

私が探してーー迎えに来たはずの!

ーーこれじゃ立場逆転じゃない。


「舞奈!!バカか!君は!何で!」

そんな呆れたような、怒ったような声が、鼓動が伝わってくる。

「ーーゆきーーは?」

その言葉に私達の周りを光達が包みさっきよりも明るくする。

私だけでは無く雪灰も包むように。

お陰でこんな暗い場所でも雪灰の姿が見えるようになった。

とても目を見開き心配そうな瞳をする雪灰の表情が。

「バカか、此処は死の淵なんだぞ!何で君まで!」

顔色はとても悪そうーー多分私もひとの事が言えないくらい。

今は苦しくて言葉もろくに出せないーー。

「っつーーばーってーーなによーーただ」

ただ、迎えに来ただけじゃない!

さっきまで何をしていたのかも曖昧だけど。

知ってるはずなのに知らない人達に止められるし!

だけど迎えに来たのよ!

苦しいのも合いなって私は雪灰にしがみつく。

苦しみに耐えられるように、何かにすがっていないとどうにかなりそうだった。

「君は何時も苦しむんだな」

背中をさすりながらそう耳元で呟かれる。

「っつ、ーーえ?」

私が何時苦しんでーーあ、今か?

と言うより雪灰の前で私弱い所見せすぎじゃない?

ーーーいまさらね。

「だったらその苦しみ私に分けろ、そうすれば少しはらくだろう?」

少し離れて優しい笑みを向けてくれる

「ーーっつ!ーーーだったら!」

「!」

「だったら一人にしないでよ!一緒にいなさいよ!」

居るって言ったくせに消えて、なのにこうして迎えに来て!

雪灰の気持ちが解ららないよ。


「舞奈ーーー捕まってろ、取り合えず上に行くぞ」

翼を出した雪灰が私を抱え飛ぶ。

私が幾らもがいても上がれなかった場所を飛ぶ。

苦しい呼吸も雪灰の鼓動を聞いていると落ち着いてくる。

ーーーどうして此処まで私をーー。

どうして?



《大丈夫かい?》

苦しい中で雪灰の腕の中から見えたのは二人のーーー二つの。

「ーー核?」

少しまだ苦しいけどそう言葉を伝える。

二つの少し大きな核が確かに二つ鼓動を刻みながら声を発する。

《ーーそう、貴女には見えるのね》

嬉しそうに言う女性の核。

「え、えっと」

《すまないなーー巫女よ》

何故か男性の核が謝る。

それに何で私が巫女だと知っているのだろうか?

「は!巫女?」

置いてきぼりの雪灰はーー取り合えず後回しで。

《君には僕らが手放してしまった繋がりが見える》

《そう、貴女ならもしかしたら、お願い、どうかその繋がりを切らないで》

そう言うと送り風が唐突に吹き上げ私達を押し上げる。

出ていけと言うように。

《どうか  さんをお願い、どうか》

消える前に確かにお互いの手を取り合う男性と女性がみえた気がした。




《ようやく、戻ってきてくれたのかしら?》

《それはどうだろう?あの子は人だ、壊れてしまうかもしれない》

むしろ何度も壊れた形跡があった。

白い子も少し壊れた形跡があったけど。

連れ戻された彼女はその比では無いほどに歪み壊れていた。

あんな風にしているのが不思議なくらい。

だが、それでもあの人との繋がりを持ち続けている。

《でも、私達に足りないものを持ってるわ》

そうでなければあの繋がりがある筈が無いのだから。

送り返した人と人ではない私達が作った偽物と共にある姿。

その姿を見て私は僅かな可能性を感じてしまった。

それは私の私達の願いーーだけど。

あの子達はどんな答えを願いを形にするのだろう?

それは私が、私達が出来なかった事になるだろう。

《さ、僕らもそれを見るためにももう暫く偽物を保とう》

そう言って普段の作業に戻る彼の背に私は何時ぶりかーー微笑んだ。

ーー彼には見えていないでしょうけど。

貴方がいるから私はこの場所で待ち続けられるのよ。

ーーー有り難うーー。


《ええ、そうね》


そう、私達にはこれしか出来ないから。

だけど、それでも時間を作ることはできる。

だから、どうか変えてーーお願い。

どうか私達にーーーにーーーする機会を。

どうか。

自分達で決めた事なのに他人に任せる事しか出来ない。

そして壊れてしまうかもしれない。

それでもどうか、お願い。

私達の願いを見届けて。

ーーーー娘、そしてあの子達。

私達は託してばかりね。

それでもーーどうか。

ーーー。

ーーーー。

私達の世界をーー家族を救って。


そんな私達の知らないところで私はまた背負わされていた事を知らない。

むしろーー。

「あ、お帰り、舞奈!」

光に包まれて戻ってきた私と雪灰。

私も雪灰も核を中心に少し透けた姿で戻ってきた。

ーー幽体離脱?

そんな私達に気づいて笑顔でお帰りといってくれるカリナ?なの?

その姿は私の小さい頃と瓜二つの姿だった。

いつもの小さな姿じゃない。

「っつーーう」

その姿のカリナの腕は何故かシロンの胸に埋められていた。

その異様な光景に私達は固まった。

ーーーー何しているの?


お読み下さり有り難う御座います。

ではまた。

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