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四十三話 消えた先で

暗いーーーただ暗い。

だけど、確かにーー自分がある。

少しずつ薄れていっているけれど。

ああ、こうして、皆消えていくんだな。

不思議だ、体が無くなったのにーー。

自分って感覚が残っている事が。

痛いかもと思っていたけれど、不思議とそんな感覚は無かった。

「雪灰!!」

最後に見て、聞いた声と姿。

脳裏に焼き付いて離れないその姿が消える事を阻ませる。

あんな必死な表情、それでも君には無事に生きてほしかった。

たとえーー。




よそう、もう私にできる事なんてーー何もーー。



《本当にそうなのかい?》


そんな場違いな声が響いた。

その声に意識を戻すといつの間にかさっきとは違う不思議な場所にいた。

さっきまでの真っ暗な空間では無く、生活感のある場所。

少し広い一室のような空間。

テーブルな椅子などの家具が確かにそこに存在し。

明るい絨毯の上に確かに私は立っていた。

辺りを見渡すように私が動くたびに絨毯から光が舞うけれど。

だけどそんな普通のような一室に異様な光景も混在する。

そこには幾つもの機械が合って、そこにはお茶をしている女性と。

機械に張り付いて何かを操作し続ける男性がいた。

「だ、誰?え、ここは?」

いったい何処だというのだろうか?

さっきまで私は消えかけていたのに?

不思議に思い自分を見ると確かに薄いけど確かに存在していた。

バラバラでも無ければ消えるのも止まっている。


《ここは私達が作ったリューリヤの魂の選別室よ》

私の問いかけにお茶を飲むのをやめて答えてくれたのだけど?

「は?」

魂の選別?

作ったって貴女達が?

正直私は混乱していた。

むしろ思考が追い付かない。

ーーーーー?

______?

《いいわ、貴女には理解できないでしょう、それよりもいいのかしら?》

理解が追いつかない内に何だか馬鹿にしたような発現が聞こえたけれど?

そんな事を問う前に話は進む。

と言うよりも戻された。

「え?」

《このまま消えてしまうことよ》

そんな彼女の言葉に私は自分の置かれた状況を思い出す。

消えかけていたこと。

それでも良いのかと問われた事。

「そ、そんなのーー私はーー本当はいないただの人形ーー器でーー偽物で」

いない存在が消えるのは当たり前の事じゃないか。

むしろ舞奈を帰すことができた、それだけでも私がいた理由には十分。

これ以上望んだって、どうせ私は受け入れられない。

それに、もしかしたら、シロンは願いを叶えているかもしれない。

そうしたら私が戻る場所なんてない。

寧ろ消えていることだろう。

それだけシロンの願いは重たく悲しかった。

だけど私は何も出来ない。

しなかった。

多くを望んでも手に入らない。

なら唯一自分自身が望んだ舞奈と言う存在は守りたい。

それが私の命よりも優先した願い。

その代償が今の私だ。

その状態に不満もーーまして後悔なんてーー。

ーーーしていい訳がない。


《いない存在?だけど貴女は生きているでしょう?》

そんな当たり前の事を如何して自分から否定しているのだと。

不思議そうに首を傾げ瞳に私を写す女性。


《そうだ、生きてる奴は皆作られたんだ、偽物なんてねえよ、生きてるお前さんがその証明だろう?》

機械から目を離さずにだけど聞いていたのか言葉をくれる男性。


いきしものは皆作られた。

ーーー私は作られた存在ーーだけど、生きてる。

シロンも舞奈もシャロも作られたーー生きている命。

ーーーー。

ーーーーー偽物なんてないーー。

ーーーー。

だったら私はーーー私の命はーーー生きていた?

偽物じゃないの?

人形でも器でもないーー。

ーーー。

ーーーーっつ。

なら、私はーー。


二人の言葉に私の中で何かが崩れる。

いつの間にか私の目から涙が溢れて止まらなくなる。

「っつ、生きたい、まだ、舞奈と居たい、家族とやり直したい」

遅いけど、だけど、私はまだ生きたいんだ。

もう一度、今度は雪灰として関係を繋がりを作っていきた。


《そう、なら、貴女は選別するには早いわねーー《嘘だろ!》》


選別とは何だろうと思った時には男性が驚きの声を上げた。

唐突な男性の声に私は考え込むのを中断し。

女性はいち早く男性に駆け寄った。

《人がーー沈んでったーーあそこまで行くなんて》

信じられないと驚きで目を丸くする男性。

それとは対照的に女性は微笑んでいた。

《ーーーそう、やっぱり変革の時なのね、漸くだわ》

人?

ーーもしかして?

有り得ない可能性が脳裏に過ぎり私は二人の見る場所に歩み寄る。

二人がのぞいているのは機械の画面。

そこには何か別の映像が映し出されているようだ。

私は男性達が見ている機械に近づいて二人の間さからのぞきこむ。

ーーーそこにはーー!!!!

「舞奈!!!何で!」

有り得ないけれど淡く光達に包まれる人影。

あの黒髪ーー短くなってるし、目もなんか光っているけど!

確かに舞奈がそこに映し出されていた。

どうして?

《あのまま沈むとーー何故、止まれる?ーーまさか!》

沈んでいた舞奈が唐突にその場で止まった。

あそこで止まるのはあり得ないのかとどまった舞奈を不思議そうに見る男性。

だけどそのうち写し出された舞奈に異変が起こる。

唐突に苦しみ出したのだ。

「ま、舞奈!?」

《彼処で止まるならあの子は繋がりを持っているのでしょうーーでも、それなら》

《上がって来れないだろう、むしろ上がらない方があの子の為だろう》

何故か舞奈は止まっているけれどその手や足は這い上がろうとしている。

だけど上がれないのか苦しそうにもがいていた。

なのに二人は助けようともせずにただ見て。

上がらない方がいいと言う。

「舞奈!なに見てるのよ!あそこに私を!」

あんなに苦しんでる!早く助けないと!

《死んじゃうわよ?あれは私達の作った偽物じゃなく本物ーー「今の私だって死んでるんだろ!」》

とにかく早く!

死ぬ?

そんなの今の私には関係ない!

今の私は死の淵に居るようなもの。

一度死を受け入れていたけど、あんな舞奈の姿を見てじっとしてるわけにはいかない。

訳が分からないけどこの思いだけは分かってる。

命をかけた繋がりが断ち切られ掛けているのを見過ごすほど私は馬鹿じゃない。

「死んでる場合じゃないんだよ!!早く私をあそこに!」

一刻も早く!

《あの子はもしかしたら貴女を壊すかも、いや世界を壊すかも知れないぞ?》

それでも助けるのかと聞かれる。

「そんなのどうだっていい!舞奈を早く!」

世界なんて関係ない、一度は私はいきる事も家族すらも諦めた。

それだけ私にとっては舞奈の存在が大切なんだ。

こんな私を受け入れてくれた大切な私の繋がり。

それが失われるなんて耐えられる訳がない。

《そう、嬉しいわ、こんな世界でも命を大切にしてくれる》

貴女達こそもしかしたら私達が夢見た姿そのものなのかもしれないわね。

そう言って一筋の涙を流し微笑む。

「え?」

《どうか、変えてくれ、僕らは停滞しか選べなかった》

そう背を押してくれた二人は優しく送り出してくれる。

真っ暗な沼のような世界に。

だけど私は必死に沈んでいく。

大切な者を今度こそ何も離さないように。

もう後悔したくないんだ!

見えないーーいや。

一筋の、優しい鼓動の光が私を導く。

待ってて直ぐに行くから!

今度は絶対に諦めないからーーどうか。

舞奈ーー君の手を取らせてーーー。

お読みくださりありがとうございます。

ではまた書けましたら。

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