表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/60

四十一話 待ちわびた者

祝一周年です!!

全然進んでいませんがーーー汗。

「焦るな、世界樹の傍なら大丈夫だ!」

「ドラン様、まだ取り残されているモノが」

「直ぐに行く、絶対に無理維持でも連れ出せ!」

俺たちの居る場所の真上には何時も感じられない大勢の音が響いていた。

ま、全員不安や恐怖で一杯だが。

何故かドランが市民を世界樹まで誘導してきた。

何人もの民が出ることを拒むなかドランを信頼するもの達が協力して。

殆どの民が世界樹に集まって来る。

ここなら巫女様の加護で獣化しないからだろうが。

だれがドランを動かし、民を動かしたと言うんだ?

「我が導いたが切っ掛けは我が子だ、リュアンよ」

大地と影で繋がる長の声。

未だにあれを我が子と言う。

「長殿、あの出来損ないを何故守るのですか?」

作られた、本当の意味での生命ですら無い者を血族だと言う。

壊れたこの世界でも異質な考えだろうに。

一番長く生きて、長くを見てきた者とは思えない発現だ。

「命に偽物も本物もない、だからこそ産み出すのも、消すのにも覚悟が必要だ」

そしてあの子はあの子達は私たちの忘れたものを思い出させてくれるだろうと。

遙か昔に誰かが言ったような事を言う。

「俺は認めない、それにもう消されているだろう」

俺だって、母さん達を連れ出したいのに影を繋げば、消される。

そんななかで生きていられる筈がないのだから。





長は俺の影や自身の大地を使って感じる。

神殿から漏れでる黒い光。

このリューリヤの心界が黒い力に侵食されていくのが。

逃げ遅れた者は包まれ跡形も無く消えたと言う。

「父さんが散らしているから、核には及んでいいないが」

思った以上の力、影を繋ごうとしても直ぐに切れる。

しかも一瞬見える先は暗く、生きられない空間。

母さん達、いやガルがあの中で生きられない。

もしかしたらもうガルは生きていないかも知れない。

ーーーだから俺は反対したんだ。

自分の命を使ってまで新しい人形を作るのも。

シャロの為に死のうとするのも。

「シロン、お前はそれほどまでにこの世界を消し去りたかったのか」

僅かに戻ってきた妹の記憶。

シャロを思って犠牲になるバカ。

精霊も縛りたくないと契約しない奴。

変わった妹ーー俺たちのように縛られなかった妹。

そんな妹がおれは羨ましいと思っていた事を思い出す。

「結局俺は止めることも見守る事もできない、兄失格だな」

それなら消されても仕方ないだろう。

今さら、俺たちが望む奴がーーー「雪灰!」

幻聴であの偽物の妹の名を呼ぶ声。

アイツが俺たちの待ち望んだ奴だなんて信じられるか。


怒りで歯を強く噛み締めててを握る。

偽物に家族と言えるわけがない。

だけどイブに加護を貰って変わった。

だけどそれも消える。

結局だれもこの世界を変える事なんて出来はしない。

嫌と言うほどそう理解させられ続けたのだから。



『巫女、帰還』

そんな声が目の前の陣から聞こえる?

俺が祈っても反応を示さなかった陣が光達によって輝く。

こんな反応はアイツや初代以来だろうか。

ーーー何故今更輝くのだ。

俺はもう諦めたいのに。

「!」

「雪灰!」

「「 ! 」」

唐突な声に俺たちは目の前の光達に目を瞑っていた目を見開く。

「お前は!」「舞奈かーーん、シャロか」

長殿も驚いているが何やら彼方の方も予期せぬ事が起きたようだ。

だが、そんな事よりもだ。

そんな、馬鹿な?

此処に来れる訳が。

此処は世界樹の巫女の眠る場の前、来られる筈が無いのだ。

来れるのは俺たちのような力を使うか。

信じがたいが、目の前の陣を通るかだ。

「お、お前が何故!」

嫌、光達が連れてくる筈が!何故!あの陣が!

「此処って?あの時のーーー」

周りを見渡すが、見覚えのあるような事を言う。

「この場を知っているのか?」

何故だ?

疑問しか言葉に出来ない。

訳が解ららない。

「えーーーあぁ!!!」

俺の問いかけにようやく俺に気付いたのか?

だが次の瞬間突然あれの所まで来て掴みかかって来た。

「ーー?ーーっぐ!」

思いの外強い力で首元を下から圧迫されて地味に苦しい。

「さっき影の人よね!早く私を雪灰の所に戻しなさい!」

「な、なにーーっつ!」

一体どうなっているんだ?

しかもあの俺ですら消される場所に戻せだとふざけているのか?

「あのままじゃ!雪灰が消えてしまう!」

砕けて消えてしまったと焦ったように言う彼女。

思いもよらない出来損ないの心配をする、神と位置付けられる存在。

ーーーー何故。

どうして?

「どうして、そこまででき損ないにーーっつ!」

何故、動かない?

唐突な苦しみ、先程の苦しみとは比べようの無いほどの圧迫感。

唯一動く首を動かし見るのは俺の体を縛る根。

この世界樹の根は世界樹の精霊にしか従わないはず。

何故、俺を縛るのだ?

『舞奈を傷つける、許さない』

唐突なイブではない者の声。

元をたどるとそこはイブの肩、光が見えたと思えば瞬く間にそれは人型へと形をなす。

イブの肩に乗るこんな黒髪の小さな精霊が操っているのか?

コイツらはいったい何者だ?

「な、お前達は一体!」

精霊にしては変な鼓動を刻む、それにコイツ影がない?

精霊にも影がある筈。

しかもコイツからの鼓動はイブの中の鼓動の1つに酷似してーーいや?

待て?幾つもだと?

何故鼓動が幾つも存在する!

それではまるで!


「巫女の消えた一部だよ、リュアン」

唐突に動くようになる俺の体、長殿が熱で焼いてくれたのだろう。

今まで傍観していた影によって繋がる長殿の声、その言葉に俺は言葉を失う。

何故なら、それが意味するのは。




私たちの間に入ったのは黒い影から見える見慣れた長さんだった。

「長さん、でも雪灰が!

早く戻らないと、何が出来るか分からないけど、戻らないと。

「落ち着くのだ、舞奈、我が子の鼓動はまだ感じる」

長さんの言葉に私は少し落ち着く。

鼓動が聞こえるなら、生きてる!

砕けてしまったように見えたけど、鼓動が感じるなら。

「ーーはい、でも」

「舞奈、お前は何故この陣を通れた」

「え?これは雪灰が繋いでくれて、あれ?シャロは?」

一緒に光に包まれたはずだと自分の周りを見渡す。

「シャロなら私の所だ、資格のない者は巻き込まれたとしても、我がもとに送られる」

そう言う長さんの側にいるシャロは眠っている。

「良かった、無事なんですね?」

「あぁ、今は光達によって意識を奪われているが、時期に目が覚めるだろう」

「そう、でも私は資格も巫女でも無いですよ?」

只雪灰に送られたのだと。

「だがその陣で無事出てきたのなら、お前は資格を持つーーー頼む」

頭を下げた、そう理解させる重い言葉。

「巫女となり、巫女を目覚めさせ、私の大切な者を解放してくれ」

そう言う長はあの時と同じように涙を流していた。

その時私のなかであの時の黒髪の女性が掠める。

「ーー本当に、涙は皆同じね」

ぬぐうために私は自ら影の中へと歩み出して拭う。

だけど、それは私の手に触れる前に光となって消える?

あれ?如何して?




そう彼女は何を思ったのか影に踏み込み長のマグマを拭う。

そのマグマは彼女を傷つける事なくその手で光になって消えていった。

その光景は俺の記憶の奥底にある女性と重なった。

『私は願いを叶える、だから産み出す、消すのよ』

それは無表情でだけど何処か苦しそうな顔だったのは今でも思い出せる。

彼女が産み出すときの光、消し去る時の光はとても神秘的で。

誰にも成せないことだった。

だけど目の前のイブはそれをなして見せた、気づいていない、それが特別であると。

だからこそ、俺は問いかける。

「お前はこの世界を変えられるのか?」

あの人のように、いやもう一度あの方を起こしてくれるのかと。

それは全てこの世界を変えると言うことと同意だから。

前にこの問いをして問い返した奴は。

「無理さ、俺にはアイツを支えるのがやっとさ」

そう言ってアイツは一人のために消えていった。

変えられるかもしれない、俺には無理な事をアイツはできた筈なのに。

一人のために投げ出した。

だから俺は今まで問いかけるのも会うことも拒否したのに。

俺自身で変えようと足掻いたのに。

なぜか目の前のイブに問いかけたくなった。

だが、その答えは。

「は、無理よ、私は雪灰を助けて自分の力で帰るだけ」

そうコイツも自身、いや一人のために動く。

いや、命ですらない者に動くなら、アイツ以下なのかも知れない。

何故そんな奴に俺は問いかけたのだろうか?

「やはり、お前もアイツと同じーー「でも」?」

諦めた俺にイブは言葉を被せる。

「だけど、私はこの心界も貴女達の命への価値観には同意できない」

それは今まで誰も思わずにいた言葉。

だけどその言葉で俺のなかにあったなにかが緩んだ気がした。

コイツなら、もしかしたらと。

アイツに感じた可能性とは別のナニかを感じたんだ。

だからーーー。




そんなのはあり得ないと私ははっきりと口にした。

だってどうやったて私の感覚はこの世界とは違う。

だけど合わせようとは思わない。

だからこそ私は雪灰を取り戻す。

犠牲に成り立っ帰還なんか欲しくない。

「そうか、お前は今までの奴とは違うのだな」

私の言葉を聞いてナニか考え込んだかと思えば私の前まで来て膝を折る。

「え、な、なに」

「長殿と同じだ、巫女になってくれ」

膝を付いたまま下げた頭を上げ真っ直ぐに私を見つめる。

その目は黒いようで葵い瞳。

まるで夜空のような瞳だと思った。

そしてそんな彼の願いに私は一番重要な事を聞く。

「ーーーそうすれば、私は雪灰を救える」

そう、今の私の優先するのはそれだけ。

それが叶わないなら何を手に入れても意味をなさないのだから。

「ああ、巫女はそれだけの存在だ、お前が望めば、変えられる」

自信を持って真っ直ぐに言う彼の目にも言葉にも嘘は無い。

そう不思議と思えた。

「なら、なるわ、だけどーー変えるなんて約束も力もないから」

だって、私は人だもの、自分の我が儘の為に利用するだけ。



そう言う彼女はとてもそう思わせないほどの覚悟をその目に宿していた。

「名は?」

「え、舞奈、鏡舞奈」

おれの唐突な問いかけに戸惑いながらも答えてくれる。

確かに、この世界の古い言葉から成る名前。

だけど不思議と耳に残り覚えさせられる名前だった。

「そうか、舞奈、お前を巫女に任じよう、俺と長殿が認めよう」




彼に言われて私はボーとしてしまった。

え?そんな簡単なので良いの?もっとこうーーー。

そんな期待は直ぐに忘れ去られる。

何故なら私の廻りを光が溢れだし私を包み入り込んできたから。

ぐ!

苦しい!なに、これーーいたい。

今まで傍に居るだけじゃない、私の中に入ってくる!

途轍もないほどの違和感、異物感が私を襲う。



「な、お前のそれは何故光を受け入れなくしている!」

何か言っているみたいだけど私には聞こえない。

痛すぎて理解できない!

ザク!

そんな音と共に私の痛みは消え去って思考が戻ってくる。

「何故光達を遮る縛りをしていたのだ?こんな事ではお前は死ぬところだったぞ!」

そう言う彼は私の髪を結われた髪結いの紐ごと切り去り持っていた。

それは私がずっと使っていた。

何故か切れたり汚れなかった髪結いの紐ーー確か?

「これは舞奈を舞奈でいさせてくれるお守りなのよ」

そう言って私の髪を結ってくれた母さんの声と優しい手の感覚。

『我はこれ以上見ていられん、お前が変わるところなどーー例え無に戻ろうとも』

そっか、守ってくれてたんだね。

私が壊れないように、見失わないように。

そう私は不思議と何も解っていないのに思った。

ーーだけど、今は。

それが邪魔みたいだからーーーー。

ーーー御免なさい。

「だけど、私は私だから」

そう言って幻覚に別れを告げるように私は目を閉じ再度開く。

そうすると私の周りを光達や精霊達が囲む。

今まで見えなかった者が見える。

『お目覚め、巫女願いは?』

今まで感じる事の出来なかった光達の感情の籠った言葉。

そうか、光達は感情を持ってた。

だけど私たちにその感情を受け入れる器が無かっただけなんだ。

だけど、今の私ならそれを感じられる。

だから私は想いを言葉にに乗せて伝える。

「私の願いは」

今の光達なら私の思いを願いを伝えられる、伝わると私は無意識に確信していた。

「雪灰の元に」

そう言うと光を失っていた陣が再び光を宿す。

「待て、イブ、その先に行けば死ぬ!アイツももう死の淵だ!」

今までの彼とは思えないほどに彼は焦ったように私を止める。

「ーー舞奈」

だから私はあえてもう一度名乗る。

巫女になっても、イブに召喚されても。

わたしは私だから。




「?」

「私は舞奈、イブでも巫女でもない、それに」

そうはっきりと瞳にうつす彼女の瞳は光達を集めたような優しい光の瞳だった。

「!」

「雪灰が死の淵に居るのなら行って引っ張り出すだけよ」

なんと無謀な事を、巫女に成り立てのお前では!

「あのシロンって子もね」

そう言うと彼女は陣に踏み入れる。

「っつ、頼む、救ってくれ」

無謀かも知れない、だけどそう言わずにはいられなかった。

「あら、貴女も家族に泣けるのね、良かった」

そう笑った舞奈は光に包まれ消えた。

「っつ」

家族ーーそう思えていたことに気づき俺は涙を流す。



「帰ってこい、もう帰らないなんて許さない」

「ああ、同感だ」

俺たちは長いときを生きたが、別れが辛いのは変わらない。

だからーーー俺も止めてみようと思った。

今までの考えを、もしも本当につれて戻れたのなら。

戻ってこい、それを俺たちが望まなくても、舞奈が望んでるんだろう?

「なあ、雪灰」

俺は始めて出来損ないの名を呼んだ、それは俺が少し変えられた証拠だ。

舞奈、あいつはこの世界をーーー。



変える。

評価有り難う御座います。

これからもノロノロ更新ですが宜しくお願い致します。

ではまた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ