二十三話 友達
遅くなりました。
書き方変えようかなと思う今日この頃です。
「雪灰!」
根をつたって何とか雪灰の所までたどり着いた私は彼女の背中に向けて名前を呼ぶ。
私の声に気付いたのか、いや呼ばれたから振り向いてくれたのか彼女は泣いていた。
「如何して?」
そういう彼女に少し迷う、だって、実際光を追ってきただけだから。
偶然にも雪灰を見付けられただけ——だけど。
探してたのは本当だから。
「雪灰を探して追ってきたに決まってるでしょ!」
息が整うのを待っていられずに私は自分がここに来た理由を言う。
こんなに走ったのは久しぶり、元の場所じゃ——翔がいる場所じゃ無理できなかったから。
でもこんなに走れることに苦しいけど嬉しくもあった。
———だけど、走れていたのは——。
輝く色は違うけど光達のお蔭なのだろう——。
この世界で目覚めたときから少し体が楽に感じるのも確かだから。
実際常備薬を飲まずにいられている。
おそらくだけど光たちが調整しているのだろう。
原理は一切わからないけど。
「何で、名前は間違いで——それで舞奈は家族はいらないんだろう!」
間違いという雪灰。
名前を付けた時家族になる事を言ってるなら間違いだったね。
家族にするつもりまったくなかったし、私の自己中心的な身勝手の産物だもの。
それにこの世界にきてからうやむやになってるけど—―—私は。
「っつ!———そうよ、私は家族を置いてきたばっかりだもの———」
あの時は翔と距離を置きたかった。
そんなときのあんな不思議現象。
あんなことにすがるほど私は自分で思ってたより無理してたみたい。
だけどこの世界は私のいた場所、世界じゃない。
夢でもない、夢なら見たし、痛みも確かに感じた。
ここは私のいた場所じゃない。
だからってすぐには帰れそうもない。
逃げてきた私がいうのはなんだけど。
私はこの世界を知らなすぎる。
だからって雪灰を利用するように家族なんて繋がりで縛るなんて。
翔が私が交換し与えた心臓で縛られたみたいに。
雪灰もその名前で、そんな理由で縛りたくないとも思ってる。
だって、今は離れているかもしれないけど、雪灰にはちゃんとした名前も。
家族も生きてこの世界にいる。
私の仮の家族なんて遠く及ばない繋がりがある。
長さんだって、あんなにも雪灰をいつくしんでいるのだから。
だから———。
逃げてきた私のために雪灰を縛らせないで。
「そんなの私達には関係ない」
さっきまでの涙や迷いも嘘のように私にはっきりと言う。
私と雪灰の関係に私達の過去も家族も関係ないと。
私をしっかりとその目に映し俯かずまっすぐに見つめてくれる雪灰。
「!」
「だって舞奈は私の事を知らないのに名を繋がりをくれたじゃないか」
確かに翔や元の世界の事なんて一切関係なく、確かに雪灰と呼んでいた。
「で、でもあれは勢いで」
ただ、自分の恩人をあんな扱いされてれば何とかしたいと思うでしょう?
「だけど、その時逃げたばかりとか考えてた?」
「そ、それは——だけどか、家族にはなれない」
実際私はこの世界の者じゃない筈だし。
いつ居なくなるかわからない私と仮でも家族なんて関係を結んじゃダメ。
それに家族はこんな風になるものじゃないと思う。
「―——そっか」
私の言葉をさっきと同じように拒絶と受け取ったのか苦しそうに顔を歪める雪灰。
そう、家族は雪灰にもちゃんといる。
私にも、だから家族にはなれない。
だけどこれから私が雪灰にする提案は私の身勝手なこと。
そして私自身が恐れている繋がりであり縛りだ。
この世界にきて目も回る出来事があってこれからもしばらく続くだろう。
結局は私は知らない世界で生きるために雪灰を利用しようとしている。
「だけど——雪灰!」
私はうつむいた彼女の手を取り握りしめる、また逃げられないように。
何故か雪灰とは離れたくないと思って居たのかもしれない。
そう思ったときからもうこの考えは自分の中で決まっていたのかもしれない。
「!———な、何だ!」
今度は驚いたように顔を上げる、本当に表情豊かだ。
「友達になってくれない?——雪灰」
「え?」
私の言葉が思ってもいなかったのか口を開け固まってる。
「私は正直、多分この世界の人間じゃない」
この世界で何度か死にかけてるし。
それに私が居た世界ではありえない事が多すぎる。
今までそれを認めるのを恐れてたけど。
「それってこの世界は舞奈のいた場所じゃないって事?」
「うん、少し自分が、何もかも嫌になってね」
そんな不安定な心はあの光を呼び寄せてしまったのかもしれない。
「嫌な事って消えたいって言ってた、家族の事?」
寝起きで泣きついたんだった、うう、穴があったら入りたい。
だけど今は我慢、や、無心になるのよ私。
「そう、でも、多分私は逃げてもいつか向き合わなきゃいけない」
そんな気がしてる、ここは一時的なものだって。
私は異物だと、今までのこの世界の状態を見て、感じて。
私はこの世界の理には合わない。
その理から外れている場所から来たから当たり前だけど。
「舞奈?」
「だけど、今私は一人で何もできない帰ることもできない、だから関係ない雪灰を頼ってる」
実際私が光に連れて放置されたときに偶然に通りかかっただけの雪灰。
正直私にここまで執着する必要なんてない。
偶然にも名前という執着する理由を作っちゃってたけど。
「関係ないって!名前を!」
そう、雪灰にとって名前はとても大切なもの。
身勝手な私がつけた名前でも。
だけど、私はーーー。
「それよ」
「え?」
「私はただ私を助けてくれた恩人の雪灰が名無し扱いされるにのがいやだっただけ」
だからその名前をどうしようが私には関係ないし。
むしろ奪い返すとかしないし。
「で、でも」
「そんなに気にするならさ、私が帰るまで傍にいてよ、家族とかじゃなく友達として」
いつか帰るそのときまで、雪灰にそばにいてほしい。
私が知らないこの世界での最初の繋がり。
私は否定しながらもその繋がりを消したくなかった。
「---やっぱり舞奈は変な神だ」
雪灰にとって何気ない一言に私は自分でも驚くほど嫌だと思った。
「---嫌」
「え?」
「私は神じゃない、ただの舞奈として雪灰と友達になりたいの」
神だからとかそれこそ私達には関係ない。
「な、でもーー私は」
今までの情報で生みの親である人は神。
生み出されたCHIMERAにとって敬う存在。
だけど私は人でもこの世界の者じゃない。
「私は別の世界の人間、この世界の理なんて関係ない」
「!」
「友達になろ、雪灰」
そういって私は一度握った手を放し手を雪灰に向けて差し出す。
「ほんとに変なかみーーー舞奈は変だ」
この世界にきて彼女に変だと何度言われただろう。
だけど今回のその言葉は呆れているだけではなく。
少し喜んでいるように感じたのは私の気のせいだろうか。
だけどやっぱり否定はしておこう。
私は変じゃないこの世界のことに疎いだけなのだから。
「な!なんですってーーえ?」
言い返そうとした私の前に手を握り返してくれる雪灰。
「いいよ、友達になろ」
「うん」
初めてこの世界で誰かと微笑みあった。
何故か来たときのように帰れなかった私はまた雪灰の腕に抱えてもらって帰宅?中。
私があんなにも早くこれたのは精霊や光たちのおかげだったらしい。
だって雪灰が飛んでも結構な距離がある。
何度か私を抱えて慣れたのか最初のように酔わない。
あたりを見渡す余裕もある。
真下に広がる広い大地や海。
「よし!最初の目標は!」
「?」
「この世界のことを知ること」
いろいろこの世界を見よう、そうすれば帰る方法も私がこの世界に来た理由もわかる。
正直少し楽しそうだと思っている。
「そうだね、始め?最終は帰ること?」
雪灰がいうように逃げてきたけどやっぱり帰るのが私の最終目標。
や、帰って翔とちゃんと向き合う事こそ最終目標だ。
「そうね、だけどその前に」
「ん?」
「私が帰る前に雪灰の本当の名前と家族を取り戻すわよ!」
正直まだよく分かっていないけどそれだけは絶対に達成するって決めた。
かかわるって決めて友達の繋がりを持つと決めてから。
これは私の中で決定事項だ。
「は!」
その私の言葉にあきれた声を上げる雪灰。
「だって私は帰らないと家族に会えないし、帰る前に友達が笑ってないとね」
ま、いつ帰れるかわからない今の状況だけど。
友達が色んな大切なものを無くしたままっていうのも嫌なのよね。
「ほんとに馬鹿、舞奈は何も知らないんだ」
呆れ、少し悲しみのこもった声。
「うん、だから教えてよ雪灰」
この世界のこと。
ま、何があってもこの考えは覆せないと思うけど。
「--はあ、分かった、本当に変だよ舞奈は」
「はは、そうね」
私はこの世界のことを知らない。
だったら知ればいい。
知ろうとしなければ何も得ることなんてできないのだから。
投稿がなかなかできませんが書き続けるのでこれからもよろしくお願いします。
そろそろ雪灰の家族たちと絡ませたいなと思っております。
読んでくださりありがとうございます。
ではまた。




