9/18
はじまりの
その村は、他の集落から離れたところに在った。
その為か、自然と閉鎖的な村となっていった。
ある干魃の厳しかった年、村人が恐れていた飢饉に見舞われた。
作物が、全く育たなかったのだ。
そんな頃、旅一座が道に迷い、村へ辿り着いた。
村人たちは、何も持て成しが出来ないが、旅一座を歓迎して迎え入れた。
旅一座は、感謝した。
不馴れな、道を夜闇に迫られながら、やっとの思いで辿り着いたのだ。
一座は、村長の邸に腰を落ち着け、歓待を受けた。
村人たちは、なけなしの酒を迷いびとの為に、かき集めた。
精一杯の持て成しに、一行は気を緩めて、注がれる酒を仰いだ。
一行が、酒に酔って寝静まると、何処からともなく村人が、一人、また一人と集まってきた。
村人たちは、旅一座の一行を鏖に・・・。
それから、村に迷い混んだ人々が出ていく姿を、確認した者はいない。
村は、ますます、閉鎖的になった。
勿論、村人が外へと行く事もなかった。