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盈―ミチル―  作者: 鷹真
1/18

寂として音は無く。

耳に痛い程の静寂。圧迫する漆黒。

闇に呑まれる・・・・。

呵々大笑。

前触れのない哄笑。

呵々。呵々。呵々。呵々。呵々。呵々。

音はいつしか泣音となった。

鬼哭啾々。

凍りつくような泣き声。

啾々。啾々。啾々。啾々。啾々。啾々。

寒々とした残響を残す。

嫋々。嫋々。嫋々。嫋々。嫋々。嫋々。

そして、また寂寞たる闇に呑まれた。


天は荒れ狂う。鳴神の怒りに触れて。

雷霆が無尽に空を嘗め、雷鳴を轟かす。

凄まじい閃光は、見る者を恐怖に慄かす。

光が消えると、辺りは漆黒に覆われる。

闇、闇・・・どろりと澱んだ重たい闇。

生温い空気と鉄錆に似た臭い、そして腐臭。雷鳴とともに再び閃光が、その凄惨な様を浮かび上がらせる。

屍。屍。屍。屍。屍。屍。屍。屍。

何体もの屍が積み重なって、腐っていた。

首は千切れ、内臓はどろり溶け赤黒い床を犯す。

無残にヒシャげた頭からは、脳漿が流れ出て、眼球は飛び出している。

傷の無いモノは、一つ足りとない。

音を発する事の出来るのモノなどいない。

だが、聞こえる。

聞き入れてはならない声が。

憎しみが。嫉妬が。狂気が。

怨嗟の声が空間を震わせ、ぐにゃりと歪ませていた。

理に背いたモノたちの・・・・。

器を失っても猶、現し世に囚われているモノたちの。

憎悪に縛られどろどろに澱となったモノたちの。

尽きる事のない、恨み辛み。

積み重なって、凶悪の存在と化す。

バラバラの悪意は、いつの間にか一塊となって膨れ上がる。

そして、潔癖な白い魂を引きずりこむ。

意思を持ち始めた塊は、悪意と恐怖をばら撒き、現し世を混沌の世界へと誘う。

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