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ある日のことだった。
トムはいつものように、河原で食べられるものを探していた。草や木の実、たまに虫。もう人間らしい食生活はとっくに諦めている。
「今日こそは……せめて魚とか……」
そんなとき、向こうの茂みから聞こえてきたのは――
「オレ、捕まえた! カエル!」
河原のジュンチャが、ぷりぷりに太ったカエルを両手で掲げていた。
それをカッパのジュンチャに渡すと、手際よく皮を剥ぎ始める。
「ほれ、きれいになったでやんすよ」
「よし! オレ、やる!」
河原のジュンチャは、何の気なしに両手を突き出した。
――ボッ。
次の瞬間、彼の手のひらから赤い炎が立ち上がり、カエルをじゅうじゅうと焼き始めた。
「なっ……なななな、なにそれえええっ!?」
トムは目を剥いた。
火の魔法――! 人間なら才能ある魔術師しか使えない高等技術を、このぽっちゃり河原住まいの裸男が当然のように披露しているのだ。
「お、おいジュンチャ! いまの……魔法!? どうしてそんなの使えるんだ!?」
「オレ、知らん。いつのまにか、出た」
「出たって何!? そんな簡単に!?」
トムはがっくりと膝をついた。
自分は魔法にずっと憧れていた。だが才能がなく、火の魔法なんて到底使えないとギルドで断言されていたのだ。
なのにこのジュンチャは、ドヤ顔で焼きカエルを頬張っている。
「ジュンチャ! お願いだ、ぼくに魔法を教えてくれ!」
「えーと……ドーン! バーン! すれば、出る!」
「……説明になってないんだよぉぉぉっ!!」
こうして、トムの“河原式魔法修行”が始まるのだった。




